映画(タイトル「ア」「カ」行)

2018年8月18日 (土)

「ウインド・リバー」:スノー・アンド・デッド 闇に向かって撃て!

180818
監督:テイラー・シェリダン
出演:ジェレミー・レナー、エリザベス・オルセン
米国2017年

半年前ぐらいだろうか、米国映画情報番組で興収ランキングに入っていて紹介されてて、是非見たいと思ったのがこの映画である。
その後日本で音沙汰なくて、果たして公開されるのか危ぶんでいたのだが、ようやくロードショーの運びとなった。
メデタイヽ(^o^)丿

で、実際見た感想はというと……うーむ、正直期待し過ぎたのかなあ(+_+)というもんだった。

米国はワイオミング、先住民の居住地で若い娘の死体が発見される。雪の中、極寒なのに裸足で手袋もなし。近くに住居はなく、レイプの痕跡あり……。
FBIの女性捜査官が派遣されてきて、死体発見者のハンターに協力を依頼する。なにせ、広大な地域なのに地元の警察は6人しかいないのだ。

雪の広野の中に横たわる死体--極めて興味を引く発端で期待も高鳴るというものだ。
しかし、この捜査の中心となる二人ともが白人というのは何とかならんかったのだろうか? どちらかが先住民かまたはその血を引いているぐらいの設定にしないと、物語の趣旨に合わない。
しかも、エリザベス・オルセン扮するFBIは、その人物のバックグラウンドがほとんど描かれず(「フロリダ出身」というぐらい)、「若い/女性/事情を知らない/捜査官」という記号的な存在以上のものではないのである。
いくらオルセンが涙を流して熱演しても、これはいかんともしがたい。

それから、石油掘削地って企業の私有地扱いなのか? 武装した警官何人も連れて行かねばならないということは治外法権みたいになってるのか? ほとんど説明がないのでよく分からない。(そこで、騒動が起こりそうになった時に、警官の一人がFBIに「見なかったんだな!」と詰め寄るのもなんの事か分からなかった。私がどこか見逃したかしらん)

西部劇っぽいという意見を幾つか見かけたが、私もそう思う。往年の西部劇に倣うなら主人公二人が白人なのも納得だろう。
一方、西部劇ならキモと言えるはずの撃ち合いの場面は、何が何やらよく分からずあっという間に終了。ライフルの場面は迫力あったけど。
西部劇をなぞるならそういう所もキチンとやって欲しい。

ところが、事件の解明部分はほとんど唐突に捜査側とは全く無関係に挿入されたように描かれる。この部分はその後の顛末を考えると誰も知りえない状況である。
そんな知りえない描写を事細かに描いたという目的は、ただ一つ、ラストでの主人公の行為を正当化するためであろう。
そういや、唐突に事件の真相が明らかにされてしまうというのは『ビューティフル・デイ』でも、同様だったのを思い出した。
順を追って事態を徐々に明らかにさせていくという手順を描くのが、面倒くさいのか。
監督は脚本家として名を上げてきた人らしいけど、かなり問題である。

あと、見てて気になったんだけど、娘が雪原に倒れてて、その足跡を逆にたどって犯行現場を見つけるのは、吹雪が頻繁に起こるがら無理dangerというのは分かる。しかし、それだったらスノーバイクとか雪上車の痕跡も消えちゃうと思うんだけど……。事件から何日も経ってるよね(?_?)

かように細かいことが気になってしまった。世評では高評価の作品なんだけどねえ。
最近、こんなんばっかである(+o+)トホホ 

加えて、映画館でラストのいちばんいい所で、高齢のオヤジが3回もスマホの呼出音鳴らして、集中力が削がれてしまった。最悪だ_| ̄|○
鳴ったら即切って欲しい(というか、最初からバイブか電源オフにしてくれ)。相手の名前確認してんじゃねーよannoy

なお、先住民の女性が殺されて発見、という事件は頻繁に起こっているらしい。この映画見た後にも5人の子の母親が殺されたというニュースが流れた。米国の暗黒面だろう、コワ過ぎだ。


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2018年7月29日 (日)

「イカリエ-XB1」:ファイナル・フロンティア 前世紀との遭遇

監督:インドゥジヒ・ポラーク
出演:ズデニェク・シュチェパーネク
チェコスロヴァキア1963年

S・レム原作(日本では未訳)、1963年チェコ製SFである。『2001年』や『スタートレック』に影響大--となれば、やはり元SF者としては見に行かずばなるまいよ。

2163年、地球外生命とのファーストコンタクトを求めて巨大宇宙船が旅立つ。乗員は科学者の男女40名。船内にはスポーツジムなど娯楽施設も完備、ダンスパーティをやったりもするのだ。(未来のダンスはちょっと笑ってしまうかも)
このような設定や指令室の内部を見ると、確かに『スタトレ』の元ネタっぽい。
また、宇宙船内部の通路のデザイン、丸いポッドに乗って船外活動に出るという場面は『2001』に似ている。
音楽はバリバリの電子音楽で、今聞くとレトロフューチャーっぽいのだった。

もっとも、50年代にはハリウッド製のSF秀作も多く作られていて、この作品もその影響を受けているのは否定できないだろう。当然、東側では公開もされなかったろうから密かに見たのだろうか。

事故で死者が出たり、病気が流行ったり--というアクシデントの中で、興味深いのは途中で遭難した地球の宇宙船を発見する件りである。争いのためか全員死亡しているが、乗員はナチスのような軍服を、女性はドレスを着ていて、極秘裏に第2次大戦中末期のあたりに旅立ったように見える。しかも、核ミサイルを搭載していたのだ。
副船長は「アウシュヴィッツ」と「ヒロシマ」を「20世紀の遺物」と呼び、ここで遭遇したことに驚く。
2163年にはこの二つが消滅して無縁になっていると、映画の作り手は考えたのであろう。しかし、現実には世紀をまたいでも絶縁できていないわけなのだが……。

ラストは、明確には描かれていないものの明るい展望への示唆で終わる。
ここから、ファースト・コンタクトの相手がソラリスの「海」へと至った、レムのその後について考えざるを得ないのだった。

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2018年7月 5日 (木)

「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」:アメリカン・ウーマン 血と汗と涙のトリプルアクセル

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監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー
米国2017年

公開される前から「アリソン・ジャネイの毒母bombぶりがすごい」と話題になっていた本作、おかげで彼女はオスカーの助演女優賞を獲得したぐらいだ。

1994年に起こった「ナンシー・ケリガン襲撃事件」、フィギュア・スケートのファンでもない私には「ああそんなこともあったな」という程度の記憶しかないのだが、翻って考えれば、ファンでなくても知っているのだから、当時相当の話題になったわけである。

スケートの技術的な面では極めて優秀だったトーニャ・ハーディングが、なぜライバルを襲撃したなどというスキャンダルに巻き込まれたのか。
そもそも、貧しい家庭ながらも幼い彼女にフィギュアを習わせ、一旗揚げようと猛訓練する母親……しかし、問題なのはそれだけではなかった。後半は毒母から縁が切れても今度は、若くして結婚したDV亭主、さらにそのアヤシイ友人が、彼女の人生をかき乱すのであった。
もっとも、彼女の方も全く負けていない。かなりのビッチぶりを発揮だ。

この4人はそもそも「不誠実な語り手」である。本当のところ、事件の真実は分からない。で、映画は疑似ドキュメンタリー風に彼らに過去の事件を語らせる。さらに、それ以外の場面でもカメラ目線で喋らせて、それぞれの立場と正当性を主張させるのだ。
なるほど、複数の関係者の主張が食い違う事件についてはこのような描き方が有効かもしれない。例えば『デトロイト』とか……。でも、あの題材でこんな手法取ったら冗談じゃすみませんわな(@_@;)

全編シニカルなコメディタッチで、脱力系の笑いに満ちているが、それでもヒロインが鏡の前で号泣する場面はド迫力だった。なんだかこの全く共感しがたい人物に同情してしまう。
演じたマーゴット・ロビーさすがであるflair オスカー、候補にはなったけど取れなくて残念でした。

返す刀で、さんざん大騒ぎした揚句にO・J・シンプソン事件が起こると波が引いたようにいなくなってしまったマスメディアを斬り、狭量なスポーツ界を指弾、さらには米国風サクセスストーリー自体を批判し、感動を求めスキャンダルの好きな観客をも避難する。
演出と脚本、編集共にお見事である。
おっと、普通の試合中継では見ることができない間近なスケート場面の映像も、思わず見入ってしまうものだった。

ラストに当時のニュース映像がちょっと流れるが、実物のご本人はM・ロビーよりもずっと華奢な感じでお人形みたい。だから、言動とのギャップが余計に目立ったんだよね。

亭主役はバッキーことセバスチャン・スタン--って、えー(!o!)言われないと分からなかった。
あと、その友人ショーン(P・W・ハウザー)については「絶対に見ているだけでイライラする」「二度と目にしたくない」超弩級の悪役、久々の出現であるannoy チラシによるとこの男は「自称元諜報員。実際はニートで童貞」とか書かれちゃってるのだが、これって典型的中二病か……(+o+)

なお、使用されている音楽が懐かし過ぎ。ハート、ZZトップ、バドカン、フリート・ウッドマック、このあたりはみんなアルバム買いましたヽ(^o^)丿
と思ったら、ネットの感想に「歌謡ロック」とか書かれていて、そうか、私は歌謡ロックが好きだったんだ~notesと今さらながら自覚した次第である。


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2018年7月 1日 (日)

「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」:オールスター・バトル 世界は君の手に

180701
監督:アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
出演:ロバート・ダウニー・Jr
米国2018年

「アベンジャーズ」シリーズも遂に3作目。でも、これで終わらなくて後に続編あり、というのは以前から聞いていたが、実際見るとあと一回で片が付くんですか~(>O<)と叫びたくなった。
何せ、マーベルのヒーロー全員集合みたいな感じで(欠席者あり)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が新たに参入。しかもストーリー上、これが一番重要な位置付けになっているのには驚かされた。あ、『ドクター・ストレンジ』も新規参入でしたな。(おかげで、事前にTV放映を見てしまったじゃないの)

しかも、それぞれのシリーズは全く性格が異なってキャラクターのノリも違うのに、そのテイストを残したままよくぞ合体できたものよ。その手腕には頭が下がる。
一番、ワリを食ってるのはキャプテン・アメリカか。見せ場はあまりなし。盾を返却しちゃったからかしらん?

加えて、銀河を股にかけた複数の戦闘を同時並行して描くという離れ業である。問題は、見ているこちらが老化激しく記憶力減衰のため「あれっ?6個のインフィニティ・ストーンてどんなだっけdanger」になってしまったことだろう。
と、思ったらこちらのブログでちゃんと解説してくれてました。予習復習に大変役立ちます(^.^)d

その戦闘シーン、最強の敵サノスとその手下たちが宇宙から次々と襲撃してくる。で、これまでの作品ではなんとかなっていた個々の能力の描き方が、さすがに無理になってきたのではないかと感じてしまった。いくらなんでもブラック・ウィドウみたいに「生身」の人間が異種生物と闘うのは難しいんじゃないんですかね(^^?)

……と、そんなことをよく考える暇もなく次々へと展開して、最後にはあっと驚く結末に至る。おまけに、スパイダーマンとアイアンマンの絡みのシーンではちょっと涙ぐんじゃったしsweat02
ええー(>O<)どうなっちゃうのtyphoonギャーッ……と叫びたくなるのをこらえたまま終了。は、早く続きが見たい。しかも、新キャラクターが参入の予兆もありだ。
というわけで、口アングリ状態のまま終了。この後どうなるか判明するまでは評価もくだせねえ(いや、もちろん面白かったですけど)。次回持越しである。

様々なキャラクター登場しての複数展開なので、ちゃんと把握できたのかも心もとないので、もう一度ぐらい見たかったのだが、結局ヒマがなくて無理だった。
そのうちTV放映するだろうから、その時に見直そう。

なお、お気に入りの場面は、慣れぬパワードスーツに悪戦苦闘するハルクを、冷たく見下ろす『ブラックパンサー』のオコエ姐さん。厳し過ぎよんheart04

ところで、米国では興行的に大人気を博した本作(この文章を書いている時点でまだランキングに入っている)、日本では今一つパッとしなかった。まあ『名探偵コナン』が、ぶっちぎりで強すぎたとはいえ……。
日米でこんなに差が出たのは、日本人は複数の話が同時的に重なり合うような話に慣れていないからだ、という説を見かけた。しかしそれだったら、他シリーズに関係なく単品で鑑賞可能な『ブラックパンサー』もまたウケなかったのはおかしい。何か他の理由があるんですかねえ。


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2018年6月25日 (月)

「女は二度決断する」:リベンジ・オブ・ネメシス 嘆きの聖母

180624
監督:ファティ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー
ドイツ2017年

これを見た人は、終盤までは『スリー・ビルボード』に似ている--と思うだろう。

双方とも母親である女性が家族を理不尽な犯罪によって殺され、司法や行政が正しく対応せず、犯人は罰せられない。周囲の人々も無理解である。
そしてふつふつと湧き上がる復讐の念thunder

で、結末まで行って「二度決断」とはこういうことかと分かった。でも、何やらモヤモヤするものを感じてしまった。確かに意見が分かれる結末ではあるが、その決断自体よりも「これはこうに決まってて、あれはああなんだから」というような展開がどうも納得できない。ヒロインの人物設定もストーリーに沿うようなものになっている。
結論ありきで、そこに至るまでの描写には何一つ揺らぎはないのである。(ヒロインが決断に迷う、ということを言いたいのではない)
そういう点でも、『スリー・ビルボード』に似ている。
こう感じてしまったのは、この映画の前に『ニッポン国VS泉南石綿村』を見たせいかもしれない。(このドキュメンタリーにも被害者の遺族が登場する)

加えて、映画全体がダイアン・クルーガーの泣きの演技に頼りっぱなしなのも気になった。そりゃ、見ている側はもらい泣きしてしまうわなあ(/_;)
考えてみれば、彼女はこの演技でカンヌの女優賞、『スリー・ビルボード』のフランシス・マクドーマンドもアカデミー賞主演女優賞を獲得している。やはり「母親」役は受賞率が高いのか。

アキン監督作は『消えた声が、その名を呼ぶ』はよかったが、その次の『50年後のボクたちは』今イチどころか今サンぐらいだった。もう次作は見ないかも。

ところで、ヒロインがサムライの入れ墨をするのは、特攻精神を表わしている--って本当かいsign03
それと、ドイツの裁判ものってあまり見た記憶がないが、刑事裁判で被害者も弁護士雇って参加するのは驚いた。しかも、検事はほとんど発言しなくて、被害者側ばかりが反対尋問するってのはどういうこと。控訴するかどうかも被害者が決めるのか(?_?)

朝日新聞の映画欄で、記者がアキン監督に論争を挑むようなインタビューをしたということで話題になったが、どのメディアを見ても同じような生ぬるい記事よりはいいんじゃないかと思ったですよ。


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2018年6月 7日 (木)

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」:ロンドン・アンダーグラウンド 首相はつらいよ

180607
監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン
イギリス2017年

『ダンケルク』は未見だし、英国近現代史にも疎い私σ(^^)なので、アカデミー主演男優賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞のお手並みを拝見しに行きましたよ。

チャーチルの実物はよく知らねど、別人のようにふくれあがったゲイリー・オールドマンが、押しの一手で困難な時期の指導者を熱演する。まさに一見の価値はあり。

党内のパワーバランスで首相になったものの、与党内でも嫌われ者につき議会運営に苦闘する。国王ともうまく行っていない。
しかし一方でナチスドイツの脅威が迫るのであった。和平か抗戦かpunch その揺れる数か月(首相就任からは一カ月間)に的を絞って描く。

ストーリーだけだとオヤジな政治家たちが暗い議事堂や地下の作戦本部でウロウロするのに終始してしまうのを、秘書や奥さんなどの女性からの視線や戦場場面を入れて単調さを防いでいる。
英国の議場って今でもあんな狭苦しいの? あれじゃ日本みたいに居眠りなんかしてたら一発でバレますわな(^○^)

ただ、後半の展開はやや強引過ぎではdashとも感じた。
チャーチルがロンドンの地下鉄に乗って市民の声に直に触れ(このことはフィクションらしい)、それに勇気づけられ声を引用しつつ、抗戦の演説を熱くブチ上げる。大変、威勢よく意気上がる展開であるが、地下鉄で職工風の男がドイツが攻めて来たら「棒を持ってでも戦う」と断言する場面を見て、「そういや昔、竹ヤリで首都決戦bomb」などと言って負けた国があったなあなどと思い出してしまうと、その熱気も冷めるというものだ。
まあ、その後ロンドンも空襲を受けるのだが……。

勝てば官軍、勝てば竹ヤリも美談になるというわけか。
そこら辺りは深く考えずに、重厚味あふれるセットや照明、撮影、役者の演技を楽しむべき作品かも知れない。

公開後、インドの評論家(?)が「チャーチルはこんなエエ奴じゃないわい」と批判した話が伝わってきた。それに対して「2時間の映画にテーマと直接関係ない部分まで入れられる訳がない」という反論があった。
しかし、歴史とは過去のものではなく現在の視点に他ならず、実話に基づいた歴史映画の二時間の中に何を取捨選択するかという事自体が、既に「政治」の表出に他ならない。

ということで、インド側からは是非、極悪支配者チャーチルに一矢報いる『バーフバリ』風活劇を作っていただきたい。

ところで、終盤、チャーチルの奥さんが軍服着て写真を撮る時に憂鬱そうな顔だったのは何故? その後何もなくて終わっちゃったんだけど(?_?)


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2018年4月14日 (土)

「エル ELLE」:スキャンダラス・ウーマン 女、外に出れば7人のヘンタイあり

180414
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
出演:イザベル・ユペール
フランス2016年

予告ではサスペンス・スリラーのように宣伝していたが、実際見ると全く違った。私が思い浮かべたのは『大人の事情』のような、人間のバカバカしさを描いた喜劇であった。

アダルトゲーム会社を経営するヒロインは或る夜、謎の侵入者に自宅で襲われる。しかし彼女は警察に届け出たりせず、平然とそのまま息子に会い、友人たちに被害を告げて反応を見る。自分で犯人を探し出そうと画策するのであった。
もっとも、彼女は子供の頃に父親の犯した犯罪に巻き込まれた過去があるので、「被害者」にはなりたくないということで警察沙汰を敬遠したかったのかもしれない。

ここで、周囲の男たち(容疑者候補も含む)がロクでもない奴ばかりなのが描かれる。元夫、親友の夫、息子、母の愛人、若い社員たち……。
もっとも、女の方はマトモかというと、そんなことはない。これまたどうしようもないのである。母親、息子の嫁、親友、母の愛人の浮気相手……。極めつけは隣人の妻だろう。彼女の最後の発言には、観客全員があきれるはずである。

こんな変人たちに比べたら、確かにヒロインは言動が過激とはいえ、まだマシかも知れない--などと思えてくる。
あと宗教に対する皮肉はかなりなもん(^_^メ)

ヴァーホーヴェンの演出は一貫して登場人物の心理を描かず、ただあきれた行状をそっけなくスクリーンに映し出すのみ。
ここから得られる教訓は--ないっempty 苦笑するだけである。

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2018年4月11日 (水)

「女の一生」:ターゲット・オブ・ラブ ジョウロいっぱいの愛を

180411
監督:ステファヌ・ブリゼ
出演:ジュディット・シュムラ
フランス・ベルギー2016年

なぜ今『女の一生』映画化sign02 それもスタンダード・サイズ画面とは(!o!)
すみませ~んm(__)m モーパッサンの原作読んだことありませんng
本来ならばパスするところではありますが、見ることにしたのは監督が「ティエリー・トグルドーの憂鬱」のステファヌ・ブリゼだったからである。

ヒロインのジャンヌは男爵家の一人娘。父母に愛されて育つが、教育のため窮屈な修道院へ。やっと開放されて、素敵な殿方と結婚heart02と夢を膨らませる。しかし、夫となった二枚目のカッコエエ子爵はまさに「色男、金と力はなかりけり」を地で行く野郎で、加えて誠意もない食わせ者なのだった。

なんと彼女の親友とも言える召使娘に手を出してしまう。破局寸前のところで今度は彼女が妊娠。夫に裏切られた代償か、今度は生まれた息子を溺愛するも、彼は父親譲りらしくどうしようもない甘えん坊の浪費家なのであった。おかげで家は没落していく。

と、ロクでもないエピソードが延々と続く。しかもこの監督の手法で、重要な事件の場面を直接描かずその後のリアクションだけを見せるので、ドラマ的に盛り上がることはない。

多く時間が割かれるのは、自然と四季の描写であり、ヒロインがその中にたたずむ姿が繰り返し登場する。頻出する海辺の場面は寂しく陰鬱である。
一方、夕刻の室内の場面なども照明が完璧で、まるでラ・トゥールの絵画をそのまま再現したかのようだ。

父親から庭園の手入れの仕方を教わり、菜園にジョウロで水をやる場面も繰り返される。「あふれる愛をただジョウロで注ぎ続け、息子を根腐れさせてしまう」という感想を書いてた人がいて、思わずウンウン(゚ ゚)(。 。)と頷いてしまった。
彼女は水をドボドボ注いで、いつもその泥の跳ね返りがスカートの裾を汚しまくっても全く気に留めないのであるsweat01 象徴的なシーンといえるだろう。

ラストは、それまでの彼女の下降人生を一変fuji新たな希望を得たように見える。しかし、「懲りずにまた同じこと繰り返すんじゃないの(^^?)」と観客が思っちゃうのも事実。監督はあくまでもヒロインを冷厳に突き放して描くのであった。
主役のジュディット・シュムラも世間知らずなお嬢さんから頑迷な初老の女まで見事に演じている。
善きにつけ悪しきにつけ、まさに「女の一生」はかくの如しなのだった。

前作では劇伴音楽は使用してなかったと記憶しているが、今回は幸せな場面のみフォルテピアノによるデュフリと(名前読み取れなかった)もう一人の作曲家の曲を流していた。ちょうどフォルテピアノが使用されていた時代のようだ。


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2018年2月10日 (土)

「カーズ/クロスロード」

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監督:ブライアン・フィー
声の出演:オーウェン・ウィルソン
米国2017年

ハリウッドのセクハラ告発の波はピクサーのJ・ラセターにまで及んだ。ラセター、お前もか(!o!)
だが、その内容は「セクハラ」などというイメージを遥かに越えたものであった。女が会議に参加してるとコーフンして会議できないdanger--みたいな話で、これはもはやビョーキの域であろう。

そんな内実とは逆に、新作の「カーズ」3作目はもう若くはないと自覚する主人公に対し、ヒスパニック系とおぼしき女性車(^^?)を副主人公に配するというもの。
ただ、見ていて「盛り込み過ぎか」と思われる節もある。

スクールバスのオバサンが非常に恐ろしくてビビる。(この田舎のレースの件りは爆笑だがfuji)もうスクールバスには絶対近寄らないぞっと<`~´>
車の世界でスクールバスに乗るのは「子車」? 子車が育って大人車になるのか。謎が多い。


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2017年8月 6日 (日)

映画短評5~6月期

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★「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(字幕版)

監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット
米国2017年

前作の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をあんまり気に入らなかったのに、今度こそは面白いかな~と思って見に行ってしまった。
で、やっぱり気に入らなかった(>_<) なんたることよspa

どうも冒頭の、他のメンバーが闘う脇でグルートが踊ってる場面からして、まずノレない。その後は大宇宙規模の話が「家族」の絆と同じレベルで展開する。
色んなものがテンコモリ過ぎて、最後は泣かせるけど消化不良になりそうだ。

カート・ラッセルがこちらでは大物中の大物を演じている。こういう役が回ってくる風格あるベテラン役者の域に達したのかと思うと、感慨深いものがあるのう。

フリートウッド・マックの『ザ・チェイン』が肝心な場面でここぞと多用されているけど、あれって男女間のドロドロした妄執の歌なんでは……(~_~;)

170806b
★「スプリット」(2017)

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ
米国2017年

シャマラン監督、久々の復調up 予告も面白そうだヽ(^o^)丿 23重人格の男が女子高生を誘拐だって!

と大いに期待して行ったが、見事に裏切られたのだった。
前半はJ・マカヴォイの多重人格芸炸裂flair見事過ぎてあっけにとられるというか、ちょっと笑っちゃうけど面白かった。
後半はドタバタと展開し意外な方向へ--果たしてこれが私の見たかったものなのであろうか(?_?)なんて思っちゃった。

そして、ラストは過去作の『アンブレイカブル』へとつながる。なんとこれは三部作の2作目になるんだってdanger そんな話は聞いとらんぞ~(-"-) いやもうどうでもいいです。

ヒロインと共に誘拐される二人の娘っ子のうちの一人が、すごく演技が下手くそだった。なんとかしてくれと言いたくなるレベル。オーディションしたんだろうし、なんで採用したのか分からん。


★「オリーブの樹は呼んでいる」

監督:イシアル・ボジャイン
出演:アンナ・カスティーリョ
スペイン2016年

ケン・ローチ作品の名脚本家として知られるポール・ラヴァーティの脚本を彼の奥さんが監督した作品、ということで興味を持って行ったが、いや~久々にどうしようもなく詰まらない映画を見たbomb

もう、始まって10分ぐらいで「××でやってる○○○を見に行けばよかった」とか「△△で※※※もやってたっけ」などと思い浮かべては後悔する羽目になったannoy
どう詰まらなかったのか説明する気にもならないぐらいである。
今年のワースト映画決定。もし今年中にこれ以上詰まらないのを見たとしたら、豆腐の角に頭打ち付けたくなるだろう。


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