「大統領のケーキ」:渡る世間は怪しい大人ばかり
監督:ハサン・ハーディ
出演:バニーン・アハマド・ナーイフ
イラク・米国・カタール2025年
広告やチラシを見ると「実話から生まれた感動作」とか「思いがけない大冒険」などとある。隣国イランではかつて子どもを主人公にした感動作が幾つかヒットした。それにあやかろうと思ったのではないかというウワサだ。
だが、実際見てみるとそのような「ほのぼの」イメージとは縁遠いものだった。嘘とまでは言わないが、全然違~う💥
まあ宣伝する側としてだましてでも客を入れたいというのは分かるが、いくらなんでもこれはあまりにかけ離れ過ぎじゃないの。
1990年代のイラク、小学校でフセイン大統領のお誕生日ケーキを作る係(しかも費用は自前だ!)に抽選で選ばれてしまった女の子が主人公。材料を求めて町に出てさまよう羽目になる。
彼女が遭遇する様々な人は親切な人ばかり……な訳はなくほとんどが無関心か、隙あらば子どもを搾取しようとする輩である。同じクラスの少年と町で出会うが彼も無一文だ。報酬のために身長と同じくらいの袋を二人で懸命に運んだりする。ハードすぎる展開である。
唯一、彼女が連れ歩くオンドリの名演が清涼剤だろう。
あの「ニセ札」は本当にニセだったのか? 最初に受け取った男が一枚ガメてたのが見えたのだが。かなり怪しい。
後半の展開は本当に怖い部分があって泣きそうになるほどだった(T_T)
彼らのいる小学校の教員が尊大で平気で子どもを利用し、景気よく号令をかけるだけかけて噴飯ものの人物だけど、戦前の日本の教師もあんなもんだったろうなと思えた(でもって戦後は180度豹変)。
だからこそ今、「教え子を再び戦場に送るな」なんですよ~。
一方で、子どもたちが暮らす河べりの村の光景は思わず見入ってしまうものである。
河岸に張り出すように家を作り、学校行くのも町への道路に出るのも小舟をこいで移動する。住居は乾燥させた太いアシを編んだもので風通しはよさそうだが、日本のように嵐が来て雨風が強い土地だったったらとても住んでいられない。驚くばかりである。
本屋に高野秀行のイラク関係の本が置いてあって、表紙の写真がまさに映画で見た光景だった。ただし漕いでいるのは男3人である。
カンヌで新人監督賞受賞。次作も期待。
ところでこれを見たシネコンは10年ぶりぐらいに行ったのだが、開場のアナウンスはないし、しかも入口でチケットをチェックするスタッフもどこかに行っているらしく姿が見えなかった。つまり……出入り自由。
大丈夫か(!o!)
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