まだあるぞ2024年鑑賞作「バティモン5 望まれざる者」
監督:ラジ・リ
出演:アンタ・ディアウ
フランス・ベルギー2023年
『レ・ミゼラブル』が話題を呼んだラジ・リ監督の新作。
前作は警察対民衆という構図だったが、今回は行政がテーマである。利権にしがらみのないクリーンな人物を市長代理に選んだら、開発のため後先考えない強硬路線を取るという日本でもありそうな話だ。
ただそれを支持して拍手する市民は登場しないし、社会体制の矛盾というようなものも描かれない。あくまでも市長と移民出身者たちとの二者対立と軋轢が描かれる。
見終わった直後の感想は「あそこまでやったならなぜ火を着けぬ(ー_ー)!!」だった。
対立が高じて若者が極限状態で過激な行動に走るものの、結局女・子ども・老人・同じ出自の年長者を怖がらせていぢめただけという(足を折られるという被害に遭った者もいる)。しかし肝心の白人市長は全くの無傷とは納得できねえ😑
その煮え切らない印象は作中で描かれる体制への怒りでなく、映画への不満と転化してしてしまうのであった。
4人の人物が中心となっているが、なんだか対立構図の絵解き役としてしか動いてないような感じを受けた。強引な団地住民追い出し場面(混乱の極み👊)のドキュメンタリーっぽい迫力は相変わらずではあるが。
三部作だそうなので、次作に期待したい。
あらすじなどで舞台の団地が「パリ郊外」という曖昧な言い方がされているので、パリ市内の話だと勘違いしている人が見受けられる。
パリの外の県(郡?)が舞台だよね。日本だと埼玉とか千葉の東京に近い市にあたる(まさに川口とか💦)。
ところで素朴な疑問だけど、遺体を収めた棺桶を下ろす時に団地の狭い階段で四苦八苦するというくだり。この描写で移民の住む団地の状況が端的に分かるとはいえ、棺桶を部屋に入れる時はどうしたのか?ベランダから釣り上げた? 謎である。
重さが違うといってもな……。
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