音楽(ロック、ポップス等)

2023年2月 5日 (日)

「大貫妙子 コンサート2022」

230205 会場:昭和女子大学人見記念講堂
2022年12月3日

年に一度の恒例ター坊のライブ行ってきました(^O^)/
ギター&ベース×各1、ドラム×2、鍵盤×3という面白い編成のバンドと共に80~90年代の曲を中心に演奏するという内容である。

坂本龍一が編曲担当した曲はライブで再現するのが難しくて、ライブではやって来なかったものがあるとのこと。今回それをシーケンサーを使用して復活させ、さらにバンドの生音を重ねるという趣向だった。まさに坂本龍一にエールを送る特集と言っていいだろう。
アコースティックでは聞けない、特に「幻惑」と「ボルケーノ」が嬉しかった。後者はなんとライブでやったのは初めてだとか。ビックリよ(!o!)

ほぼ満員の会場で休憩なしで2時間弱の公演、充実のひとときだった(*^o^*)

ター坊の衣装はかなり奇抜だった。駅までの帰り道でもみんな話題にしていた。長いドレスの裾がピンと外側にまくれ上がって、しかもそれが幾つもの筒状になっているという……言葉では説明できませ~ん💥

大阪公演は約2か月後の1月末にあった。SNSで流れてきた情報によると、アンコールの最後に高橋幸宏の追悼として独りで涙と共に一曲歌ったらしい。聞きたかったですよ👂

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2023年1月15日 (日)

「「未熟さ」の系譜 宝塚からジャニーズまで」

230115 著者:周東美材
新潮社(新潮選書)2022

意外な視点から見た刺激的な日本近代音楽史である。
なぜ日本のポピュラー音楽では「未熟さ」が愛好され支持されるのか。レコード産業の誕生・発達と密接にかかわるこの流れを童謡、宝塚、ナベプロ、ジャニーズ、グループ・サウンズ、スター誕生に始まるオーディション番組……とたどっていく。

その共通点は、第一次大戦後に都市部を中心に形成された近代家族をターゲットにしていること。その茶の間では子どもの存在が大きく「子ども文化」が次々と消費される。そこは音楽ファンやマニアではなく「女・子ども」の世界である。
歌い手側は養成機関として「寄宿学校」形式を取り「卒業」を前提とする(「高校野球」との類似に注目せよ)。一方、人々は歌い手の未熟さを前提にした「成長」をメディアを通し見守り楽しむのだ。

それらは既存の音楽の枠組みを崩し、新たなメディアや産業構造を生み出していく起爆剤でもある。レコード、ラジオ、テレビ、楽譜、雑誌、大劇場……など。そして茶の間と音楽の関係を展開させていく。
そも、このようなシステムがなぜ出来上がったのか? その理由も解き明かされている。

大正~戦前の童謡、宝塚の形成については全く知らなかったので特に面白かった。そもそも童謡がそれほど人気があったというのが驚きだ。また「家庭音楽」(家庭団らんで楽しむためと喧伝された西洋音楽)という存在も初めて知った。
グループサウンズのメルヘンチックな歌詞は童謡の系譜を引き継いでいたというのは衝撃である。
宝塚が「未熟」というのは今の状況だと想像がつかないが、昔は「お嬢さん」として卒業退団したら家庭に入るというのが通常だったらしい。

当然、秋元康についての論考も読みたいところだが、頁数の関係だろうか、その時代へ行きつかずピンク・レディーで終わっている。残念である。

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2022年10月25日 (火)

「アザー・ミュージック」:音楽が終わる前に

221101 監督:プロマ・バスー、ロブ・ハッチ=ミラー
出演:マーティン・ゴア、ジェイソン・シュワルツマン
米国2019年

音楽関係ドキュメンタリーのブームもあってか、こんな作品も公開。ニューヨークの名物レコードショップの歴史をたどる映画である。監督は元スタッフだったカップルとのことだ。

1995年、レコードショップの従業員たちが独立して超マニアかつマイナーな品揃えの店を開く。場所はなんとタワー・レコードの向かい側という大胆さだ。タワーに来た客が流れてくるのを狙った選択である。

自らもマニアで専門知識では他に負けないスタッフが複数いて対応、オススメ盤を聞けば瞬時にササっと出してくれる。女性店員の割合が多いのも特徴だ。おかげで小さな店には様々な人々が訪れて混雑し、レジの前には行列ができる。そこにはあたかも親密なコミュニティが形成されているようだった。
また当時行われたインストア・ライヴの映像も紹介される。ほとんどが私の知らないミュージシャンだ。毛布をかぶって客の前に現れた男には笑った。
もっとも経営自体は大変だったらしい。

そのように賑わい輝いていた時代が過ぎ去るのを告げたのは、皮肉にもタワーレコードの閉店だった。配信時代が始まり大手CDショップが撤退すると、もはやこれまでのコミュニティの存在自体が崩れていくのだった。
知識豊富な店員の存在はネットの検索で事足りる。今やマイナーなバンドの演奏も映像と共に聴くことができるのだ。

そのような時代の変遷がこの小さな店に凝縮して表わされているように思えた。実際に店に行ったことのある人はまた違う感慨を受けるだろうけど。

さよなら、21年間ありがとう✨--そんな風に言われる店が私の身近にもあったらよかったのに(文化果つる地埼玉じゃ無理だけどな)。
都内の輸入盤や中古盤の店はガチなマニア対象という感じで、こういう親しみやすさはなかったような。中央線沿線あたりだとまた違うかもしれない。

エンドクレジットの後には監督とオーナー二人からの、日本へのメッセージが付いていた。
終わった後には客席から拍手が起こった。(*^^)//""パチパチ

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2022年9月 5日 (月)

中高年洋楽ロックファン必涙🎸ドキュメンタリー「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」

220906a「リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス」
監督:ロブ・エプスタイン、ジェフリー・フリードマン
出演:リンダ・ロンシュタット
米国2019年

なぜか最近絶賛人気継続中(?)の音楽ドキュメンタリー映画ブーム。おかげで次々と公開が続いておりますが、リンダ・ロンシュタットのファンでもなく録音を一枚も持っていないにもかかわらず見たのであった。
リンダというと次々とヒットチャートをにぎわした曲と派手な恋愛ゴシップでしか知らなかったのだが、すみませんっ_(_^_)_ガバッ 彼女についての認識を改めた。

音楽一家に生まれ、ジャズやクラシックなど様々なジャンルに触れて育ち、やがてカントリー・フォークのバンドを組んでLAに出て注目される。ソロ歌手として独立し連続して大ヒットを飛ばす。
一方でロック界という狭い男社会の中で、他の女性ミュージシャンと協働して助け合うようにもなる。

やがてヒット路線を自ら捨ててオペレッタ、ジャズ、自らの出自であるメキシコ音楽にも挑む……という多彩過ぎる活動歴なのだった。
驚いたのは、その度にヴォーカル・スタイルを巧みに変えること。特にマリアッチの歌唱はロックなどの時とは全く異なるもので、見事にものにして堂々たる歌いっぷりである。

また、当時のインタビュー映像を見ると明確に自分の主張を言葉で表現できる人なのだと感心した。
しかしやがて病がその彼女の「声」を奪ってしまうのだった。つらい(ーー;)
現在の彼女はそれを受け入れているように見えるものの、そう簡単なことではないだろう。

インタビューには過去に共演したドリー・パートンがまず一番に登場した。この手のドキュメンタリーの多くに出てくる彼女を米音楽界のご意見番、またはお局様🌟と呼びたい。
個人的にはボニー・レイットがかなり長く話してたのが嬉しかった。
他にジャクソン・ブラウン、付き合ってたJ・D・サウザー、アーロン・ネヴィルなどなど多数登場。
ドリーを真ん中に据えた女性トリオ・コーラスのバック・バンドにD・リンドレーがいたのに驚いた。

それにしても、付き合ってる男を次々変えてもジョニ・ミッチェルだと「恋多き女」なのに、リンダだと「浮気娘」になっちゃったのはなぜだったんでしょうか(+o+)

220906b
「ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック」
監督:アリソン・エルウッド
米国2020年

今の若いモンは知らないじゃろうが、昔々ハリウッドに自然豊かな渓谷があってな。大勢の若いミュージシャンが住み着いて交流し刺激し合い、緩やかな共同体を築いておったのじゃよ。

--という、60年代後半から70年代にかけて存在した音楽コミュニティのドキュメンタリーである。当時の映像は少なく、その地を記録した二人の写真家へのインタビューとその作品を通して時代とミュージシャンを振り返る、という構成になっている。
ミュージシャン自身の回想も音声で入るが、今の彼ら自身を見せないというのが面白い。

タイトルだけだと昔のウエスト・コースト万歳ヽ(^o^)丿みたいな内容だと思えるけど、実際は世知辛い話題が結構出てきてシビアな印象である。
個性強すぎな白黒混合バンドのラブがドアーズの存在ためにヒットできず--というエピソードはロック勃興期ならではというところか。

上映時間120分て結構長いなあと思ったら、なんとTV用の1時間ものを2本つなげたそうである。なるほど……💦
で、前半60年代編はバーズ、バッファロー・スプリングフィールド、ママス&パパス、J・ミッチェルなどが登場。
しかし互いに助け合うなごやかな平和な環境はシャロン・テート事件とオルタモントの悪夢で終わりを告げる。

後半70年代編はJ・ブラウン、CSN(Y)、R・ロンシュタット。そして最後にグレン・フライが成功を渇望していたイーグルスが大ヒットし過ぎたことで、この地に引導を渡してしまう。なんたることだろうか。
当時の洋楽のファンならば一抹の感慨を抱かずにはいられないだろう。

歌詞の訳が全て字幕でついていたのがよかった💯
CSNのあの独特なコーラスはどこから生まれたのか、と長いこと疑問に思ってたけど、答えが分かって満足である。
初めて渡米したクラプトンが招待されたママ・キャスの家でジョニに出会い、彼女がギターを弾いている姿を近距離からガン見している写真に笑ってしまった。

チラシの英語で書かれたアーティスト名に、アリス・クーパーとリトル・フィートの名前が出ているのだが、登場してたっけ(?_?)

映画館内は懐かしさに涙ちょちょぎれる中高年観客多数であった。私も感慨深かったです。
もっとも私がリアルタイムで聞いてたのはこの後の時代だけど。(念為)

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2022年2月 4日 (金)

「スパニッシュ・ハープと奏でる古のスペイン」:思わぬところで古楽界の先達を知る

220204a 演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:近江楽堂
2021年12月27日

2021年最後に行ったコンサートだった。
鈴木美登里と4人の男声陣、そして伊藤美恵演奏のスパニッシュ・ダブル・ハープ(初めて見た聞いた)によるスペイン歌曲特集である。

主に民謡・俗謡を元にした作られた世俗歌曲で、ストレートな恋愛歌あれば何やら意味深な曲もあった。曲によって一人背後から歌ったりなど変則的に位置を動かしていたが、この会場だからこその効果だろう。
そして、様々なタイプの曲を独唱そして合唱と自在に歌えるのは芸達者なメンバー揃いゆえでもある。
ハープはスペインでは人気のあった楽器だったとか。その弦の音は力強くかつ美しく、5人の声は近江楽堂の天井を揺るがさんばかりだった。

ホアン・バスケスの「私の愛しい人」というのは恋愛を歌った曲だが、何やら宗教曲のように5人の合唱が完璧にキマっていた🎵
「カッコウ」という曲では明らかに寝取られ亭主が歌われているんだけど、この鳥はそういう象徴なんですかね(^^?

220204b 時節柄クリスマスにちなんだような曲もいくつか歌われた。中でもラストに歌われた「リウ、リウ、チウ」は「ウプサラの歌曲集」(1556)からというクレジットがあるけど、私には耳になじみのある曲だった。
なぜかというとカナダのシンガーソングライター、ブルース・コバーンが1993年に出したクリスマス・アルバムに入っていて、何度も繰り返し聞いていたのだった。このアルバムにはスタンダードなクリスマス・ナンバー(「きよしこの夜」とか)が収録されているので、てっきりヒスパニックの間で今でも歌われてる曲なのかなあなどと漠然と思っていた。

が、家に帰ってこのアルバムにある彼の英語のコメント(輸入盤なので)をよくよく読んでみたら大違い(!o!)
録音するにあたり彼が歌詞を確認したら、スペイン人の友人にもよく分からない古い言葉や辞書にもない言葉だったとあるじゃないですか。(その後に歌詞の大意が数行書かれている)
で彼が何からこれを知ったのかというと、1970年代始めに「ニューヨーク・プロ・ムジカ」というグループが出したアルバムを聴いたのだという。調べると、ニューヨーク・プロ・ムジカは1950年代に結成された古楽グループとのこと。そんな昔からやってた人たちがいたんですな。


私は近江楽堂はこの日で聞き納めだった。あくまで休館とのことなので、なるべく早い復活を願っています(ー人ー)
ちゃんと復活してくれるよね……💧

代わりとなる小規模会場というと、スペース415(行ったことない)、霞町音楽堂、ムジカーザ、松明堂(東京からは行きにくいだろう)、日本福音ルーテル東京教会、ルーテル市ヶ谷センターあたりかな。
近ければいいけど、遠い所は遅い時間の公演は避けるかも。
いずれにしろ、我が古楽ライフは大激変であ~る。

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2022年1月 9日 (日)

今さらながら2021年を振り返る

220109a 振り返ったからどうということもないですが、一応振り返ってみるのであります。
最近はブログの更新は完全に追いつかず、ほとんど書かずに飛ばしてしまうという情けない状況になりました。

【映画】
以下に選んだ10本は大体見た順。完成度より個人的好み優先。ドキュメンタリーが豊作年のため多くなってしまった。なお大作ものはレンタルかTVで見ようと思ってほとんど見ていない。
それと老人脳のため1~3月ぐらいに見た作品はだいぶ内容忘れちゃったんで、候補に入れられなかったですよ(+o+)トホホ

「アメリカン・ユートピア」:映画としてというより、そもそも元のパフォーマンスの出来がすごい。
「ライトハウス」:監督は子どもの頃「ブルー・ベルベット」と「時計じかけのオレンジ」を見たそうである。三つ子の魂百までも。恐ろしいね~( ̄д ̄)
「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」:洋楽ファン必見。
「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」:DVDスルーはあんまりだいっ。
「コレクティブ 国家の嘘」:あっと驚く展開。実際に起こった事件とはとても思えねえ。
「ほんとうのピノッキオ」:「ピノキオ」って子どもの頃絵本で読んだけど、こんな話じゃなかったはず。
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」:ここ数か月の賞レースに絡むのは必至。
「フリー・ガイ」:このご時勢の中でもポジティブなのが身にしみたです。
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」:こういうウサン臭い人間がいっぱい登場するドキュメンタリー大好きだーヽ(^o^)丿
「レイジング・ファイア」:年の最後にキタ~ッ💥

★部門賞
*監督賞:今年は該当者なし(> <;)……と思ったけどやっぱりジェーン・カンピオン(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)にしよう。
*男優賞:ベネディクト・カンバーバッチ(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
 今年は大活躍。「モーリタニアン 黒塗りの記録」の助演も入れたい。(「クーリエ 
最高機密の運び屋」も見たい)
*女優賞:ジョディ・フォスター(「モーリタニアン 黒塗りの記録」)
 もはや貫禄。

*ベスト・カップル:ウィレム・デフォー&ロバート・パティンソン(「ライトハウス」)
*ベスト・アンサンブル:キングズリー・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドム・Jr(「あの夜、マイアミで」)
 屋上の場面が男子中学生たちがジャレているようで笑った。

*最優秀悪役賞:ニコラス・ツェー(「レイジング・ファイア」)
*最優秀妹賞:フローレンス・ピュー(「ブラック・ウィドウ」
*最驚キャラクター賞:「ほんとうのピノッキオ」のカタツムリ侍女
*最長脚部賞:ガル・ガドット(「ワンダーウーマン1984」)
 私に3センチぐらい長さを分けてほしい。
 
*最凶邦題賞:「ホロコーストの罪人」
 「最凶」というほどでもないが、原題と似ているようで意味が異なるのでかえって誤解を招く--ということで。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞:「プロミシング・ヤング・ウーマン」
 この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解)
これも「ちゃぶ台ひっくり返す」というほどでもないが、全編なんだかなあという内容のため。

★トホホな出来事
入場する時に検温(手首で測るヤツ)したらなんと37.7度❗ ビックリした。とりあえずニ、三分後に測りなおすということで、コート脱いで(暖かい日だった)待ってて再度検温したら、今度は36.5度だった。
……なんなんだよ(--〆)


【コンサート部門】
コロナ禍で外国人演奏家の来日公演は中止になったものが多かった。それでも行った回数は一昨年よりは増えた。
「Vanitas vanitatum 空即是色」
「イタリア~狂熱のバロック歴遊」
「大塚直哉レクチャー・コンサート 6 聴くバッハ、そして観るバッハ」
「フルートとハープ 600年の変遷」
「ソフィオ・アルモニコで綴るアン・ブーリンの音楽帖」

コンサートではないけど
*「一行の詩のために~つのだたかしと望月通陽の世界」
 NHK-BSP「クラシック倶楽部」で放映された番組。音楽、アート、文学の世界が完璧に融合した完成度高い内容だった。また再放送されたら見てくだせえ(^^)

★古楽関係の出来事
*近江楽堂休止
 改修工事とのことで、なるべく早い復活を願っております。
近江楽堂で聴くチェンバロの音は格別のものがあった。最初に楽器から直に発するシンッとした音が届き、それから円形の壁を伝わってボヤボヤと広がるうちに、聞く者の内側で甘美な響きへと変わる。こんな場所は他に知らない。

*訃報・江崎浩司
 年の瀬に流れてきて驚いた。タブラトゥーラでも一番の「若手」だったので全く予想だにせず……💦 このような過去の記事を発見した。この時、ご当人も含めて「2031年」が普通に来ることを誰一人として疑わなかっただろう(T^T)


【録音部門】
発売年に関係なくこの一年間に気に入ったものということで。
*「ラメント」(ダミアン・ギヨン&カフェ・ツィマーマン)
*「ルクレール トリオ・ソナタ集」(ヨハネス・プラムゾーラー&アンサンブル・ディドロ)
*「ジョスカン・デプレ 世俗歌曲集」(クレマン・ジャヌカン・アンサンブル)
*「パレストリーナ 教皇マルチェルスのミサ」(ビューティー・ファーム)
*「ヴェネツィアの鏡」(ル・コンソート)

220109b *「フォー・フリー」(デヴィッド・クロスビー)
*「ワールド・オン・ザ・グラウンド」(サラ・ジャローズ)
*「ゴーン、ジャスト・ライク・ア・トレイン」(ビル・フリーゼル)
 二十数年前のアルバムだけど、あまりに変なジャケット絵に正気が保てず中古盤で買ってしまった(先に音は聞いていた)。ところで「フリーゼル」と「フリゼール」の二種類の読みがあるが、どちらが正しいのかな(?_?)


【その他部門】
「一度きりの大泉の話」(萩尾望都)
 昨年最大の衝撃の書であった。その後も過去の話が流れてきて衝撃冷めやらぬ、である。

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2021年10月22日 (金)

「ルート66を聴く」

211022 アメリカン・ロード・ソングは何を歌っているのか
著者:朝日順子
青土社2021年

ルート66って名前はよく聞くが具体的には……よく分かりません(^^ゞ などと曖昧な知識しかないのだが、シカゴからロサンジェルスまで米国の3分の2ぐらいを横切る道路である。しかし、やがて州間高速道路のインターステイトが使われるようになってさびれてしまったそうな。(ピクサーの『カーズ』の背景はこれなのね)
イメージとしては、時代遅れの「各駅停車」といったところなのだろうか。
そのような道路沿いにミュージシャンたちが暮らし、あるいは移動する中で生まれたロード・ソング、それをたどっていくのがこの本の趣旨である。
著者は滞米歴が長いだけあって、その土地に根差した曲が生まれたエピソードがリアリティをもって浮かび上がってくる。

取り上げられているのは有名どころではドリー・パートン、チャック・ベリー、プレスリー、イーグルス、ボブ・ディランと幅が広い。
中にはオザーク・マウンテン・デアデヴィビルスなんて懐かしい名前も登場する。聞いたのは恥ずかしなから「ジャッキー・ブルー」ぐらいだが、ヒッピー・カルチャーを背景を持ったバンドだったのを初めて知った。

ザ・バンドに関しては、彼らの歌に出てくるような米国像は架空のものだという論(グリール・マーカスの説だとは知らなかった)が定番だが、著者は長い過酷なツアー生活の中でのリアルな体験や感情から生まれたものだとして否定している。
また、レーナード・スキナードのロニー・ヴァン・ザントが「素晴らしい詩人」というのは全くの同感である。「スイート・ホーム・アラバマ」がかつて(今も?)派手に「炎上」したのはその文才だからこそと言えるだろう。

大きな特徴として、一般に無視されがちなボストン、ジャーニーといった「産業ロック」(こんな名称考えたヤツは責任取れ💢と言いたい)のバンドも取り上げているのが嬉しい。

「ビジネスの規模にかかわらず作り手の情熱が無ければ、聴き手は耳を傾けないはずだ」

自宅の地下室で一人で黙々と宅録……というのは今だったら珍しくもないが、トム・ショルツは時代が早すぎた。「天才」とは呼ばれていたものの完全に「変人」扱いされていたよね。
その後のバンドのトラブルは、恐らく彼が地下室で作り出した音楽自体と「個人作業」のイメージのギャップが大きかったことによるものだろうか。

他には、50人しかいない客の前でピアノを弾き語りするレオン・ラッセルを5ドルの入場料で見て、その数年後エルトン・ジョンによってカムバックしたというエピソード。
また、ストーンズのライヴでキースが歌い始めると客のトイレタイムになる(^^;目撃談が印象深い。

中学生の頃から中古盤漁りしてエドガー・ウィンターのファンだった⚡という著者は「筋金入り」という印象である。一方で都会派やパンク、ニュー・ウェーブは興味がないようで、読者を選ぶ本ではある。
似たような内容でフー・ファイターズでが過去に映像シリーズ「ソニック・ハイウェイ」を出している。巡っている土地も結構重なっているのが興味深い。当然、取り上げているバンドは当然異なるが、取材に応じているベテラン・ミュージシャンはこの本にも登場する(例えばドリー・パートン、バディ・ガイなど)。

やはり米国の広大さが音楽の重層性を支えているんだろう。日本だと地域の差はあるとはいえ、そこまで行かないよね。

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2021年4月 5日 (月)

「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」/「ラスト・ワルツ」再見:共同幻作

210405「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」
監督:ダニエル・ロアー
出演:ロビー・ロバートソン
カナダ・米国2019年

ザ・バンドについては完全に門外漢だけど見に行っちゃいましたよ。
ロビー・ロバートソンが過去を振り返るドキュメンタリーである。

自らの生い立ちから始まり、ロニー・ホーキンスのバンドに参加、レヴォン・ヘルムと知り合って独立してバンドを結成し、やがてボブ・ディランのツァーでバックを担当する。
御存じの通り、このツァーはどこへ行ってもディランがブーイングでヤジり倒された。彼らにとっても本当に嫌でストレスだったのが語られる。レヴォンに至っては途中で逃走してしまった(ーー;)

アルバムを出して人気を得るものの、その間に自動車事故が起こったり、酒とドラッグでツァーが崩壊状態になったりして、ロビーはもうバンドとして続けていくことができないと思うようになる。そして解散へと心が傾いていく。
当時の映像が全て残っているわけではないが、写真などでうまく繋いでいるのでインタビュー中心でも飽きることはない。

間にホーキンス、スプリングスティーン、クラプトンなどが出てきてザ・バンドへの愛を語る。ピーター・ガブリエルが登場したのは驚いたけど、名前が出るまで誰だか分らなかったというのはヒミツだ(;^_^A
笑ったのはクラプトンで、彼らの音楽を聴いて大感動して参加させてくれと頼んだが断られたそうな。
スコセッシも数回出てくる。映画の話より、当時のザ・バンド自体についての言及が多い。

しかしこれはあくまでもロビーの語りである。今でも存命しているメンバーは他にガース・ハドソンだけで、しかも彼のインタビューはないのだ。
「兄弟」であった男たちの絆が崩壊し『ラスト・ワルツ』に至って終了する--という、ある種感傷的な流れで物語としてうまくまとまっているが、まとまり過ぎの感がある。
ファンの人はどう思うのだろうか。

『ラスト・ワルツ』からのコンサート映像も使われている。おかげでもう一度見たくなった。私が見たのは昔に一度だけで、共演してたミュージシャンのこともろくに知らなかった頃である。
ザ・バンドというのはあの時代では特殊な立ち位置で、比べられるのはリトル・フィートぐらいしか思いつかない。今だったら、ルーツ・ロックとかアメリカーナとか分類されるかもしれないが。
それと5人編成のロックバンドでキーボード2人というのも珍しくないか!?


「ラスト・ワルツ」
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ザ・バンド
米国1978年

というわけで結局また見てしまった『ラスト・ワルツ』である。ツ〇ヤでレンタルしたらちょうどケーブルTVで放映していた。トホホ(+_+)
もっともDVDには特典のコメンタリーや映像が付いている。
前に見たのはどうもリバイバル上映で1999年らしい。それでも20年は経過しているわけだ。

今回改めて驚いたのは歌詞の字幕が付いてないことである。最近のコンサート映画は付いていることが多い(『ザ・バンド』でも同じ演奏場面にはあった)。ファンは分かっているからいいだろうけど、私のような門外漢にはキビシイ。
それどころか曲名も途中に出さない。エンドクレジットにまとめて記されているだけだ。

一度通して見てからコメンタリー付き(しかも2種類ある)で飛び飛びに見直したりして2倍以上の時間かかってしまった。何をやっているんだ(~_~;)

ゲストでまだ若くてツルピカのジョニ・ミッチェルが登場している。思わずそこは二度繰り返して見てしまった。
ニール・ダイアモンドは他の出演陣に比べると完全に「外様」で、公開当時「場違い」みたいな言い方をされてたのを思い出した。ロビーの人脈で出演したらしいが、確かに微妙な距離感である。

ヴァン・モリソンは激熱のパフォーマンスをやってみせた。なのに、あの変な衣装はなんなのよ(?_?)……と思ったら、2種類のコメンタリーともこの衣装のことを触れてたので皆同じに感じるらしい。
ボブ・ディランについては撮影しない約束で弁護士が見張っていて、撮り始めると猛抗議してきた。それを、ビル・グラハムが会場から叩き出したという話には笑った。
当時の撮影スタッフのコメントではスコセッシが相当に細かくうるさくて辟易してたらしいのがうかがえる。

以前見た時には印象に残らなかったが目を引いたのは、インタビュー場面でリック・ダンコがフィドルを小脇に挟むようにして持って弾いてみせたことである。当然弓は上下垂直に動かす。こんな弾き方があるのかとビックリした。
これじゃ、ルネサンスやバロック期のような昔に楽器をどんな持ち方してたかなんて、今では完全には分からんわなあ。

見直してみて、スコセッシはロビー・ロバートソンを主演に据えた映画(テーマは有終の美学✨)を作りたかったのだなあ、と思ってしまった。コンサートの準備段階から関与していたというのだからなおさらである。もうこれは「共作」と言っていい。ドキュメンタリーでありながら「虚構」のような。
そうしてみると『ザ・バンド』の方は、結局そのテーマをさらに後から補強する役目を果たしているようである。
問題は他のメンバーが解散を考えてなかったということだわな💥
とすれば、40年後のロビーの語りは「弁明」とも受け取れる。

後に知られるようになったことだが、ライブ場面の音はほとんど後から差し替えやタビングしてあるらしい。あちらのコンサート映画では珍しくないことだそうだ。
差し替えてないのはレヴォン・ヘルムとマディ・ウォーターズだけとのこと。
マジですか(!o!) ますます虚構味が……💦

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2021年2月24日 (水)

「メイキング・オブ・モータウン」:音楽と産業、その深い仲

210223c 監督:ベンジャミン・ターナー
出演:ベリー・ゴーディ、スモーキー・ロビンソンほか
米国・イギリス2019年

米国はデトロイトの地に発するモータウン・レーベル。創始者ベリー・ゴーディJr.がスモーキー・ロビンソンと共に爺さん漫才して笑わせつつ、その音楽とビジネスの歴史を語るドキュメンタリーだ。
ゴーディが頑固オヤジ風なのに対して、ロビンソンの喋り方がなんとなくオネエっぽいせいもあって対照的でいいコンビである。
テンポよく進み……進み過ぎて全く知識のない人には付いていけない可能性はあるけど面白かった。

基本的には「光と影」ではなく「光と光」を描いている。ヒット曲を製作する方法をデトロイトの自動車工場から学ぶという発想が語られる。
また天才少年時代のマイケル・ジャクソンやスティーヴィー・ワンダーの映像が登場し、その輝きには目がくらむ。
一方、あの悪評ふんぷんだったダイアナ・ロス主演『ビリー・ホリディ物語』は名前が出て来たと思ったら、瞬時に通過であった。

70年代以降になると駆け足になってしまったのは、いかに「産業」を目指しても時代の変転についていくことは難しかったためか。それとも発祥の地デトロイトを離れたためだろうか。
それにしてもようやく今になってマーヴィン・ゲイの「ホワッツ・ゴーイン・オン」をしぶしぶ認めるとはゴーディもとんだ頑固者である。

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2021年2月21日 (日)

「真夏の夜のジャズ」:真昼のヨットハーバーにモンクの硬質なピアノが流れるのだ

210223a 監督:バート・スターン、アラム・アヴァキアン
米国1959年

コンサート映画の名作としてよく知られるドキュメンタリー。これで4回目のリバイバル上映だそうだ。ジャズは門外漢なので今回初めて見た。
1958年のニューポート・ジャズ・フェスティバルに加え、同時期に行われたヨットのレース場面、そして風光明媚な港町の光景が並行して(バラバラに)収められている。

一番驚いた点は「なぜにチャック・ベリーが出ているの?」である。当時だとまだジャンル分けが緩いのだろうか。バックのベテラン・ジャズミュージシャンたちがノリノリで共演している。特にクラリネットのソロのおじさんがド迫力の吹きまくりだ🎶

その後のチコ・ハミルトンは一転して情念と沈思渦巻く演奏を展開して、これまた引き付けられる。それから昼間の緩い時間に登場したアニタ・オデイが強烈だった。
ルイ・アームストロングやマヘリア・ジャクソンは生きてる姿を拝ませてもらっただけでもアリガタヤ(^人^)という感じ。

聴衆の場面は、明らかに仕込みや別撮りが多そう。ファッショナブルな客についてはモデルや役者に頼んだのかしらん。夜の公演で踊っている場面もアヤシイ。それだったら演奏の映像をもっと入れてくれと言いたくなった。
ヨットの試合場面も中途半端な挿入だし、オシャレな映画を目指したのかね。

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