ミュージアム・コンサート 「西洋絵画、どこから見るか?」展記念コンサート
東京・春・音楽祭2025
会場:国立西洋美術館講堂
2025年4月3日・15日
★その1 古橋潤一
リコーダーの古橋潤一、ヴァイオリン丹沢広樹、オルガン能勢伊津子という顔ぶれでスペイン・バロックもの約1時間のコンサートである。
最初に美術館側から10分ほど展覧会の紹介あり。米国のサンディエゴ美術館の所蔵品を中心に西美の関連絵画を組み合わせて展示したものらしい。1600年代初めのスペイン静物画があるとのこと。
取り上げられた初期バロックの作曲家はほぼ知らない人ばかりだった。この時期のスペインは器楽曲は少ないそうで、3人で合奏するのは大オルガンのための作品だそうだ。
他国とは異なる「スペインのり」みたいなものがあり、カバニーリェスによる「フォリア」の変奏曲もタテヨコの揺れが独特だった。
アンコールは、展覧会にイタリア作品もあることからメールラを演奏。
ヴァイオリンの丹沢広樹はスパッラも使用していた。久しぶりに見た(聞いた👂)という感じである。
コンサートチケットで美術展の方にも入れるのだが、この日は寒くて雨が降っていたので早々に帰った。もし晴れていたら花見の見物客で駅の改札口が通れないくらいごった返しただろうけど、静かなものだった。
★その2 佐藤亜紀子
「1」に続いてこの日もスペインもの、ただしルネサンス期の世俗歌曲が中心である。演奏するは佐藤亜紀子を含む3人。
当時のスペインではイスラム由来のリュートは忌避されたそうで、ビウエラとルネサンスリュートを交互に使用していた。
前回同様、冒頭10分強は美術館側からの解説付きだった(内容は同じ)。
定番「皇帝の歌」も挟みつつ、恋愛歌や伝承歌など当時の空気を伝える内容だった。リコーダー&パーカッションの飯塚直という人は、佐藤氏が懸命に調弦している間つなぎで喋ったり、またコーラスもつけたりするというマルチタレントぶりで感心した。
ソプラノの岩崎芳佳はクラシック出身ではないようだったが、こういう場合はトラディショナル・フォークみたいな歌唱でもいいのではないかと思ったりもした(素人の感想です)。
終了後コンサートのチケットで美術展に入り、ざっと見した。日曜日はチケット売り場に長い行列ができてごった返していたが、この日は平日で静かなものだった。
米国サンディエゴ美術館の所蔵品が中心だが、ヒスパニックの移民が多い街なのでスペイン系の作品も多いということだろうか。
時代別に分けてさらにテーマごとに分けて展示という形式。サンディエゴ美術館の作品は全て日本初公開とのことだ。同じような構造の作品は西美の所蔵品を加えてまとめて展示していた(例えば「静物画」とか)。
しかしそのような企画側の意図にもかかわらず、全体にはルネサンス期から19世紀まで時代順西洋絵画総覧というイメージだった。
常設展も見たかったがとてもそんなエネルギーはなし。腰が曲がって杖をついた高齢者が来ているのを見かけた。付き添いもなしに一人で来ていて、その意欲に感服した。
←出品作品で一番古いジョットの絵。なぜかフレームに入りきらず😶
サンディエゴ美術館としてはこのジョットの絵や、ジョルジョーネの男性の肖像画(史上初めて何もないただの肖像をそのまま描いた作品)を貴重な目玉作品としていたが地味なのでほとんどの人が素通りだった。
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