映画(タイトル「ア」「カ」行)

2026年3月20日 (金)

「クライム101」:不器用なヤツ

260320 監督:バート・レイトン
出演:クリス・ヘムズワース
米国・イギリス2026年

内容はクライム・サスペンスに分類されるか。しかしこのジャンル、今はそれほど客が入るものではないと思われるが……。
とはいえ役者の顔ぶれが無駄に豪華すぎたためだろう、大規模なロードショー展開がされた。実際にはそんな派手な内容ではないので、私が見た時の客は5人でした~😇

見た人の意見が賛否両論であまり期待してなかったのが逆に幸いしたか、結構気に入った。
派手な銃撃戦はないが、カーアクションは結構ある。かなり派手に暴走してるのにパトカーが全く来ないのはどうしたことよ。LA市警大丈夫か。埼玉県警だってもうちょいマシなんでは?などと思ってしまった。

強盗稼業にはげむ主人公は『ヒート』よろしく、生活の痕跡を残さず殺風景な部屋に孤独に暮らしている。もっともあの話では常に逃走を考え一種の信念としてそんな方針を取っているのだが、こちらは単にいい加減なのか不器用なのか、そんな風に見える。

一方冒頭から登場し、並行して描かれるハル・ベリー演じる高額保険の勧誘員はどうかかわってくるかが見どころ。
彼女が53歳という女の年齢の焦りを忌憚なく見せているのがよかった。53歳!今ここでステップアップできなければ、もはや最後までどん底を這わなければならぬ。どうするべきか。ジワジワと来る。
もっともご当人は60歳らしい。信じられねえ(>O<) ぜひ若さの秘訣を教えていただきたいもんだ。

もう一人、主人公にストーカーの如く引っ付いてくる暴走小僧(バリー・キオガン)は行動が雑過ぎて何をしたかったのか不明。
捜査に熱心過ぎて敬遠されてしまう刑事のマーク・ラファロはヨレヨレしたところが魅力だろう。

4人がそれぞれに動いていく。このジャンルとしては久々に満足な出来だった。
印象的な場面は幾つかあって、特に同じ車内で刑事と主人公が会話をする場面に緊張感あり。ただ、終盤の展開はあれで口裏合わせられるのかなどと疑問に思った。
観客の若いカップルで男の方が「最後がよく分からなかった。だから洋画ってイヤなんだよー」とかごねてて、まあそこが分かりにくいのは確かではあるな……💥

ところでマッチング・アプリ(?)の質問で、「手錠」のところは設問の意図と主人公の回答が完全にズレていると考えてよろしいかな(^^?

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2026年2月21日 (土)

「ウォーフェア 戦地最前線」:戦場の日常

260221 監督:アレックス・ガーランド、レイ・メンドーサ
出演:ディファラオ・ウン=ア=タイ
米国2025年

以前『シビルウォー』を見た時に、本筋とは別に兵士たちの描写に心惹かれるものがあった。黙々と移動していく姿、ひたすら目標に向かって突入する様子などである。
実は戦争映画はあまり好きではないのだが、あの映画でアドバイザーだったメンドーサとガーランドが共同監督する戦争映画ということで見る気になった。

2006年イラクが舞台である。とある町で敵集団の監視をしていた--といっても勝手に民間人家族が住んでいる家を占拠したのだ--米軍小隊が襲撃にあう。

ほぼ兵士たちの主観だけで成り立っている世界(彼らの「記憶に基づく」とクレジットされている)で余計なものは一切なく、視界の中で起こる監視・戦闘・脱出--それだけが描かれている。ここまで来ると潔いとさえ言えるだろう。
そして寸断された身体、泣き叫ぶ負傷者、錯乱に近い大きな混乱。これらを見せつけられ聞かされるのはあまりに恐ろしい。
見る者をその世界に没入させる、とはまさしく映画本来の役目だろう。その役割が十二分に発揮されている。見終わった後は言葉もない。
最後に現在の実際の証言者が紹介される。ただし顔がボカシの者が多い。

それにしても、混乱した政情下とはいえそれなりに平穏に暮らしていた家族には突然家を取られて青天の霹靂という事態だったろう。ラストの父親の言葉は相当に皮肉といえる。
あと、イラク兵って二人いたよね💦 一人は分かるけどもう一人はどこへ……(?_?;;


私が見てて注意力不足だったかもしれないが、米軍側の被害は手榴弾と爆弾によるものということでいいのかな。確か銃撃でやられた者はいなかったような。
あれだけ雨アラレと撃っているのに当たらないとは、よほど効率が悪いものなのか。

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2026年2月 6日 (金)

「グッドワン」:娘はそれを我慢できない

監督:インディア・ドナルドソン
出演:リリー・コリアス
米国2004年

17歳の娘、その父、彼の友人が山中のキャンプに出かける。そもそもは友人の息子も一緒に行くはずだったが朝から親子ケンカしてしまい3人になってしまったのだ。旅の冒頭から暗雲🌀--というほどではないが前途多難な予感である。

山中で娘は「よい子」としてかいがいしく中年男たちの世話をし(まさにケア労働)、彼らの無神経な言い合いや勝手な行動をフォローしてやる。少しぐらい不満があっても明確には訴えない。
しかし小さな齟齬は積み重なっていく。そしてあることをきっかけに決定的な亀裂が生じる(それすら男たちは認識できない)。彼らのボーイズ・クラブの常識に娘に対するケアはないのだ。

美しく雄大な自然の中で積もっていく鬱屈、すり減り失われる信頼と愛情。そんな瞬間をとらえていて恐ろしい映画である。これが監督の実体験を基にしているというからさらにコワい。
上映時間89分、短いけれどグイグイと詰めてくる映画だ。娘役の人が巧かった。

ラストの「小石」の場面は一体何を示しているのかよく分からなかった。話し合おうという意志を示したものだという説を後で見たが、実のところあまり納得できていない。

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2025年10月 1日 (水)

「シンシン/SING SING」「カーテンコールの灯」:幕が下りてから幕が上がるまでの間

250930a ★「シンシン/SING SING」
監督:グレッグ・クウェダー
出演:コールマン・ドミンゴ
米国2023年

アカデミー賞主演男優賞候補シリーズ5作目(過去記事で数え間違いしていました(^^ゞ)。
悪名高きシンシン刑務所で演劇による更生プログラムに取り組む男たちを描く映画である。出演者のほとんどが自らを演じる受刑者という虚実合わせた配役--撮影に参加しているということは正確には「元受刑者」ということだろう。(ただし主役のコールマン・ドミンゴを除く)
生まれついての悪党のような男と、無実の罪で獄中にいる主人公の生き方がそこで交錯していく。

プログラムでは外部の演出家兼脚本家を指導者として招いているが、読書家のGはその補佐役のような役割を果たしている。しかしム所内でヤクをさばいているような悪党アイがなぜか参加してきて、悲劇より喜劇がいいと言いながらハムレット役を希望するなど周囲をかく乱する。
Gが、自らについて「ニガ」という言葉を使うアイに対し「ニガではなくてブロ(兄弟・相棒)と言え」と忠告する場面があるが、終盤に至ってこれが効いてくる。

閉ざされた空間、塀の中の片隅に観客も潜んで彼らを注視している気分にさせられるのは間違いないだろう。
彼らが演じているのは役なのか彼自身なのか。役者としての巧拙に関係なく、虚実の狭間を突き抜けていくことこそが演技だと感じられる。そういう意味では「演劇」の神髄に迫っているといえるだろう。

とはいえコールマン・ドミンゴはお見事。主演男優賞候補は当然といえる。アカデミー賞では他に歌曲賞、脚色賞がノミネートされた。
以前見た、やはり刑務所での演劇プログラムを元にした『塀の中のジュリアス・シーザー』の感想を貼っておく。なお記事の中に出てくるニック・ノルティが主演したのは『ウィーズ』(これも実話)だった。


250930b ★「カーテンコールの灯」
監督:ケリー・オサリヴァン、アレックス・トンプソン
出演:キース・カプファラー
米国2024年

米国郊外の街、工事作業員として働く中年男がなぜか路上で突然誘われて素人劇団に参加する羽目になる。
演目は『ロミオとジュリエット』。しかしとある理由で、団員はさらに減っていってしまう。
一方、男は何かいつも鬱屈を抱えていて不安定なようである。外からはうかがい知れぬ彼とその家族の背後にあるものが、芝居のリハーサルが進むにつれ浮かび上がってくるのだった。そして上演当日、幕が上がる。
最後にはジンワリ涙がにじみ出てくるという次第である。

演劇が個人と集団の交流に関わり、自己回復に寄与するという点では『シンシン』と共通点がある。演劇はそういう力を持っているのだろうか。
ここで『ロミオとジュリエット』は最終的に50代(?)の中年が2人を演じることになるのだが、あら不思議✨ 舞台の上では十代の恋人たちとして全く違和感がない! これもまた演劇のマジックではないか。
現実と虚構の間を通り抜けていく何かがそこに確実に存在するのだ。

主人公が自分の娘に頼んで『ロミオとジュリエット』のDVDを見せてもらうのだが、その時に彼女が「昔の映画よ」と言ったので、私はてっきりオリヴィア・ハッセーとレナード・ホワイティング(当時女子に人気ありました)版だと思った。だがなんと⚡レオナルド・ディカプリオとクレア・デインズの方だった。ショックであーる。
バズ・ラーマン版は1996年だから今の高校生だったら生まれる遥か前だ。確かに「昔の映画」に違いない。
しかし(ー_ー)!!映画でなくて演劇だったら、この作品のように現在のディカプリオとデインズがやっても問題はない。そこに映画との違いが如実に示されている。

団員の個性的すぎる面々が面白い。特にドリー・デ・レオンという女優さん、最初に主人公に声をかけた時はどう見ても「ガサツなオバサン」だが、後半では可憐なジュリエットに見えるのがすごい。役者というのは恐ろしいもんだのう。

難としては、「全てをロミ・ジュリに寄せ過ぎ」という批判があるが当たっていると思う。もう少し何とかひねってほしかった。
それから、奥さんを放っておいてまず自分だけ立ち直るのはどうなのよという疑問も感じられた。


なお原題の「ゴーストライト」というタイトルは、ラストになってから小さい文字で登場する。聞いたことのない言葉だが、演劇用語で公演がない時にステージの上に一個だけ灯しておくライトということだ。安全のためと悪霊除けの二つの用途があるとか……初めて知った(~o~)

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2025年9月19日 (金)

特集・放課後生活その3「ウィキッド ふたりの魔女」

250919 監督:ジョン・M・チュウ
出演:シンシア・エリヴォ、アリアナ・グランデ
米国2024年

原作本や舞台版について全く知らずに見に行った。
魔法の国の学園に入学した二人の対照的な少女あり(でもルームメイトになる)。エルファバへの無視やいじめの状況は先日見た「Playground/校庭」と重なってウツになる。
その後は怒涛の展開で押しまくり音楽もガンガンと響いて、面白いけど見てて少しくたびれた。情報量が多過ぎて歌をじっくり解釈する余裕もない。

意外だったのはグリンダのキャラクターだ。家柄よくルックスもよく友人が大勢いて注目されるのが大好き。しかし実際は自分の中身がそれに伴っていないことをよく自覚して焦っている。どう考えても多数の観客が憧れるような対象ではないと思うのだが、「明るくて天真爛漫な女の子💖」という感想を見かけて驚いた(~o~) どういうこっちゃ。私には理解不能である。

共に暮らす動物が排斥されて公職追放になるのは、赤狩りかユダヤ人差別か。いずれにしろ魔法の国は美しさと繁栄の陰に不穏な空気が渦巻いている。ただその構造があからさま過ぎて絵解きのようだと言われても仕方ない。これがどうなって『オズの魔法使い』へ繋がっていくかは後編待ちだ。

ミシェル・ヨーの役柄と演技が見ごたえあった。
アカデミー賞10部門候補。美術賞と衣装デザイン賞獲得。


終演後、見ず知らずの同年齢ぐらいのオバサンに突然話しかけられた。あまりに長いんでもう夜の8時くらいになってるかと思ったとか、シール貰ったけどどこに貼ったらいいのか分からないとか、まだ続編があるなんて知らなかったとかグチられてしまった😑

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2025年9月14日 (日)

特集・放課後生活その1「クラブゼロ」

監督:ジェシカ・ハウスナー
出演:ミア・ワシコウスカ
オーストラリア・イギリス・ドイツ・フランス・デンマーク・カタール2023年

裕福な子弟が通う私立高に来た新任の教師。彼女による栄養学のクラスが「意識的な食事」から始まり遂には「不食」へと暴走していく。若者の抱く親への不満や現状へのいらだちが、食欲という人間の基本的欲求の拒否という形になって噴出するのだった。

制服や教師の服装などファッションの配色が独特だ。ハイソが過ぎてイヤミに近い生徒の家、装飾のない直線的な学校建築、いずれも容赦のないモダンデザインの極みである。
一方、音楽はパーカッションと弦(コントラバス?)がシンプルながら不穏さをかき立てる。
見ていて非常に落ち着かない(・・;)

若者たちの不満を吸収して操る教師や最後まで事態を理解できない親たちの姿は、ハーメルンの笛吹き男を思い起こさせる。
途中でゲゲゲとなる場面があり万人にはお勧めできないし好悪分かれそうだが、強烈なヴィジョンを垣間見せている。あと学校のマーク(校章)のデザインもなんとなくヤバイではありませんか🆖
ただ教師の独白場面はいらなかったような。彼女の心中はブラックボックス化した方かよかった。

ハウスナー監督は十数年前に見た『ルルドの泉で』もよかった。その間に一作しか公開されてないのか……。

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2025年9月 8日 (月)

「影の軍隊」:地上波の罠

監督:ジャン=ピエール・メルヴィル
出演:リノ・ヴァンチュラ
フランス・イタリア1969年

この映画を見るのは5回目ぐらいだろうか? ギャングものはどうも好きじゃないのでこれ以外のメルヴィル作品は見たことがない。
若い頃、というか子どもの頃、地上波TV放送で数回見たが2時間枠だと実質70~80分間ぐらいか。当然編集しまくりになり「ボス」についてのエピソードが丸々カットされていた。

それを知ったのは後にレンタルビデオで初めて全編(140分)を見た時である。個々のエピソードが団子状に連なっているようだったのも、こちらでは滑らかに繋がっている。
今回数年前にハードディスクに録画したままだったのをまた見直してみた。

舞台はナチス占領下のフランス、レジスタンス組織に属する者たちを描く。同志の裏切り、密告、命がけの逃走、逮捕されれば拷問か死か。
考えてみればレジスタンスとギャングは似ていなくもない。限定された人間関係の中で、裏切り者は理由を問わず淡々と粛清するのみである。
映像は常に沈鬱を伝える。

途中の山場と言えるエピソード。シモーヌ・シニョレ扮する活動家が逮捕された仲間の救出計画を実行する。ドイツ軍の厳重警備の施設に堂々と軍関係者として乗り込むのである。幾重ものゲートを通る恐ろしい緊張感--その結果がどうなったかを含めて、全くもって派手なドラマ性を排しているといえるだろう。
しかしそのように有能かつ豪胆なリーターである彼女も、後に最も肝心なところでミスを犯す。これもまた皮肉である。

リノ・ヴァンチュラの主人公の「ボス」への崇拝は思慕としか言いようのない域に達している。これにはちと戸惑う。もっともヴァンチュラはメルヴィルが嫌いで何年も出演を渋っていたそうな。ええー(・・?
シニョレは貫禄の一言だ。

ラストの「走らなかった」が非常にかつ非情に効いている。ハードボイルド……。

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2025年9月 7日 (日)

「教皇選挙」:神か亀か

250907 監督:エドワード・ベルガー
出演:レイフ・ファインズ
米国・イギリス2024年

アカデミー賞主演男優賞候補シリーズ4作目。
主人公は創業2000年!世界各地に支店を持つ巨大企業の中間管理職。なんと社長が急死という事案が起こり、早いとこ新社長を決めねばならなくなる。自薦他薦候補者乱立し、各派閥入り乱れて足の引っ張り合い。創業者(イエスの弟子ペテロとのこと)の理念は今どこに行ってしまったのでありましょうか。

「奴は駐在員時代に……」「不正経理の証拠が出てきたとか」「あんな辺鄙な場所に支店出してたっけ」ヒソヒソ(ーー;)
そして、お茶くみコピー取りに甘んじていた有能なお局OL(死語)は陰から全てを見ていた👀

教皇選出というと以前何か見たような気が……と思ったら『ローマ法王の休日』というふざけた邦題の映画だった。ほとんど覚えてないが、内容の方もかなりふざけた話だったように記憶している。
一方、こちらはこちらはシリアス一直線、というかミステリ要素満載のサスペンスである。先代教皇の突然の死によって疑念が疑念を生み、外界から遮断された礼拝堂や宿舎に渦を巻いて流れる。

内容的に同じような服装の中高年男性が決められた空間でウロウロしているだけなので、間違えないようにキャラクターの性格、外見や主張をハッキリ描き分けをしている。これを単純化と断じる人もいるようだが、そもそも「選挙」なんだから明確にしてないと話も進まないだろう。

全体として映像、音響、俳優の演技、どれも堪能した。音楽は最初あおり過ぎかと思ったけど段々と気にならなくなった。色彩のコントラストも美しい。レイフ・ファインズをはじめベテラン勢の役者にはこのぐらいはお茶の子さいさいのもんだろう。
信仰についての論議は私の老化した脳力では追いつかず。再度見ても理解できないような気が。もっとも、そもそも神に縁なき衆生には無理なことか。

予告にも出てくるとある場面について。これは閉塞感に満ちた場が「これで風通しがよくなった」という解釈があるようだ。しかしそこは納得できない。
その前段にレイフ・ファインズの枢機卿が取りまとめ役をやめて自分が教皇になるべしと、スタンリー・トゥッチの親しい枢機卿に対し内心を明らかにする。地味なオヤジ二人のほのぼのとしたいいシーンである。
が、それを神は許さなかった(>O<) その結果があの場面なのである。神様のいけず~⚡あんまりだー💥

終盤の意外な展開については全く想像もせず。「とある人物が仕組んだ」説があることを後から知ったが、いくら何でもあまりに危険な賭けではないか。
それを信じることこそが信仰だと言われたらそれまでだが。私には無理である😑
しかも日本公開から一か月ぐらいで実際にフランシスコ教皇が亡くなって、TVではこの映画も盛んに取り上げられた。現実は映画よりも急展開、ですかね。
アカデミー賞8部門ノミネートで脚色賞受賞。

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2025年7月30日 (水)

ヒーローの明日はどっちだ「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」「サンダーボルツ*」

250730 ★「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」
監督:ジュリアス・オナー
出演:アンソニー・マッキー
米国2025年

これから新展開となるらしいMCU。「キャプテン・アメリカ」は代替わりして映画としてはその一作目である。しかしここに至るまでの間の話は、ディズニープラスでドラマを見てくれよな……と言われても加入してねえよっ(>O<)

内容的にはスティーブからサムへのキャプテン・アメリカ跡目相続事案と、クリス・エヴァンスからアンソニー・マッキーへという役者交代を重ね合わせて、観客の認定を求めるという趣向だろうか。
映画の出来とは関係なく、思わず最後には頑張れサム✨いいぞマッキー🌟と応援したくなるのは必至であった。
ただスーツの中は普通の人、というのは派手なアクション展開をする場合にどうなんでしょうねえ。宇宙の果てで大暴れというわけにもいかず。地上限定政治陰謀もの路線で行くのだろうか。

問題は過去作の『インクレディブル・ハルク』を見てないと話がよく分からないということ。2008年作で確かあまり評価されなかったような……。その時のウィリアム・ハート扮するロス将軍は後もMCUのシリーズにちょこちょこ顔を出していたが、彼が亡くなってしまい代わりにハリソン・フォードが登板。ハートの時は卑劣な冷血漢だったけどフォードは頑固おやじという印象で、かなりキャラクターが異なる。
私は今回たまたまケーブルTVのオンデマンドにあったから見られたが、今作の彼の行動の動機はこれを見てないとよく分からないのではないか。十数年前に見たきりだったらとても覚えていられないだろう。

ということで、「キャブテン・アメリカ」や「アベンジャーズ」の未来はどうなるよ❓という不安を抱かせる出来であった。


250730b ★「サンダーボルツ*」

監督:ジェイク・シュライアー
出演:フローレンス・ピュー
米国2025年

あまり期待しないで見たらなかなか面白かったというパターンの映画だった。『ブラック・ウィドウ』の面々を中心にバッキーが出張出演している。
テンポ良くサクサク進み、過剰に近いシニカルなギャグと泣かせのバランスがうまく取れている。F・ピューはドスの効いた低音の声が心地よく主役をしっかりと担っていたし、バッキーはカッコよかった。

こちらもやはり『ブラック・ウィドウ』やTVシリーズ見てないと「この人誰?」状態になるのが難である。見てても忘れちゃってると冷汗ものだ。見る前の予習復習が必要って、なんだかテスト勉強みたいじゃないの。
SNSでは過去の「○○」と同じ話ではないかという感想が複数の作品名と共に上げられていた。例えば『もののけ姫』と言われれば確かにそうだ⚡と思っちゃう。
それと驚いたのが、某メンバーが金髪になって登場した場面はドラマの『ザ・ボーイズ』そっくりだったこと。自らのパロディ作品をまたパロディし返したということか。

今後についてはてっきりこの面子で別のシリーズを作るのかと思ったら、どうもそうではないという噂もあるようだ(?_?)
もしかしたら「キャプテン・アメリカ」あたりで危機的状況になった時に「助っ人たち」としてチョロっと出没するという形なのかね。

いずれにしてもヒーローたちの明日は全く占えないのであった。
もう、どうにでもなれ~ポイ(ノ ̄ー ̄)ノ

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2025年6月13日 (金)

「ゴールドフィンガー 巨大金融詐欺事件」:無から金を生み出す

監督:フェリックス・チョン
出演:トニー・レオン、アンディ・ラウ
香港・中国2023年

久しぶりに見た香港映画。中心の二人を黄金コンビが演じる。イケイケ押しの一手のトニー・レオンに対してアンディ・ラウは地味に受けるというパターンである。

冒頭は70年代中頃、東南アジアで食い詰めて香港に流れてきた男が一人。やがて口八丁手八丁で成り上がり、イケイケのバブル期を背景に株と人と不動産を転がして巨額の利を得る。
しかし、このハッタリを極める詐欺師を常に注視し、地道な捜査を十数年にもわたり根気強く続ける捜査官がいたのだった。

実在のモデルがいるそうで、見ていて連想するのは『ウルフ・オブ・ウォールストリート』だろう。大きな富を得た結果の金ピカの贅を尽くしたバカ騒ぎの様相には『アプレンティス』も思い出したりもした😑(躁的な盛り上げ方は本作の方が巧いように思える) こういうのは洋の東西を問わないらしい。

背景には宗主国の英国の影もチラチラとする。やはり返還を控えて、当時の香港はもう二度とない特殊な時空間に存在していたようである。
次から次へと淀むことのない語り口。見ごたえがたっぷり詰まった、そういう意味で王道の香港映画といえよう。

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