「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」:混迷と友情
監督:バーセル・アドラー、ユヴァル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール
ノルウェー・パレスチナ2024年
場所はバレスチナのヨルダン川西岸地区。ここでの4年間(2019年~2023年10月)を当事者の立場から描くドキュメンタリー。
「入植」という理由を付けて、イスラエル側の暴力はとどまることがない。家を破壊、井戸をコンクリで埋める。皆で建てた学校をぶち壊す--などなど。
活字メディアの記事などで読んだことはあるが、見ると読むでは迫力違いである。やはり文字よりも映像の喚起力はすごい。特に覆面付けた入植者たちのおぞましさには震え上がる。
そんな情況を映像を配信する住民の青年とイスラエル人のジャーナリスト、立場が全く異なる若者二人が対話を繰り返す。しかしそれは融和というようなものではなく、むしろ「混迷」を感じさせる。いつまでたっても解決に至らないぐるぐる道のようだ。
宣伝では二人の「友情」が強調されていたがやや感触は異なる。それよりもそのような「情緒」に訴えないとダメなのか(見てもらえない?)というのが気になった。
はたして住居や学校を呑み込むブルドーザーや銃弾に対抗できる手段はあるのか。徹底的に強大な権力として支配者の姿が立ち現れる。
実際の上映時間よりも苦しく長く感じた。ついでに手持ちカメラやスマホ映像には目が回ってしまった。
だが長年にわたる災厄を考えれば一瞬にしかすぎないのだが。
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞獲得。
取らないよりは取った方が良かったとは思うけど、よもやそれまでのガザへの冷淡な対応の免罪符代わりじゃないよね?
その後も苦難は続く。4人の監督一人(画面には登場しない)が入植者によって殴打され連れ去られたり、またスタッフとしてかかわった活動家が殺害された。
遂には今月2025年9月に若者の片方バーセル・アドラーの自宅が兵士によって襲撃されるという事件が起こった。本人は不在だったが家族が暴力を受けたとのこと。嫌がらせかいっ💢
誰かネタニヤフに、あのお決まりのフレーズ「どんな相手だろうと暴力は良くない」と言ってやってくれ。
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