映画(タイトル「ナ」「ハ」「マ」行)

2022年12月25日 (日)

「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」:継ぐのは誰か?!主役・ヒーロー・王の三位一体

221225 監督:ライアン・クーグラー
出演:レティーシャ・ライト
米国2022年

「行った!見た!面白かった🌟」となった『ブラックパンサー』、その続編が紆余曲折の末、遂に来たっ。何が紆余曲折かというとコロナ禍もあるが、やはり主演のチャドウィック・ボーズマンが亡くなったことに尽きる。
あえて代役を立てることはせずに、シナリオを書き直したという--で、いきなり葬式の場面から始まるのだった。

主演俳優が死んだから演じていた役の方も死んだことになるとなれば、役柄の「後継者」問題も当然浮上。それも「ワカンダの王」と「ブラックパンサーというヒーロー」の二本立てだ。
そのためこの映画は虚実を超えて三つの「弔い」と「後継」が錯綜する羽目になってしまった。で、それがどうも裏目に出た感が……💦
前作のように「面白かった~ヽ(^o^)丿」とスッパリ楽しめないのは困ったもんである。なんか事前の期待が高くなりすぎちゃったせいもあるかなあ、というのが正直なところ。

新たに出現した「敵」は敵どころか本来は共に白人の植民地主義にさらされた過去を持つ。仲間同士で戦ってどうするよと思ってしまうが、同族嫌悪というヤツかしらん。
「あいつらは敵、お前は仲間のはずだろ、だから俺につけ」というのは昨今のロシア=ウクライナ情勢を想起させる。(脚本書いたのはずっと前だろうけど)
しかも海が舞台となって『○バター』か『○クアマン』か、みたいな光景が出てきてビックリだ。

160分もあるから内容のどこに注目するかは人それぞれ。だが、どの点を注目しても物足りない部分がある。
何よりもアクション映画として見てて今一つスッキリ感がない。前作ではあんなにカッコよかったオコエ姐さんも冴えなかったしな……(T_T)グスン
TVドラマシリーズのキャラクター(これから開始するのも含めて)が登場するのも、全く見ていない人間にとってはなんだかなあである。
唯一の得点ポイントはCNNのアンダーソン・クーパーが特出したことぐらいか(*^▽^*)


取りあえず幾つかの注目点の中で後継問題を考えてみた。すなわち「主役」「ヒーロー」「王」の「身体」と「地位」についてだ。


★注意!以下はネタバレモードになります★


★自己責任で読んでください(^^ゞ★


まず「主役」-上に書いた通り代役を立てることをせず脚本を変更した。つまりC・ボーズマンの「身体」はこのシリーズおいて交代不可能であり、「後継」は存在しないとしたのだ。

次に「ヒーロー」-妹のシュリがブラックパンサーを襲名したわけだが、これは「妹」だからなのか、科学者として薬草を再生できたからなのか判然としない。
他のヒーローものを合わせて見てみると、「二代目」とか「三代目」が当たり前のように登場する。
その身体はスーツや薬物、装置などで補強可能であり唯一無二のものではないようだ。つまり後継者はいずこからか出現するように思える。

最後に「王」-ワカンダの王は何もなければ血統で引き継がれるけど、各部族から挑戦者が現れた場合はタイマンで決める……ということでいいのかな(^^?
他の人の感想で「なんで王の座を原始的な決闘で決めるのか」というのを複数見かけた。確かに科学技術が発達したワカンダのイメージにそぐわない。(ただし今回、伝統を重視し過ぎて旧弊だという設定が出てきたが)
肝心な王位を非近代的な(に見える)力ずくの決闘によって決めるということは、逆に言えば血統よりも個人の身体性を重視していることでもある。

「主役」唯一無二の身体。代替不可能ゆえ後継者なし。
「ヒーロー」自薦他薦にしろ後継者は出現。身体性は引き継がれる。
「王」血統より身体優先で決定。
全てのレベルで身体が重視されていることになる。
逆から見れば「主役」を殴り合って決められないからこそ、ボーズマンの代役は立てられなかったのである。
ということで、この三者は現実と虚構を飛び越えてゴッチャになって、互いにねじり合い絡み合っているのだ。

さてここで作中に戻って、問題なのはシュリはヒーローはやる気があるけど王はやる気なしで放棄したいようだ。(ラストのエムバクの言動だとそうなるよね)
となると、エンドクレジットの途中で登場するあのシーンが大変だ~⚡
先々代の王に隠し子が(!o!) しかもお子ちゃまだけどなんだか王様やる気満々。どうするシュリよ。てな感じで、次はお家騒動になるのか。さらにはブラックパンサー襲名問題まで発展するのだろうか。

なんにせよ、段々とどうでもいい感が増してくるのであったよ(ーー;)

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2022年11月26日 (土)

「バビ・ヤール」:ご近所の虐殺

221126 監督:セルゲイ・ロズニツァ
オランダ・ウクライナ2021年

次々と新作を発表しているロズニツァ監督のドキュメンタリーがまた公開された。自国ウクライナが蒸し返されたくない歴史を記録映像だけで掘り起こした問題作だ。

第二次大戦中1941年、ソ連邦の一部であったウクライナ西部をドイツ軍が侵攻した(もっとも元々はポーランド領だったという複雑な経緯があるらしい)。キエフまで進軍する中で市民は熱烈歓迎し、スターリンの絵を引き裂いてヒトラーの肖像を掲げる。また将校たちを招いて歓迎イベントを開く。
その熱狂ぶりは様々な折に記録されており発掘映像が続くのだった。

ところがキエフで公共施設のビルの連続爆破事件が起こり多数の死傷者が出る。この爆発映像はかなりの迫力だ。実際は違うにもかかわらずユダヤ人の行なったテロとされ、直ちに在住するユダヤ人全員に出頭命令が下る。
その数、3万4千人弱。ドイツ軍の指揮下で近くの渓谷地帯に集められ銃殺された。バビ・ヤールとはその渓谷の名前である。
その手順は戦争捕虜に広大な溝を掘らせ、ユダヤ人を殺害して落として埋めるというものだった。

さすがに虐殺自体の映像はない。残るは前後の状況を撮ったスナップ写真のみである。よくよく考えたらそんな映像をわざわざ残しておくはずもないわな。急に静止画像になってしまうのがまた怖い。
映像の代わりに存在するのは目撃者の証言である。そして「ウクライナにユダヤ人はいない」という詩の一節が流れる。
問題はキエフの一般市民はそれを見過ごした--どころか進んで協力した者もいたらしいということだ。

ところが1943年再びソ連軍がドイツ勢を追い払いキエフに戻ってくる。すると市民は今度はヒトラーの写真やナチスのポスターを引きはがして歓迎するのであった……。

事前の情報ではユダヤ人虐殺事件が中心の作品かと思っていたら、かなりの時間を割いてソ連→ドイツ→ソ連と支配者が交代するたびに、手のひら返しの熱烈なエールを送る民衆の姿を容赦なく暴きだしている。
もっともウクライナに限らず日本だって敗戦時の墨塗り教科書事案などがあるので、あまり他人のことは言えないだろう。

それにしても戦闘にしろ破壊にしろ80年前と現在とほとんどやってることは変わらないのはどうしたことよ。
平原を渡る戦車、爆破されたビル、壊された橋、捕虜の列、民家を燃やし遺体を埋め、掘り返して葬りなおす。統治者が変われば旗を引きずり落とす。現在でも行われていることだ。
こういうことについて「進化」はないのか。

さらに戦後すぐにソ連によるこの事件の裁判が開かれ、捕虜のドイツ兵を含む証言者の映像が登場する。
続くは、被告の独軍人たちの公開処刑の一部始終である。万単位の市民が広場を埋めて興奮し見守る。なるほど公開の絞首刑とはこういう風に行うのかなどと興味深く見てしまう……場合じゃなーい(>O<) これまたショッキング過ぎる映像だ。
もしかしたらユダヤ人虐殺を内心は肯定していたかもしれない市民が、今度はその犯人たちの死刑に熱狂する光景はなんとも形容できない思いが浮かんでくる。

このドキュメンタリーで描かれてきたのは死、暴力、破壊である。
その最後のダメ押しというべきなのが、戦後に事件の現場である渓谷をそのまま産業廃棄物で埋め立ててしまったことだろう。このラストの光景も圧倒的である。

ウクライナ映画アカデミーから除名されてしまった(こちらに経緯あり)ロズニツァによる、まさに「非国民」的作品である。
なお作中に遺体が度々出てくるので苦手な人はご注意を。


ところで以前『ドストエフスキーと愛に生きる』というドキュメンタリー映画を見たことがある。その時には全くと言っていいほど理解できていなかった主人公の背景が、今回の紛争の報道で少しは分かったような気がした。
父親がスターリンの粛清により亡くなり、通訳となってドイツ軍と共にウクライナを去る--それがどういうことだったのか。
高校生たちに授業を行ったのは確かキエフの学校だったかな? 明るい瞳をした彼らはもう30代のはず。今、戦争で辛酸をなめている世代だろう(T_T)ウウウ

注-地名については本作での表記に従いました。

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2022年9月21日 (水)

「NOPE/ノープ」:見られるうちに見よ

220921 監督:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ
米国2022年

※後半にネタバレあります。

今季注目作の一つ。公開前から一部で「IMAXで見ないとダメだ」と話題になっていた。はて(?_?)どんなもんだろうと思ったが、あまりホラー系は得意でない人間なので(実際見てみたらホラーではなかったけどな💥)余計に料金払って気に入らなかったら暴れたくなるに違いないので通常版にした。

最初の感想は「なんだかよく分からんけど、強烈で変な映画だなー」であった。
冒頭現れる過去のTVドラマでの陰惨な事件、唐突に紹介される映画史初期での黒人の存在--しかし一貫して舞台はLA近くの馬の牧場なのだ。もっともその馬は映画・TV出演用に飼育されているものである。

中心となる兄妹の人物造形が興味深い。妹は外交的で常にハイな感じ、牧場の宣伝は怠りないがフラフラしてて居所もよく分からない。一方、兄は内向的で口下手で鬱屈したものを抱えているようである。演じるD・カルーヤは帽子をいつも浅くかぶっていて、その頭部が伸びたイメージが生気のなさや投げやりでボヤーっとした印象を常に示している。
二人ともそんな言動や外見のため、未熟と成熟の間をフラフラと漂っているようだ。

で、彼らが突如意欲を燃やすのが近辺に現れる謎の飛行物体を撮影することなのだ。(なんで?)
そして、近所にある西部開拓テーマパークの経営者がからんでくる。(何の関連が?)
ITショップのオタクな電気工事士もなぜか参戦。(まあ、いいけどさ……)

かようにそれぞれの相互関係がよく分からないうちに話がサクサクと進む。その間にもオタクネタは頻出する。恐らく半分ぐらいしか理解できてない。「スコーピオン・キング」は分かるけど『トレマーズ』は見てないしな、とか。それ以外にも、背後に寓意やメッセージが隠されていそうだ。
一方、夜の牧場の光景、人形バルーン(ゆらゆら揺れてるヤツ)をはじめ不穏な映像センスは抜群である。

そして、強引ともいえる決着の付け方については「これでいいのか?」感と共に「一体何を見せられたのか?」という疑問が、ドトーのように湧き上がってくるのであった。
でも何やら見てて不明解な吸引力あるのは事実。そして社会問題や過去の歴史についてオタクなネタなはずのものを結びつける力業に感心してしまうのである。
そんな剛腕のピール監督は今後も目が離せないですよ(^O^)bナンチャッテ

 

 ★ ★ 以下ネタバレモードになります ★ ★


 ★ ★ ご注意ください ★ ★

 

ジャンル的には確かにホラーというより「動物パニック」映画という指摘は当たっているだろう。途中で未確認飛行「物体」でなくて「生物」だというのが判明して、それなら何故兄妹の農場周辺を縄張りにしているのかという理由も不問になる。
……だって動物なんだもん( ̄▽ ̄)

舞台が農場なので西部劇との関連も考えられる。しかし、意図的に「銃」は出てこない。普通だったら空に向かってライフルでもぶっぱなしそうなものだが、そういう方向には行かない。登場人物たちが構えるのが銃ではなくことごとくカメラの類いなのだ。
兄が厩舎に行って闇からサルもどき出て来た時に、彼はいかにも武器を出そうと探るがごとき動作で腰のあたりに手をやる。しかし実際に取り出したのはケータイで、そのカメラで撮影しようとする。しかもスマホじゃなくてそれ以前のガラホではないか(^^?

逆に言えばカメラもまた武器の一つであるということだろう。
終盤、妹の前に出現するネット配信社(でいいのか?)のカメラマンは鏡面のフルフェイス・ヘルメットをかぶり、さらにカメラを銃のように構えてこちらの視線を受け付けない。その禍々しさよ💀

さらに謎なのはIMAXで撮った作品なのに、劇中では結局「IMAXカメラは役に立たなかった(多分)」らしいことだ。ええー、いいのかそれで\(◎o◎)/!
飛行の瞬間にはフィルム交換で手間取ったりしてちゃんと捉えられたのかは明示されていない。カメラマン一人で突撃したのは結局どうなったのか。
どころか、「オプラ基準」の決定的瞬間は、テーマパークのポラロイドカメラの連射によって撮られたことになる。これじゃあ最新技術とは程遠い、映画史前夜の段階ではないの。

さらにラストに馬に乗った兄が登場することで、映画誕生の瞬間を黒人に取り戻したことになる。ハッピーエンドではあるが、なんだか映画マニア以外には盛り上がりにくいテーマではないだろうか💦

一つ問題なのはテーマパーク経営者の扱いである。東アジア系の彼はTVの子役時代に悲惨な事件に巻き込まれたという過去を持つ。しかし、それが農場の騒動との関係が今一つスムーズに結びつかない。
唐突に兄妹に事件を説明しだすのも変だ。脚本に難ありでは思ってしまう。
下手したら、ラストの巨大カウボーイ・アドバルーンとポラロイド・カメラを登場させるための方便として出したんじゃないのかと疑惑を招く。

だが、彼が事件のトラウマから逃れるために自分から過去を語ったり「呼び寄せ儀式」を行なっているのではないか、という説には目からうろこがボロリと落ちた。それならあのような行動も納得だ。
また、事件でチンパンジーが彼を見逃したのは「見る見られる」視線云々という論の観点から、互いに目を合わせなかった(間にビニールの幕があって)からだという説がある。でも、むしろ「このちっこいヤツもオレと同じに遠い場所から連れてこられたに違いない」と仲間意識があって同情してたんじゃないの❓

などなど議論は絶えない映画である。でも、公開週の興収が事前に決められた水準に達しなかったので(一応、第1位だったけど)、規定通り1か月後に配信扱いになっちゃったとのこと。キビシイのう。

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2022年9月13日 (火)

「バズ・ライトイヤー」(字幕版):無限の彼方へ--行って戻ってこない

220913 監督:アンガス・マクレーン
声の出演:クリス・エヴァンス
米国2022年

『トイ・ストーリー』1作目は1995年公開(!o!) えっ、四捨五入すれば30年前になっちゃうじゃないですかっ。そんな昔なの? 私も歳を取るわけだ~⏳

そして今頃になってスピンオフ作品が登場である。
1作目でアンディ少年が見て夢中になった(で、人形を買ってもらった)、バズが主人公の熱血アドベンチャーSF映画そのものという設定だ。
なので、バズが出ているという以外は『トイ・ストーリー』自体とほとんど関係ない。

巨大宇宙船で航行中、バズのミスにより1200人もの乗組員がとある惑星に不時着、飛び立てなくなってしまう。失敗を取り戻そうと試験飛行を繰り返すが、光速突破なのでその間に他の人々とどんどん時間がずれていってしまう。
彼らは自らの生活を送り年齢を経ていくが、バズはそのままで周囲に適合できず「時代遅れ」--どころかやがて最後には「異端」扱いになってしまう。

タイムパラドックス、惑星探査、ロボット軍団などSFの定番が次々登場。
しかも過去の失敗の記憶から抜け出せず、いつまでも一人引きずっている主人公である。これってヒーローに憧れる少年向きじゃなくて、くたびれた中高年向けのテーマじゃないですかっ\(◎o◎)/!
さらに『2001』やら『アポロ13』など昔の名作SFのパロディが満載だ。若いモンよりオールドファンが喜ぶ話だろう。

全員未熟で欠点多数のデコボコトリオがいつしか本領発揮して主人公を助けるという展開だけど、トリオの当初の役に立たなさがあまりに大きいとはいえ新味とは言えない。
ピクサー作品も「常道」ぶりが固まってきて、それを突き抜けるパワーや工夫が今一つ不足なのが感じられたのだった。残念よ。

ネコロボのソックスが賢くてカワイかった🐾 ポコポコ歩く足取りも(^^) プレゼントにはバズ人形よりもネコロボがいいなあ。
なおエンドクレジットの後にオマケあり。もしかして続きはディズニープラスでやるってことか(?_?)
目がウルウルしてる新人って、元ネタは「シュレック」の長靴ネコ?

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2022年9月 9日 (金)

「モガディシュ 脱出までの14日間」:ここまでやるか!てんこ盛り

監督:リュ・スンワン
出演:キム・ユンソク
韓国2021年

映画のありとあらゆる要素を全部乗せして余さずに差し出してきて、しかも実話を元にしているという。これ一本で満腹間違いなし!の力作である。
ごっつぁんでした~(^^)/

舞台は1990年のソマリア、韓国の国連加盟案件を控えて首都のモガディシュで南北それぞれの大使館が互いに暗躍し工作を繰り返すという状況が続いていた。当地の権力者に対しては金品とヨイショ攻勢は欠かせない。
しかしクーデターが起こり、内戦が勃発する。南と北の大使館の対立さえも吹き飛ばす、巨大な暴力が市中で巻き起こるのだった。

当時こんな状況だったとは全く知らなかった。路上では死屍累々、少年兵の無邪気な狂気が怖い。それと、死体の上を車がボコッと走っていく音には冷汗が流れる(>y<;)
しかし、そのような国を利用しようとしていたのがそれまでの実情なのだ。
遂に北朝鮮の大使館にも暴徒襲撃の危機が迫ってくる。助けを求める先は……。

このような内容とはいえ、マジメ一本やりの社会派作品というわけではない。導入はお笑いモードから始まり油断させておいて、途中には敵対反目→相互理解に至る感動と涙を織り込み、さらに終盤では壮絶な銃撃&カーチェイスの組み合わせへと至る。そこまでやるかと絶句してしまう。あまりの迫力に思わずギャーッ(>O<)と叫びそうだった。

あ、さすがに恋愛要素は入る余地なし。ただし男同士のひそかな熱い友情はあるけどな。燃えて⚡燃えて🔥萌えまくれ~💖
そしてラストには涙が--(T^T)
南北それぞれの大使役のキム・ユンソクとホ・ジュノの渋い熱演が光る。

製作面ではモロッコのロケ地に再現した町並みにアフリカ系キャストを多数投入している。「暴徒襲撃」といっても実際には画面にニ、三人しか映ってないよ💦というショボさはB~X級作品ではあるあるだが、本作についてはそんなことはなしっ。群衆シーンもCGで割増などということもなく(多分)実際に動員して迫力ありだ。
お金のかけ方が全く違う印象である。やはり韓国映画恐るべし。もう永遠に勝てそうにない。
チケット代の元は完全に取れたと言いたい。


ところでどうでもいいことだけど、日本と箸の使い方が違うのだろうか。みんなで夕食の場面、日本だったらマナー違反になりそうなところありでは?

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2022年8月25日 (木)

「PLAN75」:明日なき制度

220825 監督:早川千絵
出演:倍賞千恵子
日本・フランス・フィリピン・カタール2020年

超高齢化社会の日本で75歳以上の安楽死推進法案が可決💥--という近未来SFぽい設定だが、脚本も兼ねている監督によると近未来の話ではないそうである。確かにSF的な要素もない。まさに「現在」なのである。

公共施設で流れる安楽死制度のCMを見ると、保険や投資の宣伝みたいで明るく前向きで……あまりに前向き過ぎるのがコワい。
富裕層向けのプランも紹介されるが、この制度の主要対象は貧しい身寄りのない高齢者であり、そちらの方向へ転がり落ちていくように社会全体の構造ができているようだ。
実際、現在の日本の高齢単身女性の半数が貧困状態にあるというから全くもってこれは絵空事ではない。

役所が行なう(多分)困窮者の炊き出し会場にもさりげなくブースが設置されて、高齢者が吸い込まれていく。しかも最後まで「いつでもキャンセルできますよ」と親切めかして付け加えるが、実際には選択した者の自己責任を強調しているのだ。

もっとも「実際には今の日本ではこんなちゃんとしたシステムは作れない」と書いている感想を見かけたが、私もそう思った。役所が直接担当せずに、怪しい団体が中抜きしてヨレヨレした仕様になっているに違いない。

主人公の78歳の女性は失業してから職を探すことができずプランへと追い込まれていく。身寄りのない年寄りには冷たい社会である。
主人公の台所が最初は洗剤やら調味料やら色々置いてあったのが、きれいに片付けられていくのが律儀な性格を表しているが、そのようにいくら誠意を尽くしキチンとした暮らしを全うしても無駄になるだろう。

一方、フィリピン人介護士のコミュニティはそのような日本社会とは対置して描かれているようだ。しかし彼女が「センター」で担当する所持品の場面は、ユダヤ人収容所を想起させゲンナリとしてしまう。
他に登場する若者二人は疑問なく淡々とプランの業務をこなしていくが、担当した相手を身近な人物として知ってしまえばもはや今まで通りには行かない。
合同葬儀の「おまとめプラン」(かな?名称忘れた)の真相にはヒエーッ⚡となった。

架空の制度に仮託して、現実の世界を明確に切り取って提示しているのは見事である。そしてラストの主人公は……私は世評に反して寂し~く感じたのだがどうだろう。
ただ、終盤の展開はやや強引過ぎるように思えた。それと役者の演技をじっくり撮ってみせて、観客になんらかの感情を引き起こそうとするタイプの描写は個人的に苦手なのよ。だから「あと15分ぐらい短くなるのでは」などと思ってしまったです(-_-;)
なお、費用節約のためわざと周囲をボカシて撮っているという批判をいくつか見かけたが、全てを明確に映さない作風でわざとやっているそうだ。

見ているうちにとあるマンガ作品を想起させる場面があって、もしかして影響を受けているのかしらんと思った。しかし、さらに後でTVシリーズ『ハンドメイズ・テイル 侍女の物語』を見たらそちらにも似ている部分を感じもした。

主役の倍賞千恵子は演じている年齢より実際は上だとはとても思えない(!o!) あの年齢でスッピンでアップを撮られても、やはり元から美人な人は歳を取っても違うのだなあ👀などと感心してしまった。

この内容では日本で製作資金が集まらなかったのは仕方ない。しかし、カンヌで評価されて凱旋上映大公開なのはメデタイ(でいいのかな)。
映画館は75歳になったらお呼びがかかりそうな中高年が多数。私もそのうちお呼びがかかりそうです。イヤ~ッ(>O<)

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2022年8月 6日 (土)

「FLEE フリー」:真実からの逃走

監督:ヨナス・ポヘール・ラスムセン
デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フランス2021年

アフガニスタンで生まれ育った少年が政変を逃れ、共産主義体制が崩壊したばかりのロシアに家族と共に亡命する。そんな過酷な半生を語るドキュメンタリーである。
その手法が全編アニメーションで描くというものだ(実写は当時のニュース映像が時折入るぐらい)。過去に起こった出来事は後から撮影はできないからアニメで再現するのは「あり」だが、現在の生活やインタビューの姿も恐らく一度実写で撮影したものを描きなおしている。
個人を守るためにそのような形にしたのだという。

カブールでの子ども時代、父は不在でも楽しかったけどすぐに終わりを告げる。逃亡先のロシアでの生活も恐怖と一体だ。
苦難の末、結局彼は家族と離れたった一人で異国の地に立つことになる。危険なので自分のこと家族のことの真実は話せない。虚偽で固めた「自分」を守るしかない。

あまりにつらい話が続くので見ているだけでも段々とへこんでくる気分だ。
そのような体験は大人になった彼の精神の中に暗く影を落としているのが、段々と明らかになっていくのだった。
さらに自分がゲイであることが分かったら、唯一のよりどころである家族からさえも拒否されるのではないか--この煩悶は苦しい。ウウウ(=_=)

鬱屈を抱える彼へ、最後の最後に救いが出現する。俄かにこの場面こそドキュメンタリー+アニメという手法が最も有効な瞬間となる。
いざ、過去の影より抜け出て明るい日々へ--✨


なお、誰でも鑑賞後に「おにーちゃん、疑ってすまなかった。あんたはエエ人や」m(__)mガバッと土下座したくなるのは確実であろう。

それにしても、モスクワのマクドナルド第一号店開店のお祝い騒ぎの横であんなことが行われていたとは(>y<;)

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2022年7月 2日 (土)

映画落穂拾い2022年前半編その1

忘れた頃の落穂拾い、期せずしてアニメ特集となりました(^^ゞ

「ロン 僕のポンコツ・ボット」
監督:サラ・スミス、ジャン=フィリップ・ヴァイン
声の出演:ザック・ガリフィナーキス
米国2021年
TV放送視聴

孤独な少年にプレゼントされた、みんなが持ってる友達ロボット。ずっと買ってもらえずに自分一人だけが持ってなかったので、喜んだのはいいものの贈られたのは不良品だった💥--というCGアニメ。
SNS依存の代わりに、子どもたちはロボット依存が甚だしくて全生活を頼り切っている。いかにも現代のお子様向きのテーマかもしれないが、あと10分ぐらい短い方がよかったんじゃないのと思ってしまった。

主人公がトムホっぽかったんで、ついスパイダーマン連想したりして。
友達みんなのため、さらには世界の平安のために大切なものを失うのをあえて認めるというのも似通っている。これも大人へ向かう試練というやつか。
悪役がS・ジョブズに似ているのは何か恨みがあるのだろうか(^^?と思ったりして。

結局、「ロボットが不良品」という一点だけで突破を図ったような気がしなくもない。ロボットはカワイイけどな。

しかしこのロボット、子どもより独居老人向けなんじゃないのか。話相手になって、荷物を代わりに運んでくれたり、杖代わりになったり、「えーと、向こうから来る人誰だっけ?」という時に「前の町内会長ですよ」と教えてくれたりして……孫より大事に思っちゃうかも。


「ミラベルと魔法だらけの家」
監督:バイロン・ハワード、ジャレド・ブッシュ
声の出演:ステファニー・ベアトリス
米国2021年
VOD視聴

こちらはディズニーアニメ。メガネのヒロインはチャーミング、家族のキャラクターも多様、音楽は良し、映像の色彩や動きは驚くほど(特にミュージカル部分の自在さ)……なんだけど、後半の展開についていけず肝心のテーマがよく理解できなかった。

バラバラになった家族が雨降って地固まるってことなのか(?_?)
家族の再生の話としても、どうにも複雑で回りくどく、遠くまで引っ張った挙句に元通りとは、納得いかない気分でモヤモヤする。
裏に何か意味があるんだろうとは思うものの、そこまで追求する元気も興味もないのであった。

結局ミラベルは「何者」なのか? 主人公は彼女じゃなくておばーさんの方だという説もあるし、ますます不明。音楽・映像に目が(耳が)くらみ脳ミソがついていかない。
というわけで前半9点、後半5点みたいな配分。分かる人だけに分かるミュージカル・アニメかな。
なお作中歌の「秘密のブルーノ」は大ヒット、再生回数で「アナ雪」を抜いてディズニー作品の中でトップになったとか。でも、アカデミー歌曲賞の候補になったのはこの曲ではなかったんだよね。


「アンネ・フランクと旅する日記」
監督:アリ・フォルマン
声の出演:ルビー・ストークス
ベルギー・フランス・ルクセンブルク・オランダ・イスラエル2021年

要するに「アンネの日記」のアニメ化ね--と思って興味が今一つ持てなかったが、そんな一言でまとめられるような単純なものではなかった。
さすがに『戦場でワルツを』のアリ・フォルマン監督、というところか。

現在、観光スポットと化しているアムステルダムの博物館、そこに保存されている事物のアンネの日記から少女が突然現れ、そして街中を歩き回る。

彼女は日記内に描かれるアンネの空想上の友達だった。しかし、彼女はアンネがその後どうなったか知らない。当然だ、日記はそこまで書かれる前に終わってしまっているのだから。

周囲の観光名所の数々に名が付けられ、象徴となってしまった「アンネ」現象に向ける視線は辛辣である。まるで本人に代わって批判しているようだ。

迫害から逃れ屋根裏に隠れ潜むユダヤ人と、警察の取り締まりを避け廃屋に集まり住む現代の難民や不法移民を重ね合わせるのは、まさに「今」にアンネを立ち現わせる試みと言えるだろう。
難民を迎えに来たバスがウクライナを連想させてウツウツとなってしまった。

結構クセのある作風なので、見る人を選ぶかもしれない。
ドイツ軍と戦う神話の軍団が「アベンジャーズ」みたいなのでちょっと笑ってしまった。

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2022年6月 3日 (金)

「プリズン・サークル」

220603 著者:坂上香
岩波書店2022年

著者は犯罪者の更生プログラムを描く『ライファーズ』、元受刑者が参加するプロジェクトのドキュメンタリー『トークバック 沈黙を破る女たち』を作って来た監督である。
最新作の『プリズン・サークル』では日本の刑務所で唯一行われている犯罪者更生プログラムを取材した。これはその書籍版だ。雑誌「世界」に連載したものをさらに加筆している。

取材に至った経緯、行われたプログラムの詳細な内容、映画では入れられなかった個人の背景やその後、さらに他の研修生のエピソード、取材の困難さ(色々とあったらしい)も描かれている。
「映画」後の状況については、現在は当時のスタッフが去ってプログラムも縮小されてしまったそうな。ショックである(!o!) 残念の一言だ。

以前とある研究者がこの映画について「性犯罪者に対しても同じようなスタンスが取れるのか」とやや批判的な意見を述べていた。ここでは、映画に登場しなかった性犯罪者たちについても一章割かれている。(なぜ映画には登場させなかったか理由もあり)

また、エピローグの著者の「告白」には驚いた。表現者と現実との相克というようなものを感じた。生きることはつらい……などと思ってしまった。

この本を読めば映画のシーンが頭に浮かびあがると同時に、また別の情景が見える。小説と映像化の関係だけでなく、ノンフィクションにおいても文章には文章、映像には映像なりに描けるものがそれぞれに存在するのだと実感した。
映画を見てない人、見た人の双方にオススメである。

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2022年4月17日 (日)

「フリー・ガイ」:黒メガネの目覚め

監督:ショーン・レヴィ
出演:ライアン・レイノルズ
米国2020年
*TV視聴

正直あまり期待していなかったので、ロードショー時には見ないでWOWOWかツ●ヤに出てくるまで待つことにしていた一作。
ゲームネタの話らしいが、そもそも私はゲームをやらん人間だしなー。

そんなわけで期待値ゼロで見始めたのだが……

なんだよ、面白いじゃねえか~っ(>O<)

オンライン・ゲーム内で銀行員という平凡なキャラクターの男、いつも簡単に殺される日常を繰り返していたが、ひょんなことから自分がゲームのキャラクターだと自覚する。そして虚構と現実の双方で「危機」が起こりつつあることも知るのだった。

ゲームをやってる人なら色々と小ネタが分かるんだろうけど、全くゲームしない人間でも単純に楽しめた。
粗暴で巨悪なキャラクターを現実で操っている人間が全くかけ離れているのが笑える。特にチャニング・テイタム扮する強面傭兵集団ボスの実像が情けなさ過ぎ(;・∀・)

そもそもなぜ男が真実に目覚めたのかという謎解きがなるほどと納得し、発生した「恋」の行く末をどうするんだと思ったら、そういう風に解決するのかと感心した。アクションとドタバタ展開だけじゃなくて、隠しメッセージもあって鑑賞後感はスッキリ&ポジティヴだった。
終盤の目まぐるしいゲーム世界の映像も鮮やか。
平凡さを出したレイノルズは好感度高い主人公。ジョディ・カマーはゲームキャラとリアル人間の差をよく表していた。

原作のないオリジナル作品で大ヒットになるのは最近では珍しいそうである。よく出来ている。
ところで疑問が一つあり。ゲーム内の展開は毎日クリアされるが主人公の記憶だけ残っているという展開だよね。
ということは、彼は毎朝誰かをぶん殴って黒メガネを入手しているのかな(^^?
それからジョン・カーペンターの回顧上映の予告を見ててふと思ったのだが、「黒メガネをかけると真実が見える👀」というのは『ゼイリブ』が元ネタなのだろうか。

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