映画(タイトル「ナ」「ハ」「マ」行)

2026年5月14日 (木)

「ナースコール」:終わりなき時間

260513 監督:ペトラ・フォルペ
出演:レオニー・ベネシュ
スイス・ドイツ2025年

上映時間92分! 人手が足りないままに満員の病棟で遅番シフトに入った看護師。彼女が追い詰められていく様を92分の中に濃縮して描くものである。

舞台はスイス。どこの国も人手不足は同じなのだろうか。偶然が重なってその時間は2名で担当しなくてはならない。
カメラは細かい動作(注射器を密閉包装から出す、棚の鍵を開けて薬物を取り出す……など)にいちいち張り付いて撮っているので、その絶え間ない繰り返しの堆積が徐々に効いてくるのだった。
あらゆることが押し寄せてくる。外線が看護師のケータイに直に掛かってくるのも驚きだ。一方で不安な患者に精神的ケアもしなくてはならない。

全てが邪魔なノイズとして堆積し、主人公と共に観客が疲労感最大値になった時に、それまでの停滞と鬱屈が突然に変化する。ここら辺の展開がうまい。そして静謐さへと--。終わりなき時間もいつかは過ぎる。何かが変わるわけではないが。
細かいカメラワークがすごいのと同時に(リハーサルを何度も繰り返したのだろう)、脚本もよく出来ている。
それと主役のレオニー・ベネシュの演技は神技的であった。

観客はかなり入っていた。2週目からは上映回数が増えてロングランしていたようだ。
ところで劇中に登場する「4万フラン」という金額がピンと来なかったので後から検索してみた。そしたらなんと

814万円💥
うわーっ\(◎o◎)/!

我が身を振り返ると、私も入院してた時につまらないことで看護師さんに色々ご迷惑かけました。コインランドリーの使い方分からないとか……。
許して~(;_:)

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2026年1月10日 (土)

「プラハの春 不屈のラジオ報道」:決死の実況中継

260109 監督:イェジー・マードル
出演:ヴォイチェフ・ヴォドホツキー
チェコ・スロバキア 2024年

1968年のチェコスロバキアを覆った民主化の波に対して、ソ連が侵攻した事件を放送局の立場から描いたもの。地域によるが、当時はメディアというと紙媒体かラジオが中心だったようだ(テレビは普及途上か)。

通信局の技師として働いていた男が国営ラジオ放送局の国際報道部に技術員として異動を命じられる。そこは政府の方針に反して自由な報道を行ない、体制批判も辞さない部門だった。
ノンポリだった男は彼らと共に働くうちに共感を覚えるが、国家とソ連の圧力が徐々に迫ってくる。

終盤の侵攻とそれに対する市民の抗議&騒乱場面は迫力大いにあり。時代を感じさせ、当時のニュースや報道写真を再現させたようだ。放送局側の抵抗も粘り強い。
見ていてドキドキしたものの、そこに至るまでの展開がやや中だるみ感があった。恋愛などあれもこれも入れようとしたからか。真面目なあまり辛気くさくなってしまったような印象もある(エンタメにしろという意味ではない)。
思わず世界史の勉強の気分で見てしまったですよ(~_~;)

あの車の現場には弟はいなかったということでいいのかな? ならば主人公が怒りまくっていたのはどういうことか😕

 

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2025年11月12日 (水)

「フランケンシュタイン」:愛と裏切りの北極圏

監督:ギレルモ・デル・トロ
出演:オスカー・アイザック
米国2025年

原作や過去作についてはあまりよく知らずに見た。ネットフリックス作品だが、2週間の劇場公開期間があったのでよかった。
二部構成で前半はヴィクター・フランケンシュタインが、後半は彼が作った「怪物」が語る。

横暴な医師の父親への反発と若くして急死した母親への思慕を経て、ヴィクターは公然と医学界に反旗を翻し死体を利用して生命を再生させようとする。
進行するうちに主人公の傲慢さは増長して、彼自身の怪物度が増してくる。
一方、名前も付けてもらえぬまま逃走した怪物は言語や生活の知恵を獲得。となれば逆襲あるのみである。

ここで考えてしまったのだが、外見こそデコボコしているが知性あり、並みでない腕力あり、さらに不死だというのならばどちらかというと人間よりも優れた超人に近いのではないか(おまけに中の人はジェイコブ・エロルディだ)。
加えてミア・ゴス扮する虫愛づる姫君こと弟の婚約者に愛されちゃうとなれば、そこら辺の男よりよっぽど優秀……。そしてどちらが怪物なのか曖昧であることが提示され最終的に和解に至る。
まさにデル・トロ監督の怪物愛と願望のなせる業と言えよう。

このような物語を視覚化した手腕は見事なものだ。怪物の造形はこれまでとはかなり異なるし、衣装(特にエリザベスの)や美術も目を引く。ただし、グジャグジャの不潔そうな城の中は勘弁してほしい。
だが、見ている方はなんだか消化しきれぬまま終わってしまうのだった。華麗な絵巻物を見せていただきましたm(__)mで終了、という感じか。
それと冒頭の船員たちはやられ損ではないの(・・?
中心人物4人の役者の演技は文句なしっ、である。

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2025年9月23日 (火)

「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」:混迷と友情

250923 監督:バーセル・アドラー、ユヴァル・アブラハーム、ハムダーン・バラール、ラヘル・ショール
ノルウェー・パレスチナ2024年

場所はバレスチナのヨルダン川西岸地区。ここでの4年間(2019年~2023年10月)を当事者の立場から描くドキュメンタリー。
「入植」という理由を付けて、イスラエル側の暴力はとどまることがない。家を破壊、井戸をコンクリで埋める。皆で建てた学校をぶち壊す--などなど。
活字メディアの記事などで読んだことはあるが、見ると読むでは迫力違いである。やはり文字よりも映像の喚起力はすごい。特に覆面付けた入植者たちのおぞましさには震え上がる。

そんな情況を映像を配信する住民の青年とイスラエル人のジャーナリスト、立場が全く異なる若者二人が対話を繰り返す。しかしそれは融和というようなものではなく、むしろ「混迷」を感じさせる。いつまでたっても解決に至らないぐるぐる道のようだ。
宣伝では二人の「友情」が強調されていたがやや感触は異なる。それよりもそのような「情緒」に訴えないとダメなのか(見てもらえない?)というのが気になった。

はたして住居や学校を呑み込むブルドーザーや銃弾に対抗できる手段はあるのか。徹底的に強大な権力として支配者の姿が立ち現れる。
実際の上映時間よりも苦しく長く感じた。ついでに手持ちカメラやスマホ映像には目が回ってしまった。
だが長年にわたる災厄を考えれば一瞬にしかすぎないのだが。

アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞獲得。
取らないよりは取った方が良かったとは思うけど、よもやそれまでのガザへの冷淡な対応の免罪符代わりじゃないよね?
その後も苦難は続く。4人の監督一人(画面には登場しない)が入植者によって殴打され連れ去られたり、またスタッフとしてかかわった活動家が殺害された。
遂には今月2025年9月に若者の片方バーセル・アドラーの自宅が兵士によって襲撃されるという事件が起こった。本人は不在だったが家族が暴力を受けたとのこと。嫌がらせかいっ💢
誰かネタニヤフに、あのお決まりのフレーズ「どんな相手だろうと暴力は良くない」と言ってやってくれ。

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2025年9月17日 (水)

特集・放課後生活その2「Playground/校庭」

250917 監督:ローラ・ワンデル
出演:マヤ・ヴァンデルベック
ベルギー2021年

ベルギーのフランス語圏(?)の小学校が舞台。きっと苦しい話だろうなと予想して見に行ったら、やはり終始一貫してつらかった。
小学校に入学する女の子、行くのがイヤでメソメソして兄や父と離れられない。やがてようやく友達ができて慣れてくるが、見たくない兄の姿を目撃してしまう。

少女だけに常にカメラの焦点を合わせ、他のものはぼやけている(「サウルの息子」に影響受けたって?)。「謝罪」の場面では起こっていること自体はスクリーンの外で、彼女の表情だけを追う。一方、学校特有の騒音は絶えずうるさく鳴り響いてくる。

大人たちは全く無力か見当はずれ。優しい教師や短気な父親は全く役に立たない。学校側のいじめの対応は日本と全く同じで暗澹とする。そういう部分も容赦なく描いている。
体育の授業が苦手だった者が見るとイヤ~な気分がさらに増すのは保証付きだ🆘

上映時間72分⌚ これ以上長かったら映画館の床に倒れそう。学校に通って社会化する、とは即ちつらみ、苦しみなのか。
ラストは希望があるとはあまり思えない。これからもつらいのよ、きっと(~_~)
子役たちの演技には感心するものの、こんなの演じさせていいのかという気もした。少女の表情になんとなくアナ・トレントを思い出した。

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2025年8月25日 (月)

「ヒプノシス レコードジャケットの美学」:音楽が消えた後もデザインは残る

250825 監督:アントン・コ-ビン
イギリス2022年

アントン・コービンのモノクロ画面でヒプノシス作品を見てもしょうがないだろと一瞬思った。しかし実際はアルバム・ジャケットの部分だけカラーだった(また面倒くさいことを……)。

ヒプノシスは60年代末から活躍したデザイン・チームで、特にピンク・フロイドのジャケットで一世を風靡。
バンドの周囲に集まる若者たちの中に、天才と呼ばれる男とその才能に引きつけられたカメラマン。二人の出会いから全盛期そして破綻までの経緯が描かれるのと交互に、その代表作の数々を当人やミュージシャンがエピソード(豚気球の話は爆笑)を語る--という二点だけで成り立っている。ある意味単純な構成とも言える。

ピンク・フロイド、ツェッペリン、マッカートニー、P・ガブリエルなどファンは必見だろう。
金と時間と人材をかけて幻想的・突飛な光景を生み出す手法はウケなくなり、CD→サブスクへと変化。そもそもジャケット自体が存在しなくなる時代の趨勢に、オールドなロックファンは涙を禁じ得ない。
ドキュメンタリーとしては、N・ギャラガーのような下の世代で部外者をもう一人ぐらい入れてほしかった。

自分の持っているCDを見たらアラン・パーソンズのようないかにも”らしい”もの以外に、昔散々愛聴したバッド・カンパニーのファースト(黒の背景に白いロゴ)が彼らの作品だと知って驚いた。

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2025年8月23日 (土)

「名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN」:ギターを持った人でなし

250822 監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ
米国2024年

アカデミー賞主演男優賞候補3作目。
ボブ・ディランといっても、録音は一枚も持っていないし彼については詳しい知識もなし。そんな私でも見た聞いた面白かったですよ。

音楽関係の伝記ものを見ていて不満に思うのは、私生活のネタ中心でなために同時期のライバルとか音楽シーンについての描写がほとんどないということだ。
この映画では1961から65年限定ではあるが、彼を取り巻く音楽の情況がよく分かるように描かれている。曲もたっぷりとかかるし、それどころかミュージカル並みに心情を表すように歌われる。

個々の曲のダイナミズムをよく心得た配置、その狭間に一人の男の肖像が浮かび上がる。性格が悪く、気まぐれ、図々しい、強過ぎる自負心、自信過剰、傲岸にして不遜、二股愛に加えさらに経歴詐称も?……よくある、「人が悪いけれど一方で天才である」という話でさえない。人の悪さそのものが破壊力であり革新性であるという存在として描かれていた。

ピート・シーガーは若いディランの登場をフォーク・シーンを盛り上げる起爆剤だと喜んで推薦していたわけだが、最後にはジャンル逸脱という正反対の方向に進んで彼に裏切られる。
恩知らずの若造か時代の革新者か--そのどちらも同じ意味であることが示されるのだった。

主要5人の演技(と演奏も)は文句なし👍 グロスマン役は『ジ・オファー』のコッポラやってた人か(あとファンタビですね)。ピートの日系妻役もよかった。バエズの一瞬の中指立てに笑った。
ネットの感想に「歌ってる場面が多くてつまらなかった」という意見を見かけた。音楽に興味ないとそうなるのかもしれない。
一方でマンゴールド監督の実話に基づいた過去作『フォードvsフェラーリ』同様、ホモソ的な部分があるようにも感じた。

結局、アカデミー賞は8部門候補で一つも獲得できず。シャラメの落選はやはり「まだ若くてチャンスがあるから」なのかな? でもブロディだって一度取ってるから十分ではないの(^^?ということにならんのか。

作中、ラストのニューポート・フェスで「音量下げろ💢」攻撃の中で調整卓を必死に守っていた若者が出てきた。実際にそういう者がいたのか、あんな大混乱をはねのけたのは何者かと思って見ていた
後でミュージック・マガジン誌の「名もなき者」特集を読んでたら、彼は若い頃のジョー・ボイド(音楽プロデューサー)だとあって驚いた。音楽と人に歴史ありですなあ。
それから、ピート・シーガーがコードぶった切りに斧を使おうとした逸話は以前から伝わっているそうな。アル・クーパーのスタジオ潜り込み事案は有名な話らしい。知らなかった(!o!)

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2025年8月11日 (月)

「ブルータリスト」:男と男と女と建築

250811 監督:ブラディ・コーベット
出演:エイドリアン・ブロディ
米国・イギリス・ハンガリー2024年

オスカー11部門ノミネートということで注目を集めた一作。
建築と建築家についての映画かと思って見に行ったらどうも違った。いや前半はそういう印象だったが、後半になると全く異なる方向へ。一体何を見せられているのかと思っちゃった。
しかも開始10分で、どうもこの監督とは相性が悪いと感じた。最後まで居心地悪かった。
様々な仕掛けがあり才気走っている。--とは裏返せばもったいぶっている、わざとらしいともいえる。そのくせ細部は雑なところがある。

加えてやはり長すぎるのは問題である。公開前から話題になっていたが215分で⚡間に休憩が入る。休憩が入るのはそれほど珍しいわけではないが、その間にも仕掛けがあるのだという。
そんな風にどうでもいい部分に時間をかけているような印象である。一方説明不足で通り過ぎてしまうところがあり。それでどうも見ていて判然としない。

大戦後のヨーロッパから米国に移住してきた才能あるユダヤ人建築家が、資産家の男に振り回されひどい目に会うが、実は作品自体に強烈なしっぺ返しを準備していた--という解釈でいいのだろうか。
長尺の中を小出しにして出してくるからあまり感じないが、資産家一家はあらゆる面で相当に腐敗しており「退廃の極み」といえる。
富と権力を持っているのに過去の苦労話をして共感を引き出そうとする--このガイ・ピアース扮する資産家男は日本でも政治家などにいるタイプだ。この人物造形はイヤ過ぎて逆に感心した。

最初見ていて気になったのは、やたらと男同士でイチャイチャペタペタ身体接触をすることである。ホモソーシャルも行きすぎだと思ってると、女との接触の方は妻も含めてなんだかなあ😦と思わざるを得ない。
しかも妻はなんだか陽炎みたいに実体がつかめないのだが、主人公のこうむった災厄に対して母親の如く立ち向かう終盤になって、ようやく真価を発揮する。監督は「母」が好きで「女」が嫌いなのかしらん。

エピローグは色々と問題があるとされているが(主人公のキャリアと年数が合わない、など)内容はいいとして、ラストショットが冒頭の尋問場面に戻ってくるのは意味不明だった。その直前に、主人公の車椅子の横に立つ成長した姪の娘(多分)を映すのだがそれを演じているのは……何か特別な意味があるのだろうか(?_?) 不明である。
そんな訳の分からなさで終始したのであった。

アカデミー賞は結局、主演男優賞、撮影賞、作曲賞を獲得した。今年は珍しく主演男優賞ノミネート作品をすべて見たが、他の人はともかくエイドリアン・ブロディの主男賞はどうかね……😑
彼の演技が良くないというのではなく、監督がどうも映像コンセプトが優先で、役者の演技に興味がないのではないか、あるいは生かそうとしない作風なのではと思わせるのだ。
しかし後で知ったのだが、監督は俳優出身だそうで(・・;) そんなものなのか。

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2025年7月 7日 (月)

人間無用!海と島と動物アニメ・その3「パフィンの小さな島」

250705 監督:ジェレミー・パーセル
声の出演:新田恵海
アイルランド・イギリス2023年

アイルランドのアニメスタジオ、カートゥーン・サルーンの新作はあまり宣伝もされぬまま公開。完全にお子様向けのせいか、上映館数が少なく字幕版もないので吹替版一択だった。

やはりこれもアニメで海🌊島🌅鳥🐦動物たちのパターン。元は配信シリーズものらしいが同時多発的になぜこんなにかぶってしまうのか、謎である。

主人公は環境破壊の影響で故郷を去らざるを得なかった海鳥の女の子。新しい島に来て他の鳥たちが大勢いるけど、親と一時的に離れる事態になり心配だ。でも誰にも相談できない。
そういう小さい子の孤立と不安、頑張ろうとしても却って失敗が大きくなる焦りが身近に描かれる。そのあたりは小さい子どもにもしみるかも。もっとも私が見た時には観客にお子様はいなかった(^^;

元のTVシリーズでもそうなのかもしれないが、ナレーションが見てれば分かることをやたら説明して(小さい子向けだから?)鬱陶しかった。キャラクターのセリフとかぶっちゃう部分もあったり。でもミュージカルっぽいところもあったので、字幕版で見たかったな。

絵柄は三作の中では一番個性が強い。もろに平面的な絵なのになぜか突然立体感生じたりして謎である。
途中『野生の島のロズ』と同じ展開が出てきたのには驚いた。あとキツネはこちらでもあまり周囲と関わらず独りで生きてるイメージだ。
海辺にいる髭を生やした長老カニ(賢人ならぬ賢カニ?)を見ていたら『スポンジ・ボブ』を連想しちゃった🧽 許してm(__)m

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2025年6月29日 (日)

人間無用!海と島と動物アニメ・その2「Flow」

250708 監督:ギンツ・ジルバロディス
ラトビア・フランス・ベルギー2024年

事前の予想を覆してアカデミー賞長編アニメーション賞を獲得したのはこれだ!
なぜか突然人間がいなくなったらしい世界。果たして舞台が地球なのかも曖昧だが、動物たちが廃墟の点在する森で暮らすうち洪水が突然訪れる。
逃げ惑う一匹の黒猫が絶体絶命の危機の中、帆掛け船の影を見つけるのだった。するとそこには先客がいて……。

船に乗り込んでくる動物たちの種類が意表をついて面白い。彼らは喋ったりせず、あくまで動物としての存在だ。いかにもそれらしい動作を入れてくる。
動物の毛並みはCGアニメによくあるような毛皮のモフモフ感はなく、やや荒っぽい画像なのだが(無料のソフトを使ったとか)、一方水の感触や植物の緑、正体不明の建築物に見入ってしまう。カメラの動きが動物視点で、自由自在で滑らかなのにも感心する。

一体この世界に何が起こったのだろうか。最初は温暖化で海水面が上昇したのかと考えた。話が進むうちに、地球の地軸がずれたのかもと思った。(SFにはよくある設定)
しかし途中で登場するクジラみたいな動物は明らかに地球のものとは異なるし、廃墟は神殿なのか高層ビルなのかもわからない。
そこら辺は最初から明確に設定していないようである。

いずれにしろ人間とは無縁の美しい世界が続くのだろう。黒猫の金色の瞳がそれが映す。
そんな中でも爪とぎだけは忘れぬネコチャンである。

愛猫家必見(一応、愛犬家も🐶)の上映時間85分⌚ 短くても豊かなイメージを堪能した。ただ15分以上も予告があって(映画だけでなく普通のCMもあり)長くて疲れた。

監督はまだ30歳(~o~)とのこと。若い!
オスカーについてはアニメ賞だけでなく国際映画賞にもノミネートされていて、母国のラトビアでは史上初の快挙だったらしい。多分お祭り騒ぎ状態になったに違いない。

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