まだあるぞ2024年鑑賞作「ゴッドランド GODLAND」
監督:フリーヌル・パルマソン
出演:エリオット・クロセット・ホーヴ
デンマーク・アイスランド・フランス・スウェーデン2022年
デンマークの若い牧師が19世紀当時植民地だったアイスランドへの布教を命じられる。島内を進む道は過酷で、さらにガイドの老人とはうまく行かない。過去の紛争の因縁が背景にあるのか。言葉が分かっているらしいにもかかわらず、無視した態度を取る。
植民地の過酷な自然の中での道行きと、住民との軋轢となると「闇の奥」を想起させる。もっともトラブルの種は外部ではなく最初から牧師の内にあることを窺わせる。というのも、宗教家なのに彼は人間に対して興味がないらしいのだ。
とすればこれは不条理ではなく必然だろう。ここには神はいないようである。
アイスランドの風景は非情にして雄大で美しいが、作品全体の印象はよく言えば重苦しい。悪く言えば「辛気くさい」だ。やたらと血が流れて死体が転がる展開で、刺激があればいいってもんじゃないぞなどと文句を言いたくなる。
意図は分かるものの143分は長い。360度カメラを回すシーンが複数回出てくるがゆっくり過ぎてもっと早くぶん回してくれとか思っちゃう。
そもそもはアイスランドで発見された古い木箱の中から7枚の写真が出てきて、そこから着想した物語だとのこと。話が複数に分裂しているのはそのせいなのだろうか。
後半の室内場面は明らかに北欧絵画を意識した画面作りになっていてこれは美しい。
またアイスランドの民謡や伝統歌が幾つも歌われる。身近で亡くなった者の名前を連ねていく歌(というより朗詠?)なんてのもあった。ラストのデンマーク国歌は皮肉がきいている。
木造の教会を住民の手で建てる経過、そこで挟まれるダンス曲や讃美歌、男たちが興じるレスリング……などアイスランドの文化に興味がある人が見ると面白いに違いない、血まみれ展開が気にならなければ。
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