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2025年4月26日 (土)

「タイタン・ノワール」

250425 著者:ニック・ハーカウェイ(訳:酒井昭伸)
ハヤカワ文庫2025年

タイトルからなぜか土星(の衛星)を舞台にしたSFミステリかと思い込んでいたが違った。タイタンは神話の巨人のことだった。
舞台は恐らく欧州のどこかの都市(ギリシャ?)、近未来といってもテクノロジーが発達しているようには思えない。唯一異なるのが若返り医療が存在し、それを受ければ不老不死(少なくとも病気や怪我は克服)となることである。

それは薬剤の投与によるものなのだが、実は一気に若返るものの身体が巨大化してしまう。金がかかる上に都市を支配する一族の血統やコネも必要となる。かくして長身・長命の金持ちと、貧民は目に見えて分断される。

そんなSF設定であっても、主人公の私立探偵が事件を探って回るのはむしろ古めかしいまでの正調ハードボイルド世界なのだ。
富裕層が住む街に対して反体制派が集う下町、クラブでの乱闘、怪しい暗黒街の顔役、軽口をたたく探偵は必ずぶん殴られて失神する。定番が揃っていると言ってもよい。

そのアンバランスさが面白かったが、いかんせん長い。設定を説明するだけで長くなるのは仕方ないとはいってもなー。
続編書くつもりらしいと解説にあったが本気かな(^^?

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