「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」:優秀過ぎる弟子
監督:アリ・アッバシ
出演:セバスチャン・スタン、ジェレミー・ストロング
米国2023年
米国では大統領選前に公開。日本では就任式直前の時期で見事に当選祝い公開となった。
まだ20代の青二才トランプが悪名高き弁護士に気に入られて「弟子」入りし、金魚のフンの如く後ろにくっ付いて歩いてるうちに悪徳の全てを吸収し、いつの間にか制御不可能な怪物になるという半生を描いたものである。
なお監督の過去作品は『聖地には蜘蛛が巣を張る』を見たことがあるが、全く違うタイプの作品だった。
冒頭では彼はベビーフェイスっぽい若者であたりを自信無さげにキョロキョロしているのみ。この頃は観客も感情移入できるが徐々に理解不能になってきて、終盤(破産前の80年代末ぐらい)には現在の姿に近づいてくるのに感心した。
結果的に成功者となるが、金ピカ趣味、妻や家族の扱い、犯罪と紙一重な事業展開--彼のようになりたいと思う者はいないだろう。
また「師匠」である弁護士ロイ・コーンは過去に相当な悪行を積み重ねてきた人物で、トランプが出会った頃は絶頂期だったようだが、悪辣さについては弟子に凌駕されて関係が逆転していく。コワイねえ(~o~)
トランプ役のセバスチャン・スタンとコーン役のジェレミー・ストロングはそれぞれアカデミー賞の主・助男優賞の候補となった。納得の演技である。
ただ、テーマの意義は分かった🆗役者の演技はすごい👍よくぞ作った✨……だが全体としては今一つな印象なのはどうしたことだろうか。
基本的には役者による会話劇で進んでいくため、映像的な見どころがほとんどなくて面白みに欠けるのが残念である。
「師匠」にトランプが贈ったカフスボタンが彼自身を象徴している(脚本上は)はずなのに、映像ではなく妻に言葉で説明させて終了というのはなんだかなあと思った。
ついでに付け加えると、聞き慣れぬカタカナ投げっぱなしの邦題と今一つ的外れなサブタイトルは何とかしてほしかった。
アプレンティスとは弟子とか見習いを指す言葉だそうだが、そもそもトランプが出て名を売ったTV番組名だったらしい。それ早く言ってよ~(ー_ー)!!
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