監督:スコット・クーパー
出演:ジェレミー・アレン・ホワイト
米国2025年
私がかつて買った(リアルタイムで💦)スプリングスティーンのアルバムは「ザ・リバー」と「ネブラスカ」の2作だけである。現在はファンというわけでもなし、スプリングスティーンの映画をやると聞いた時に見ようかどうか迷っていたが、まさにドンピシャでその時期の彼を描いているということで、これは見ねばなるまいと行ってきた。
アルバム「ザ・リバー」の成功、ツァーも終了で新作への期待が周囲で高まっていく中、彼が地元の町に戻って一人で家に住む。--のだが、私なんか「こんな大きな家で一人で暮らすって、料理作ったり掃除したりって誰がやってるのかしらん」などと余計なことを考えてしまうのだった。
それはともかく、出来上がったのが最初は雑なデモテープのつもりでソロでカセットテープに録音した「ネブラスカ」だった。音質がひどいこの録音に彼は固執してそのままアルバムにすると主張をし、録音スタッフに無茶を押し通す。まさにスタジオの調整卓をガシャーンとちゃぶ台返しせんばかりの強引さである。
「ネブラスカ」と言えば内容は暗い😑つらい⚡苦しい💀の三連発。ロックが巨大産業化した時代だったから、アコースティックで暗~い内容のアルバムを出すのはただ事ではなかっただろう。おまけに宣伝もツァーもしないと主張する。
その背景には彼の精神状態の問題があったということが明らかになってくる。
マネージャーのジョン・ランダウ(ランドー?じゃないのね)の献身が非常に大きく、彼が変な医者を連れてきたり、儲けをかすめ取ったりするような悪徳マネージャーじゃなくて本当によかった(^^)
少年時代の家庭の不和については知らなかった。それは成長してからも彼の行動や対人関係に影をもたらす。
主役のジェレミー・アレン・ホワイトは素ではとてもブルースに似ているとは思えなかったのだけど、映画で見てみると表情や動作が当時の彼ににそっくりで驚く。さらに終盤で魚の死んだような目つきで登場した時は、役者とはすごいもんだなと感心してしまった。
マネージャー役のジェレミー・ストロング好サポートであった。
ただ全体的には「女無用の男たちの絆」っぽい面があるようにも思えた。うがち過ぎであろうか。
監督のスコット・クーパーは音楽ものでは『クレイジー・ハート』(未見)を作った人だそうだが、私が最近見たのは『荒野の誓い』『ほの蒼き瞳』という歴史ものばかりだったので意外に感じた。
「ネブラスカ」がマリックの『バッドランズ』に影響を受けた場面が描かれているが、それよりも『狩人の夜』が大きく取り上げられていたのは驚いた。
R・ミッチャム扮するあの恐ろしい悪党が自分の父親に重なって見えるとは、そりゃ正気ではいられないはずである。
なお作中で使用していた4トラックの録音機はティアック、カセットテープがマクセルである。今は昔の日本オーディオ産業の最盛期ですかね。