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2025年10月 9日 (木)

「磔の地」

251009 著者:ジェイムズ・リー・バーク(吉野弘人 訳)
新潮文庫2025年

お懐かしや刑事ロビショー・シリーズが復活した!
彼が暮らすルイジアナ、かつて組合運動家が惨殺されるという事件が起こり二人の遺児は児童施設へ送られた。しかもその現場を父親と共に発見したのは少年時代のロビショー自身である。
歳月が経ち、遺児たちが戻ってきた。姉は気鋭の社会派フォトジャーナリスト、弟は映画監督として--。
これで何も起こらないわけがない。

主人公の危惧の通り、事態は徐々に転がり始めて留まることはない。
何か事件が起こって犯人を捜すという形ではなく、小さな齟齬や過去の因縁が膨れ上がって破局に向かっていく。スッパリ割り切れる所はないのだ。
ラストで綴られる彼の感慨が全てを語っている。

豊かで美しい自然描写、地域に根付く歴史の暗い影、錯綜する人間関係……かつてのシリーズと同様に堪能した。
1998年出版の本書がなぜ今訳されたのかは分からないが、取りあえず日本語で読めたことは大いにメデタイ。

ジェイムズ・リー・バークの作品は二つのシリーズがそれぞれ角川文庫と講談社文庫から出ていて、その10冊は今でも持っている。ページの紙はすっかり黄色くなってしまったが……。
なぜシリーズ途中で訳されなくなってしまったのか?当時疑問に思った。本国で作者が書かなくなってしまったのか、それとも日本で海外ミステリブームがちょうど終わったからか。
その頃は知る手段がなくて分からなかったが、恐らく後者かなと思えた。

本書巻末の著作リストを見るとロビショーのシリーズは最近まで続いているようだ。ぜひとも続きを出してくださいませ(^人^;

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