ヘンデル「時と悟りの勝利」:美しいだけじゃダメかしら?
指揮:ルネ・ヤーコプス
演奏:ビー・ロック・オーケストラ
会場:東京オペラシティコンサートホール
2025年4月4日
ヘンデルが22歳の若い時の作曲で、寓意劇のオラトリオ、演奏会形式ということで、あまり期待せずに行った。東京で一回だけの公演ということは、アジアツァーか何かでついでに来日したということなのだろうか。まあ、この不景気なご時勢では日本に来てくれただけでもありがたい。オペラシティは3階までほぼ満員状態だった。
ともあれ、行ってみると内容は予想とはかなり違っていた💦
4人のソロ歌手のうち中心となるソプラノ二人(美、快楽)をオーケストラ前に、男声二人(悟り、時)は後方に配置。小道具を使用し、ジェスチャーもつけていた。さらに客席の間を歌いながら歩くなどという演出もあった。
「快楽」にそそのかされてる最中の「美」が自分を鏡で見てウットリしていると、後方から「悟り」と「時」が出現してそんなヤツに耳を傾けるのはやめとけと警告する。
その後は「快楽」が「美」を引き留めようとし、「悟り」と「時」は別れるように説得歌合戦が繰り広げられる--という形で進む。
前半第一部は美を真ん中に挟んで、両者の押しては引き引いては押しの構図の繰り返しでやや平板な印象だったが、美が快楽との別れを決意する後半第二部は徐々に劇的な盛り上がりを迎え、ラストは目も耳も話せない状態に。
オーケストラはアクセントの効いた演奏で確実にそれを伝えていた。
美を演じるスンヘ・イムは年齢不詳の若さで観客の目をくらまし(^^;舞台の花💐を取ったという印象。一方、実を取ったのは快楽役のカテリーナ・カスパーだろう。技術的な面も含めて迫真の歌声を聞かせた。
CTのポール・フィギエとテノールのトーマス・ウォーカーも舞台の後方からナイス・アシストであった。
感動の波を受けて、終了後は聴衆が立ち上がり拍手とブラボーが飛び交った。
しまいにはいわゆる「参賀」状態に。ヤーコプスだけじゃなくてCTのフィギエ氏の固定ファンもいたもよう。
私はもういくらなんでも出てこないだろうと会場を出てトイレへ行ったら、その後も何回かヤーコプスが出てきたらしい(無念)。久々の熱狂を体感した。
家へ帰り着いたのは11時半で疲れたけど大満足だった。
ルネ・ヤーコプスの来日は30年ぶりとのこと。つまり北とぴあ音楽祭第1回以来ということか。その頃は身体の幅が今に比べて3分の1ぐらいでしたな💥
オケにはリュートの野入志津子とバスーン村上由起子(昔BCJでやってた人ですよね)、あとヴァイオリンに2人日本人がいたもよう。
なお、第1部の終りにフライング拍手した者がいて(左サイドのバルコニー席あたりだったような)、休憩時に「拍手は指揮者が手をおろしてからお願いします」と放送されちゃう始末。後半終了時もギリギリの感じだった。
そんなに目立ちたいんか? 理解不能である。フライング拍手・ブラボーは野暮の極み💢と断言したい。
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