映画(タイトル「サ」「タ」行)

2017年11月14日 (火)

「セールスマン」:ショウ・マスト・ゴー・オン それでも芝居は続く

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監督:アスガー・ファルハディ
出演:シャハブ・ホセイニ、タラネ・アリドゥスティ
イラン・フランス2016年

『ある過去の行方』をフランスで撮った後、再びイランへ戻ったファルハディ監督、この新作はトランプ大統領の移民政策がらみで、アカデミー賞の外国語映画部門受賞の際にも話題になった。

冒頭、マンションの倒壊事件が起こってその住民だった夫婦が、住居探しを始める。知り合いに紹介してもらったマンションの一室に入居するが……前の入居者の荷物が残っていたりなど、どうも不審さが漂う。

そんな時に妻のレイプ事件が起こる。夫はいきり立つが、妻は警察には行きたくないと言い張る。やり場のない怒りに彼は自分で犯人探しを始める。

夫婦の思惑は常に行き違いすれ違い、修復不可能なほどの亀裂が生じる。二人は夜、所属する劇団でA・ミラーの『セールスマン』でやはり夫婦役を演じているが、劇の顛末が二人の関係を暗示しているのだろうか。

見てて、息苦しい((+_+))つらい(>_<)倒れそう_(:3」∠)_
唯一の息抜きは、女優の子どもと子猫(カワユイheart01)が登場する場面ぐらいだろう。

とはいえ、教師の夫の授業風景、乗合タクシーでの会話、冒頭の倒壊場面と終盤が重ねあわされていること(これは他の人の指摘で気付いた。ボーッとしております(^^;ゞ)など、脚本も担当のファルハディ監督は用意周到に亀裂を浮かび上がらせていく。

ネットの感想で「夫の怒りは妻を思っているのではない。彼自身の尊厳が傷つけられたからだ」という意見があって、これは大いに納得だった。

サスペンス場面の描写もなかなかにコワイ(ドアが開くところとか)。チラシに使われている場面も、緊張を醸し出す画面の分割具合が完璧である。ヒロイン役のタラネ・アリドゥスティが「監督は完全主義でキビシイ」と語っていたが、なんとなく分かるような。
ただ、唯一の問題は犯人像である。冷静に考えればとても犯行を実行できるとは思えないんだが……。

さて、妻が警察沙汰を断固拒否したのは、イスラム社会の厳格さが原因だという意見を幾つも見かけた。しかし、本当にそうだろうか?
--ということで、この手の犯罪対処に関して「先進国」でありそうな米国の事例を見てみよう。
『ミズーラ』(ジョン・クラカワー)によると、性暴力にあって警察に届け出る人の割合は20%だという。つまり残りの80%は届け出ていないのである。なお、この本は大学町でフットボールのスター選手によって起こされたレイプ事件を扱っている。もちろん周囲からは非難轟々であった……訴えた女性の方が。こんなんではとても訴える気にはならないだろう。

一方、日本ではとある統計によると被害にあって他人に相談する人は半数以下。さらに警察に届けるのは4.3%だという。
全くもって、この映画は他人事ではないのであるdanger
そういや、大昔に友人が「レイプにあっても絶対警察には行かないng」と断言していた。その時理由は聞かなかったけど。(警察への不信か)

イラン国内問題としては、むしろ劇団の内部事情の描写の方が厳しい。検閲官が来るとか、シャワーを借りてたという設定の隣人女性役のセリフが見た目とかけ離れていたりとか、辛辣である。
(この文章を書いてて気づいたんだが、「シャワー」の部分も事件と芝居を重ね合わせてるのかね?)

トランプ騒動の余波で賞が取れたなどという意見もちらほらあるが、いずれにしろファルハディは次作も要チェックな監督であるのは間違いない。


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2017年9月27日 (水)

「スパイダーマン:ホームカミング」:ソフト・ランディング クモの糸よりも軽く

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監督:ジョン・ワッツ
出演:トム・ホランド
米国2017年

過去にトビー・マグワイア版、アンドリュー・ガーフィールド版、と見てきたスパイダーマン、今度は15歳という年齢にふさわしい童顔のトム・ホランドが主役である。
その前に彼は『シビル・ウォー』に登場していた。その流れで、アイアンマンことスタークも関わってくる。

そこでは、メイおばさんへニヤニヤと色目を使いながらスタークが接する場面があって、その方向で進むかと思いきや、どうもそうではないらしい。何せ冒頭からメイおばさんが「あの人どうも好きじゃないわ(-"-)」とクサすという次第。扮するマリサ・トメイのエロ気爆発kissmarkかと予想していたのも大ハズレとなった。

いかにスパイダーマンになったかというような説明はすっ飛ばして、主人公ピーターは日夜ご近所の自警団活動に邁進中。張り切り過ぎてご近所迷惑になっている。
学園生活は前の二つのシリーズと比べると、皆さん優しくてほとんど苦労なしという状態だ。
さすが現代のニューヨークだけはあって、生徒たちは多様な人種構成になっている。ピーターをいびる金持ち息子がインド系(IT長者か?)というのもご時勢であろう。
悪役がスタークに仕事を奪われた中小企業の経営者という設定も、何やら今どきの景気を反映しているようで今一つ意気が上がらない。

彼は保護者監視付きのお子ちゃまなので、遠方で敵の陰謀があると判明しても行くのは簡単ではない。自分で車を駆って--というわけにも行かず、「そうだ、部活の大会をやる場所じゃないかっ(^o^)b」と部活のバスで突進だ~bus
悩みはヒーロー蜘蛛男としてなかなか認めてもらえないことと、気になる女の子がいることぐらいか。誠にお気楽な調子で、「デッドプール童貞版」と評されても致し方あるまいよ。

しかも、意中の彼女であるリズ嬢がどうしてピーターを気に入るのか不明。同じ部活をいきなりやめちゃったり復活したり、部員が危機に陥ってる時にいなかったり、さらに大事な学校行事のパーティに誘ったのに途中で姿をくらますという大失態ng ビンタ10回くらっても文句は言えません。
こんなどうしようもない主人公を許す彼女は寛容だのう(・o・) というより、そんな女子がいるんかねbomb 甚だしく疑問である。

もちろん、意外な展開があったり、怒涛のアクションシーンもあるし、感動の友情場面やスタークとのゴタゴタなどテンコ盛りであるが、やはり軽量級の印象はぬぐえない。

一番ガッカリしたのは、クモの糸で飛び回るスパイダーマンならではの躍動感を味あわせてくれるシーンがなかったこと。これまでのシリーズにはあったのにね。それとも、こちらが慣れちゃったのかしらん。
加えて、蜘蛛男が出没するのは当然夜が多いのだが、画面が暗くって何が起こっているのか見にくいことが結構あった。何とかしてくれい。

ところで、キャプテン・アメリカがお尋ね者なのに州の方針で(?)学校で見せる教育ビデオに出てるってのはどういうこったいsign02 州知事がファンなのか(^^?)


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2017年9月10日 (日)

「人生タクシー」:ノー・ストップ 赤信号は完全無視

監督・出演:ジャファル・パナヒ
イラン2015年

国から監督禁止命令を受けたイランの映画監督が「失業中につきタクシー運転手」という設定で、自ら主演した疑似ドキュメンタリー風作品である。
すべて映像はタクシーの車中カメラか、途中で乗ってくる姪っ子が持ってるカメラ(あるいはスマホ映像も)からのものになっている。

当然色んな人が乗ってきて、様々なことを喋る。見てて驚いたのはイランのタクシーというのは乗合になっていて、座席が空いてればどんどん途中で客を乗せてしまうのだ。で、その客同士が討論始めたり、怪しいDVD(といってもハリウッド映画だが)密売始めたり……。交通事故で瀕死の重傷の人間を病院まで運んだりもする。

それらの会話の中に監督の過去の話や、映画製作の規制(かなりバカらしいものが多い)や、国への批判がチラチラと出てくる。特に小学生の姪っ子が怖いものなしでキビシイことを言いたい放題なのが笑える。
こんなこと言って大丈夫なのか(?_?)と思ったら、やはりイラン国内では上映できないとのこと。

ドキュメンタリー仕立てではあるが、冒頭が強盗の話から始まりそれを最後まで引っ張っていってちゃんと落ちがあるので、きちんとしたシナリオによって撮っているのが分かる。お見事m(__)m

冒頭に日本のドキュメンタリー作家とアーティスト(?)による数分間のコント風な映像が上映されたが、正直「日本、平和だなspa」という感想しか浮かばなかった(-"-)

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2017年8月 6日 (日)

映画短評5~6月期

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★「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」(字幕版)

監督:ジェームズ・ガン
出演:クリス・プラット
米国2017年

前作の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』をあんまり気に入らなかったのに、今度こそは面白いかな~と思って見に行ってしまった。
で、やっぱり気に入らなかった(>_<) なんたることよspa

どうも冒頭の、他のメンバーが闘う脇でグルートが踊ってる場面からして、まずノレない。その後は大宇宙規模の話が「家族」の絆と同じレベルで展開する。
色んなものがテンコモリ過ぎて、最後は泣かせるけど消化不良になりそうだ。

カート・ラッセルがこちらでは大物中の大物を演じている。こういう役が回ってくる風格あるベテラン役者の域に達したのかと思うと、感慨深いものがあるのう。

フリートウッド・マックの『ザ・チェイン』が肝心な場面でここぞと多用されているけど、あれって男女間のドロドロした妄執の歌なんでは……(~_~;)

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★「スプリット」(2017)

監督:M・ナイト・シャマラン
出演:ジェームズ・マカヴォイ
米国2017年

シャマラン監督、久々の復調up 予告も面白そうだヽ(^o^)丿 23重人格の男が女子高生を誘拐だって!

と大いに期待して行ったが、見事に裏切られたのだった。
前半はJ・マカヴォイの多重人格芸炸裂flair見事過ぎてあっけにとられるというか、ちょっと笑っちゃうけど面白かった。
後半はドタバタと展開し意外な方向へ--果たしてこれが私の見たかったものなのであろうか(?_?)なんて思っちゃった。

そして、ラストは過去作の『アンブレイカブル』へとつながる。なんとこれは三部作の2作目になるんだってdanger そんな話は聞いとらんぞ~(-"-) いやもうどうでもいいです。

ヒロインと共に誘拐される二人の娘っ子のうちの一人が、すごく演技が下手くそだった。なんとかしてくれと言いたくなるレベル。オーディションしたんだろうし、なんで採用したのか分からん。


★「オリーブの樹は呼んでいる」

監督:イシアル・ボジャイン
出演:アンナ・カスティーリョ
スペイン2016年

ケン・ローチ作品の名脚本家として知られるポール・ラヴァーティの脚本を彼の奥さんが監督した作品、ということで興味を持って行ったが、いや~久々にどうしようもなく詰まらない映画を見たbomb

もう、始まって10分ぐらいで「××でやってる○○○を見に行けばよかった」とか「△△で※※※もやってたっけ」などと思い浮かべては後悔する羽目になったannoy
どう詰まらなかったのか説明する気にもならないぐらいである。
今年のワースト映画決定。もし今年中にこれ以上詰まらないのを見たとしたら、豆腐の角に頭打ち付けたくなるだろう。


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2017年4月30日 (日)

「彷徨える河」:闇の奥の奥の闇

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監督:シーロ・ゲーラ
出演:ヤン・ベイヴート
コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン2015年

コロンビア映画史上初めてアカデミー賞外国語映画賞の候補になったという作品。
アマゾンの密林の中、河沿いに独り暮らすシャーマンの元へ米国人の学者が、幻の薬草を求めて訪れる。長い孤独の中で記憶さえ失ったシャーマンは、数十年前にドイツの民族学者が同じものを探して現われたのを突然思い出す。

この時代を隔てた、二つの河を遡る旅を重ねるように交互に辿っていく。
その旅は当然『闇の奥』を想起させるが、こちらの主人公は西欧人ではなく先住民側のシャーマンである。しかし、狂気と混迷の旅であることは変わらない。異文化と衝突して混乱するのは西欧人だけではないのだ。

特に不気味なのは河の途中にある、白人の僧が建てたカトリックの修道院のエピソードだ。現地の子どもたちが大勢いて、神の名のもとに狂的な支配と統率を行なっている。二度目の旅でもまだその修道院は残っているのだが……恐ろしい(>y<;)

入れ子になった構造、モノクロの映像は圧倒的、これがマジック・リアリズムというやつか(!o!) いささか長く感じたが、歴史の上に堆積した人々の悲惨と傷が余すところなく描かれている。

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2017年3月19日 (日)

「沈黙 -サイレンス-」:わたしが・棄てた・神

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監督:マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド
米国・イタリア・メキシコ2016年

スコセッシが遠藤周作の『沈黙』の映画化を熱望しているという話を耳にしたのは十数年前だろうか。しかしその話は立ち消えになったり復活したり……その度に出演者として上がる名前も変わっていったように記憶している。
ロケ地がニュージーランドから台湾に変更されたのも、途中で大物プロデューサーが手を引いてしまったかららしい。大変である。

その間に彼は雇われ仕事作品の『ディパーテッド』でオスカーを取ってしまった。その後もあきらめることなく、まさに執念の一言であろう。
実際には原作を読んだのは28年前ということで、その長さにさらに恐れ入る。

私が原作を読んだのは、昔の「狐狸庵先生」ブームのおかげで、そこから読み始めてシリアスな作品に至るというパターンだった。やはり『イエスの生涯』を読んだ高校の同級生と共に「イエス萌え~heart01」になったりした。
しかし、あまりにも読んだのが昔過ぎて(ウン十年前)原作の『沈黙』はおぼろげにしか覚えていないのであった。

人によって感想は様々なこの映画、私は感動よりも見ててウツになった。
『闇の奥』よろしく異文化の未知の土地に上陸した若い司祭二人が住民と関わり、その地の海辺から緑深き山の中を徘徊した揚句、片方の主人公がたどり着いたのはオドロオドロな恐怖の王国--ではなくて整然とした奉行所、清潔なお白洲、人情のかけらもなき役人が支配し、強固な官僚主義が存在するゆるぎなき帝国だったのであるsign03 全くもってイヤーンな「日本」そのものだ。これでウツにならずして何であろうか。(しかも史実を元にしている)

加えて、そこで繰り広げられる言説が「日本スゴイ」っぽいものから踏絵を「踏めばよいのだ、踏めば」とか「彼らが苦しんでいるのはお前のせいだ」まで、現在でも立派に通用している論理ならぬ理屈ばかりである。
期せずして(いやもしかして意識して?)、監督は原作にもあった「日本イヤンng」な部分を描き尽くしているのであった。

民衆にしてもお上にしても異文化たる宗教を飲み込み同化していく。その圧力の「洗礼」を受けて遂に屈して踏み絵を踏んだ後の、A・ガーフィールド扮する主人公の呆けたような表情が印象に残る。(或いは彼の師フェレイラの後ろめたい表情も)
とすれば、ラストシーンはまさに主人公が完全に日本に「同化」できたということなのだろうか。つまり、日本的なキリスト教の受容を会得したという意味で、彼は真に日本人になったということか。

「踏み絵」について「そんなもの踏むだけなら踏めばいいじゃないか」という意見を幾つか見かけたが、警察によるでっち上げで有名な「志布志事件」では「踏み字」や「踏み絵」(一説に家族の写真を使用したとか)が使われたというから、現代でも十分に使用可能な手段なようである。

かようにシリアスでヘヴィな題材ではあるが、過去の日本の描写はガイジンにここまで描かれちゃっていいのか~sweat01、日本映画負けてるよsign01と思ってしまうレベルなので、一見の価値はあると言っていいだろう。
ただ、主人公が水面に映る自分の顔をイエスに重ねる場面とか、踏み絵をやった後の衝撃描写などはやや「やり過ぎ」に思えた。
登場する日本人がみんな英語(劇中設定はポルトガル語)うまいのは……突っ込まない方が吉であろう。

見ていて「こりゃ、客入らないだろうなあempty」と思ったのも事実。有名俳優が出ているとはいえ、ウツ展開であまりに暗い話だ。
実際、監督が28年間かけた渾身の一作、米国ではコケてしまい次作はネットドラマを撮る羽目になったとか……(-_-;) 当地で公開が遅れたそうで、アカデミー賞に撮影賞しかノミネートされなかったのもマイナスだったか。

役者に関しては窪塚洋介やイッセー尾形の世評が高いが、後者についてはオーバーアクトにいささか辟易した。ただでさえ芝居がかった人物なのに、それを芝居っ気タップリに演じたら屋上屋を重ねてどうするよtyphoonってなもんである。
窪塚のキチジローはなんか子どもっぽくて何も考えてない印象。あれ(?_?)原作ではもっと狡猾で複雑なキャラクターだったんじゃないの(かなり記憶薄れているが)と疑問に感じた。
どこかで見たようだなあと思ったら、なんと『アーロと少年』の「少年」を連想したのだった。
そもそもワンコぽい。飼い主にワンワンと付いてきて、他所からエサをぶらつかされると我を忘れてそちらに走って行ってしまい、食い終わるとまた飼い主にワンワンとすり寄ってくる。飼い主は「トホホ、しょうがないなあ」と頭をなでてやるしかないのだ。

よかったのは塚本晋也と笈田ヨシだろう。失礼ながら塚本晋也がこんなにうまい役者だとは知らなかった。大昔に『鉄男』見たきりで……すいません、『野火』はコワくていまだに見てないんですう(>y<;) 許してー。あの海での処刑の場面には驚いた。CGとは思えないし、ホントにやってるのかdanger 死ぬ~(@_@;)
笈田ヨシは最初の登場場面から目を引く。まあ、彼ぐらいの年季の役者なら当然ですかね。
ガイジン勢ではアダム・ドライヴァーが、あれこの人こんなだったっけ(?_?)と思うぐらいになんだか顔つきが違って見えてビックリ。『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』でライトセーバーでコンソールぶっ叩いていたヤツとは別人としか思えん。

あと、片桐はいりの老婆とスモウレスラーのような刑吏が登場するところは、数少ない笑う場面ということでよろしいんだろうか(^○^) PANTAも出ていたらしいが、全く分からなかった。

音楽はほとんどノイズか環境音楽か?と言っていいほど、目立たない使い方をしていた。そもそも「音楽」だったのかearも分からん。冒頭とラストの虫の声と合わせているみたいだ。

それにしてもスコセッシはつくづく「青二才」の人物が好きなんだなあと感じた。映画マニアに熱狂的な彼のファンがいるのもこういう点からかと納得した。


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2017年1月 4日 (水)

「ティエリー・トグルドーの憂鬱」:情に棹さし意地を通して地に働けず

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監督:ステファヌ・ブリゼ
出演:ヴァンサン・ランドン
フランス2015年

失業した中年エンジニアが主人公。邦題の通り見ているとウツになってくるような内容だ。

前半は職探しをする過程が描かれる。時間を費やして資格を取ったが役に立たず、就職セミナーでは自分の子どもぐらいに若い参加者から叩かれる。歳を食っていると融通も利かず、身につまされる(ーー;)
だが、一人息子には障害がありふさわしい学校にやるには金が必要だ。トレーラーハウスを売ろうとするが、見に来た男とはケンカしてしまう。

後半は、これまでのキャリアとは全く無縁なスーパーの監視員になっている。万引きをする貧しい老人、細工して小金を稼ごうとする店員などが出現して、さらに主人公と映画の観客をウツに陥れるのだった。

全体の作りは全くもって劇的ではない。感動させようとか泣かせようとする要素は一切ない。肝心の場面をすっ飛ばして描かない手法(スーパーに就職する過程とか、万引きを発見する場面など)を取り、主人公の顔の表情を見せずに背後から延々と撮る。音楽も付かず、かなりドキュメンタリーぽい作りになっている。

これがフランス本国では大ヒットしたというから驚きである。日本同様閉塞的な社会状況なのだろうか。ただ、日本で同じ内容の映画が作られてもヒットはしないだろうが……。

この映画は『サンドラの週末』に極めてよく似ていると思った。職を確保するために必死に色々な場所へ出かけて回る。結末で主人公が取る行動までほとんど同じと言っていい。
だが、希望と生を強く感じさせた『サンドラ』とは、向いている方向は全く逆である。どうしてこうなってしまうのだろうか。

陰々滅滅な気分の中で、「これからどーすんの~っtyphoon」と主人公の背中に向けて叫びたくなったのは私だけではあるまい。
それでもずっと画面を見ていられるのは主役のヴァンサン・ランドンの演技のたまものだろう。さすがカンヌで男優賞を獲得しただけはある。

ただ正直、主人公の反応はナイーヴ過ぎると感じた。万引き老人の訴えに彼は動揺するが、いざとなれば人間あのぐらいの嘘は堂々とつくだろう。老人は実際には家に小金を貯めこんでいるかもしれないのだ--とか思っちゃったですよ。


全く関係ない話だが、私の隣には若いカップルが座っていた。全くもってデートにはふさわしくないこの映画をどうして選んだのか、そして二人のうちどちらが選んだのか、など聞きたくなってしまったがじっとガマンしたのであった。

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2016年9月22日 (木)

「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」:アカ勝てシロ勝て

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監督:ジェイ・ローチ
出演:ブライアン・クランストン
米国2015年

頑固で元気な父さんと健気な母さん、そして二人の子どもたち--まるで昔の米国ホームドラマのような理想の家族house しかし、その家族には恐ろしい秘密secretがありました。
なんと脚本家のお父さんは共産主義者だったのですう~(> <)キャーッ

でも負けない\(◎o◎)/!
ム所行って仕事を干されても、変名を使って頑張るお父さんを家族は全面バックアップ。湯船に浸かって酒を飲みながらヒスannoyを起こしても、「デートに行くより仕事手伝え」とか言われてもじっとガマンで支えるのであった。

迫りくるはハリウッド・タカ派代表ジョン・ウェイン、元女優ヘッダ・ホッパー……しかし、才能ある者はいつしか不死鳥のように蘇るのだった。

というように、ハリウッドの赤狩りの内実というより、「ハリウッド・テン」の代表的存在D・トランボの人物像と、闘う父を助ける家族の愛情が強調されて描かれている。

そんな頑固オヤジを、TVシリーズ『ブレイキング・バッド」で人気役者となったブライアン・クランストンが魅力的に演じている。(ゴールデン・グローブやアカデミー賞でノミネートも納得)
もっとも後半ではそんな彼も「良き父」「良き友人」ではいられなくなるのだが。
しかし、最後は感動と共に米国の良心として復活するのである。

劇中には、E・G・ロビンソン、カーク・ダクラス、O・プレミンジャーなども登場。ジョン・ウェイン役はあまり似ていない。ヘレン・ミレンは憎たらしい敵役で生き生きとしている。妻はお久しぶりなダイアン・レイン。皆さん、達者な演技である。

懐かしい役者や名画が頻出するせいか、映画館は中高年で満員だった。しかも東京で一館しかやっていないのでなかなか入れなかった。
私の隣に座ったオヤヂさんは、『ローマの休日』とかカーク・ダグラスとか、登場する度に「おお」とつぶやいたり、ウンウンと頷いて、正直うるさかったですよ(=_=)

トランボを素朴な理想主義者(思想的には)として見れば、『ヘイル、シーザー!』の描き方もそれなりに正しかったのかもしれないと思えた。というか、見る順番逆だったらもっと面白かったかも。

赤狩り自体は、思想云々というより「魔女狩り」の様相を呈したのが問題だったように思える。その傷跡は後々まで残り、エリア・カザンのアカデミー名誉賞受賞時にも再燃した。
他の映画人の中には、R・アルドリッチやJ・ロージーのようにヨーロッパに逃走した者もいた。特にロージーは最後までハリウッドを許さず英国から戻らなかった。
そんな暗黒面に思い到ると、この映画もドタバタ喜劇の体裁を取った『ヘイル、シーザー!』と、構造的には変わらないのではないかと思えてくるのだ。


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2016年8月11日 (木)

「シチズンフォー スノーデンの暴露」:ドキュメンタリーの顏

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監督:ローラ・ポイトラス
米国・ドイツ2014年

「あなたは監視されている」というのが、別に煽り文句ではなく現実であるdanger ということを暴露したその経緯を、逐一記録したドキュメンタリーである。
「日本では全く報道されなかったんで知らなかった」というのをネットで見かけたが、ちゃんと報道されてたぞ(ーー;)

過去に作った作品のため米国へ帰国もままならないドキュメンタリー監督の元へ、暗号メールで接触してきた謎の人物がいた。彼女は英国のジャーナリストと共に香港へ会いに行く。その内部告発者がエドワード・スノーデンであった。

ホテルの一室にこもり、彼は働いていたNSAで行なわれている国民の監視を詳細に語り始める。
国民全員の監視なんてことが可能なのか(?_?)と疑問に思ってしまうが、説明を聞くと実際になるほどと思う。大手のIT企業から情報を貰い、さらには他国の政府(特に英国は貢献度高し。日本は?)も協力しているという。
そしてその告発は遂にTVや新聞といったマスメディアに流される--。

と書くと、ハラハラドキドキみたいだが、スノーデン本人が登場するまではややタルい。彼は明晰な二枚目で、理路整然と話す。実に映像向きである。

全てを覚悟して告発する……はずだったが、あっという間に香港の居場所がばれて出国にも困ってしまい、隠れるようにホテルから脱出する羽目に。予想しなかったのかい(+o+)と突っ込みたくなる。

やがてマスメディアの表に立っていたジャーナリストにもトラブルが起こり、監督にも尾行が付くなど怪しい雲行きとなる。また英国政府から恫喝に近い警告も来る。

映画の最後には責任者としてオバマを指弾する。よくこんなのが作れたもんだ。さすがHBO製作である。おまけにアカデミー賞も取っちゃったのもすごい。

ドキュメンタリーとしての構成はどうかと思うが、題材がビックリなんで欠点を吹き飛ばしているようだ。

それと、『カルテル・ランド』の時も思ったが、こういう密着ドキュメンタリーの場合は対象となる人物が「アップに耐える顔」かどうかというのはかなり重要のようだ。
『カルテル~』の医師や、このスノーデンもそうである。
これからはドキュメンタリーを見る時はその点に気をつけて見ることにしよう。

ところで、「IP電話は受話器取ってなくても盗聴される」って本当かいsign03

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2016年7月27日 (水)

「スポットライト 世紀のスクープ」:正統派ジャーナリズムを見よ!

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監督:トム・マッカーシー
出演:マーク・ラファロ、マイケル・キートン
米国2015年

カトリックの聖職者による子どもの虐待問題を暴いた新聞のジャーナリストたちを描く。先日のアカデミー賞では作品賞(と脚本賞)を取って話題になった。極めて地味な作りなので、もしアカデミー賞を取らなかったら、日本公開されなかったかも。

見て意外だったのは、あくまでも虐待事件そのものではなく、記者の地道な取材についての描写が中心だったことである。スキャンダラスな所とか派手な表現などは一切ない。
さらにエキセントリックな人物はほとんど登場せず、ほとんどが「普通」の人々である。
だからこそ却って、よほどの優秀な役者が揃ってないと難しい作品だろう。もちろんM・キートンを始め名優揃いなので、しっかりと出来上がっている。
ただ、積極的に褒めたたえたいかというと……うーむ、あまりそういう気にはなれない。正統的過ぎるかなあ。

それから、日本だと教会の権威の大きさというのがよく分からないのが弱点である。その秘密を暴くということの困難さもだ。
教会が頻発する事件を組織ぐるみで隠蔽を図ったというのも大きい。いかなる組織もやはり腐敗を免れないものなのだろうか。

監督は『扉をたたく人』の人だったのね。監督業よりも脚本家としての方が評価されているみたいだ。この作品も別の人が演出やったらどうなったろうか。

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