映画(その他の話題)

2025年1月12日 (日)

今さらながら2024年を振り返る

250112a ますますブログを書く精神的余裕がなくなってきて、映画評に関してはツイッターXには短い感想を書いてから、そのまま放置というパターンが多くなってしまいました。やはり気力と共に脳力も落ちているのでありましょうか。
それでもコンサートの感想はなんとか追いついたので、2025年は映画の方も頑張りたいもんです。

【映画】
話題作・大作はかなり見てません(堂々と断言)。そのせいか昨年、一昨年同様9作品しか決められず。10作目を決められないので次点を二つ選ぶことに💦 『デューン2』は「まだ続く」状態なので保留。リンクが付いていないのは近日中に感想を書く予定です。
順番は見た順です。

『アメリカン・フィクション』:配信スルーは残念。
『美と殺戮のすべて』
『ソウルフル・ワールド』:字幕版があったらそちらで見たかった。
『人間の境界』
『関心領域』
『密輸1970』
『夜の外側』
『シビル・ウォー』
『ソウルの春』
【次点】『アイアンクロー』『HOW TO BLOW UP』

★部門賞
*監督賞 マルコ・ベロッキオ(『夜の外側』):同じ題材に歳月を経て今また再び挑戦。これを執念と言わずしてなんでありましょうか。

*俳優賞
 ザンドラ・ヒュラー(『関心領域』『落下の解剖学』
 ウィレム・デフォー(『哀れなるものたち』)

*悪役賞 ファン・ジョンミン(『ソウルの春』):トイレの場面に参りましたm(__)m

*新人賞:ドミニク・セッサ(『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』

*音楽賞 マルクス・ビンダー(『クラブゼロ』):グイグイ詰められます。

*動物賞 『ソウルフル・ワールド』のネコ:その正体は!?

*HOTな弁護士賞 スワン・アルロー(『落下の解剖学』):HOTです🔥

*最凶邦題賞 『こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語』:無理しなくても普通に「アル・ヤンコビック物語」でいいと思いまーす。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞 『マダム・ウェブ』:まるで消化試合のようにやる気が一つも感じられない。新人のライターがこんな脚本持って行ったら投げ返されるような内容。詰まらないとかいう以前にあきれた。
《この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解です)》

★その他トピック
*今に始まったことではないが、アマプラの字幕がひどい。なんとかしろ~(`´メ)
*『インサイド・ヘッド2』の上映時間を間違えたことを発端として、猛暑&高湿度の中8月の銀座の街をさまよう羽目に……。なぜこんなことになったのか。
*『Xエックス』シリーズの3作目の日本公開はどうなったんでしょうか。米国では7月ごろにもうやっているんだよね。もしかして、すごくつまらないとか(?_?)


【コンサート】
今年は体調不振のため全体的に行った回数が少なかった。今年も復活できるか不明。

シャルパンティエ 牧歌劇「花咲ける芸術」
「Ut/Faコンサート2024 18世紀のフランス音楽」
「アルプスを越える天才たち」
BCJ秋祭り「ミサ曲ロ短調」「祝祭のオール・バッハ・プログラム」
「マドリガル・コメディ」
「イタリア・バロックを歌う」

最近、古楽系の演奏を聞いてきて思ったのは当時の精神や感覚を追及するような演奏が存在するということ。いにしえの時間線に立って遠い時代の距離を遡っていく。
それらはスター演奏家が魅力を発揮するというようなあり方とはまた異なるものだ。また、現代の要素を取り入れれば先鋭的なわけではない。(どちらかが良いという意味ではない)
……などとシミジミ感じているのであります。

事件としては新大久保から東京中央教会へ行くのに迷って変なオジサンに遭遇したこと。東京コワイよ~💥田舎モンは来ちゃいけないよ~(^◇^;)


【録音部門】
もっぱらCD沼より拾い上げて旧作を消費していた。比較的新しいものは、

ザ・スマイル『カットアウツ』
ロバート・グラスパー『イン・ディセンバー』
ホセ・ジェイムズ『1978』
ラ・ヌオヴァ・ムジカ『ヘンデルズ・アンサング・ヒーローズ』
グランドラヴォア『無より』

長年放置していたアナログ盤を遂に全て処分完了。一番高かったの『風街ろまん』(はっぴいえんど)であった。別に保存状態が良いわけではないのに(?_?)


【その他】
「三島喜美代 未来への記憶」(練馬区立美術館):歳を取るにつれて作品が巨大にパワフルになっていくのに感心した。


なお昨年一年間で一番アクセスが多かった記事はなぜか『「アンテベラム」:パニック!逆襲の奴隷農園(仮題)』でした。

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2024年1月15日 (月)

今さらながら2023年を振り返る

240115 ますます更新が遅れる当ブログであります。不穏な世の中に気を取られているうちにさらに遅れるという。まあ焦っても仕方ないんで(と言ってますます遅れる)。

【映画】
話題作であってもロードショー料金払うのはどうもなあというような微妙な作品はケーブルTVか配信で見ようと、後回しにしてたら未だほとんど見てないという事態に。
とりあえず選んだら昨年同様に9作しか決まらず(+o+)トホホ
なんとなく見た順です。リンクが付いてないのは感想をしばしお待ちください。

『モリコーネ 映画が恋した音楽家』:音楽を心底堪能しました。
『ベネデッタ』:山岸凉子に「裏ベネデッタ」描いてほしい。
『幻滅』:うさん臭い人間が大勢登場してウレシイ。
『アシスタント』:つらい。
『大いなる自由』:途中でギャーと叫びたくなった。
『マイ・エレメント』:久々にピクサー印に感動。
『熊は、いない』:これもクマ映画になるのか🐻
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』:渾身の一作……だがオスカーはどれぐらい獲得できるかな。
『ブラックベリー』:配信スルーとはいえ見ごたえ大いにあり。

一作選ぶとしたら『大いなる自由』ですね(^^)
事件としては『マイ・エレメント』での若いモンだらけの場内で最高齢疑惑の衝撃がありました。しかし終演後に見まわしたら白髪頭の男性が二人ほどいて、ヨカッタ( -o-)


★部門賞
*監督賞 ポール・ヴァーホーヴェン(『ベネデッタ』):スピルバーグやスコセッシではあまりに順当過ぎるんでな……。

*主演賞 フランツ・ロゴフスキ(『大いなる自由』)
 ヴィオラ・デイヴィス(『ウーマン・キング 無敵の女戦士たち』):背後にメラメラ燃える炎を見た!
 
*助演賞 ライアン・ゴズリング(『バービー』

*悪役賞 セシル・ドゥ・フランス(『幻滅』):賢く美しくしかし弱く不幸な女のずるさを完璧に表現。

*動物賞 『Pearl パール』のワニ🐊:今年はロバとクマが優勢だったが見事獲得。

*美肌賞 ヴィルジニー・エフィラ(『ベネデッタ』):46歳(!o!)ぜひ手入れの秘訣をお伺いしたい。

*最凶邦題賞 『ヨーロッパ新世紀』:意味不明。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞 『オマージュ』:いろいろご意見はありましょうが、天井に穴が開いている映画館はカンベンしてくれ~。
 この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解


【コンサート】
「タブラトゥーラ 江崎浩司メモリアルコンサート」
「イタリアへの憧憬」
「快楽の庭園 チェコ、クロムニェジーシュ城に響いたバロック音楽」
「音楽風刺劇 オスペダーレ」
「層・LAYERS」
「祝祭」(カテリーナ古楽合奏団)
ラモー「レ・ボレアード」

【録音部門】
『ラヴェット!』(ベティ・ラヴェット)
『小坂忠 THE ULTIMATE BEST』
『ライヴ・アット・ザ・キャピタル・シアター』(デヴィッド・クロスビー&ザ・ライトハウス・バンド)
古楽系はCD沼をさらってもっぱら古いものを消化していた。

【その他】
『正義の弧』(マイクル・コナリー):約30年に渡り付き合ってきた刑事ボッシュ・シリーズ遂に終了(T^T) 私も含めてみんな歳を取りました。

「野又穫 Continuum 想像の語彙」:再びナマで鑑賞できて良かった。

240115b 事件としては
*ナハリン/バットシェバ舞踏団来日中止:イスラエルの現状を鑑みるに仕方ないこととはいえ3度目もダメとは……泣ける。

*某美術展を見てガッカリしてしまった件:意欲もある、手法も工夫を凝らしている、社会への貢献を考えている、展示の仕方も斬新--にも関わらず、表現されたものが全く面白くなくて陳腐だったのはなんとしよう。頭を抱えてしまった。しばらく展覧会に行こうという意欲を失った。


なお昨年一年間で一番アクセスが多かった記事はなぜか【回顧レビュー】東京グランギニョル「ワルプルギス」でしたヽ(^o^)丿

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2023年1月14日 (土)

今さらながら2022年を振り返る

230113 2022年はもはや記事の更新が全く追い付かない状態。それというのも、持病の悪化で入院するとかしないとかでもめたせいもある。結局入院せずに済んだのだが、何の予定も立たずやる気も起こらずかなりのストレスとなった。
コンサートのチケット買っても入院したら無駄になる。映画ならそんなこともないけど、公開予定を眺めてもその時に見に行けるか分からない。
つくづく健康は大事✨--肝に銘じましたよ(><)

【映画】
話題作・超大作の類いはほとんど未見のまま。結局10作選べなかったというふがいなさである。
なんとなく見た順。

『シチリアを征服したクマ王国の物語』:特に前半がぶっ飛んでいる。
『スティルウォーター』:あらすじ聞くと実際見るとじゃ大違い。もし一本選ぶとしたらこれか。身にしみました。
『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』:まだまだ続くよ音楽ドキュメンタリーの攻勢。リンダ像を大いに訂正してくれた。
『FLEE フリー』:99%はつらいがラストシーンが良い。
『PLAN75』:現実の日本でもプランがもうすぐ始まりそうです(*^^*)
『モガディシュ 脱出までの14日間』:全部乗せ特大大盛り、ごっつぁんです。
『NOPE/ノープ』:とにかく変なのは間違いない。
『バビ・ヤール』:突然出現する「ウクライナにユダヤ人はいない」の一節にガ~ン😱と衝撃を受けた。
『キングメーカー』:政治内幕ものと見せて実は違った。対照的な二人の男たちの💫(以下略)

上記以外にパゾリーニの旧作を見て脳ミソがバクハツ状態\(◎o◎)/!となった。もっと早く見ればよかった。

部門賞
*監督賞 ジョーダン・ピール(『NOPE/ノープ』)
*俳優賞 マット・デイモン(『スティルウォーター』):今まで見損なっててすいませんでした<(_ _)>
 レスリー・マンヴィル(『ミセス・ハリス、パリへ行く』

*ネコ賞 ソックス(『バズ・ライトイヤー』):正確にはネコロボだけどニャ🐾
*悪役賞 ティモシー・スポール(『スペンサー ダイアナの決意』
*予告賞 『ハウス・オブ・グッチ』:本編より予告の方がずっと面白かった。
*最凶邦題賞 『愛すべき夫妻の秘密』:見ると確かにそう付けたくなる気持ちは分かるが、もう少し何とかしてほしい。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞 『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』(のエンドロール始まってすぐの追加シーン)
 この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解)


【コンサート】
『《ラ・ペッレグリーナ》のインテルメディオ』
『Sacrum et Profanum 聖と俗の対話』
『大塚直哉レクチャー・コンサート バッハ"平均律"前夜』
『ヘンデル 王宮の花火の音楽』
『ヘンデル シッラ』
『カヴァリエーリ 魂と肉体の劇』
『レゼポペ』
『リュリ アルミード』
チケットの値段とコンサートの満足度は決して比例しないことをよーく感じた年だった。


【その他】
『ガラスの動物園』(新国立劇場):生イザベル・ユペールの包丁ぶん回し演技を見られてヨカッタ。それ以上にあの銀色に輝くガラスの動物たちとドレスが忘れられぬ。

ゲルハルト・リヒター展:実物を見なければ何も分からない感が高かった。顔をくっ付けそうになるほどに凝視した。


閑古鳥が鳴く当ブログではありますが、昨年一年間で一番アクセスが多かったのは『ハスラーズ』の感想だった。なぜ2年も前の記事で大したことは書いてないのに……謎❗❓である。

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2022年3月19日 (土)

「巨大映画館の記憶」

著者:青木圭一郎
ワイズ出版2021年
https://www.honyaclub.com/shop/g/g20475818/

新聞書評欄で短く紹介されたのを見かけたのだが、たまたま検索したら意外にも地元の図書館に入っていた。それでとりあえず借りてみた。

東京にかつてあった巨大映画館をもれなく詳しく紹介。歴史・変遷から写真、座席表まで載っている。全体の半分以上のページを主要劇場の全上映作品リスト(もちろん戦前から)が占めているということで、読むというより資料としての要素が高い。
映画自体の研究だけでなく、昭和時代を舞台に小説とかシナリオ書く人にも役立ちそうな内容だ。

戦前は芝居・音楽の実演と映画上映を並行してやっていたのが普通だったらしい。二千席以上の劇場も珍しくなく館数も多かったが、現在ではゼロになってしまった💨
新宿コマ劇場も昔は映画をやっていたと初めて知った。

専門家でもない私は単純に昔行った映画館をチェックしてみた。よく行ったのはやはり新宿プラザやミラノ座あたりかな。
ミラノ座一日最大入場者数は1986年『ロッキー4』の22323人だって(◎_◎;) 当時の座席数1500弱だから立ち見を入れてギュウギュウだったはずだ。新宿プラザは『スター・ウォーズ』のえぴ4~6ロードショーでは必ず行った。

というわけで、資料としての用途以外は昔を懐かしむ映画ファン向けだろう。著者は5年ぐらい前に東京の名画座についての本を出している。

大昔、ケン・ラッセル『アルタード・ステーツ』のロードショーを日比谷(多分)の大映画館で見た時、恐ろしいほどの不入りだった。外は連休で人が大勢さざめき歩いているのに館内はニ、三十人しかいなくて冷気が漂っていた💦のを記憶している。

それがどの映画館だったか確認したくて、当該年月日の上映作品リストを眺めたのだが出ていない。他の地区のリストも探したがそもそも『アルタード~』自体見つからないのだ。
もしかして闇歴史として葬られたかしらん(^^?

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2022年1月12日 (水)

いつまでもあると思うな!親と岩波ホール

昨日1月11日の午前、岩波ホールの「2022年7月29日(金)を以て営業終了のお知らせ」がSNSで広がり映画ファンを震撼させた。
昨年初めに改装工事をしたばかりで(ついでに1階のチケット売り場もなくなったが)予想だにしなかったことである。

物理的には神田神保町にある200席ぐらいの単館ロードショーのホールであるが、他所では絶対に取り上げないような製作国や内容の作品を公開した(初期だとサタジット・レイやワイダなど)。ここで上映された後に各地のミニシアターに回っていくので、一地域の映画館ということだけでなく影響は甚大だろう。
近年ではワイズマンの『ニューヨーク公共図書館』が結構なヒットをしたはず。その後地元のミニシアターでも上映されて客がかなり入っていた。

ただ問題は観客の年齢層の高さ。40・50歳代はまだ若手✨みたいな感じである。どの映画か忘れだが、見まわしたら40代ぐらいの人が二人ぐらいいるだけで、あとは年寄りばかりということがあった。
それと最前列以外は必ず前の客の頭がかぶってくるという座席の構造もツラい。元は多目的ホールだというから仕方ないとはいえ。従って最前列はいつも早い者勝ちの争奪戦であった。

高齢者が多いといっても、渋谷のル・シネマあたりとはいささか客層が異なるという印象だった。じゃあどこと同じかというとウムム……ポレポレ東中野か? いや、あそこは若いお客さんも多いですが(^▽^;)
そういやル・シネマも長期休館に入る予定……。

なお最初に私が行ったのは1977年『惑星ソラリス』である。その後あまり縁がなかったのだが(B級アクションやSFものが好きだったので)、2010年代に入ってからは行くことが多くなった。
『ヴィオレット』『静かなる情熱 エミリ・ディキンスン』『女の一生』あたりはよくぞ上映してくれたという印象だ。
ここは客の入りに関係なく最初に決めた期間は上映し続けるという方針らしいが、『ヴィオレット』なんか上映が始まったばかりの頃に行ったのに客が少なくて「大丈夫か!?」とドキドキしてしまった(;^_^A
『女の一生』に至っては見せてくれただけでオンの字だ。同じステファヌ・ブリゼ監督の次作『アット・ウォー』は某Kフィルムが買って数回特集上映しただけ。その後お蔵入りという状況だもんなー。(折角字幕付けたのなら見せてくれよっ👊)

終了の原因はコロナ禍で高齢者が来なくなったということである。でも確かにコロナ禍もあるだろうけど、ここ数年の傾向として中高年以上の客層が大きくなってきたため、岩波ホール以外でもその世代向けの作品上映に力を入れてきてパイを取られてしまったという可能性もあるのではないか。(あくまでも勝手な推測) もっとも、映画館の経営とは全く別の方面から閉館が決められたという一部報道がある。
『ナポリの隣人』(2019年上映)なんかモロに高齢者向けの親子感動もので別に他の映画館でかかっても不思議ではない内容だし、しかも出来があまりよくなかった。

220112b 私が最後に行った『ペトルーニャに祝福を』(昨年6月)は北マケドニア映画という点では他館ではやってくれそうにない。しかし実際見てみると『ブックスマート』を支持するような若い女子にウケそうな話だった。どう見てもシニア向けとは違う。
でもいくら若い世代向けに宣伝しても岩波ホールじゃ見に来ないだろう。難しいもんである。

というわけで最後の10年ぐらいしかお世話になってないけど、閉館は残念の一言であります(+_+)ゝ

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2022年1月 9日 (日)

今さらながら2021年を振り返る

220109a 振り返ったからどうということもないですが、一応振り返ってみるのであります。
最近はブログの更新は完全に追いつかず、ほとんど書かずに飛ばしてしまうという情けない状況になりました。

【映画】
以下に選んだ10本は大体見た順。完成度より個人的好み優先。ドキュメンタリーが豊作年のため多くなってしまった。なお大作ものはレンタルかTVで見ようと思ってほとんど見ていない。
それと老人脳のため1~3月ぐらいに見た作品はだいぶ内容忘れちゃったんで、候補に入れられなかったですよ(+o+)トホホ

「アメリカン・ユートピア」:映画としてというより、そもそも元のパフォーマンスの出来がすごい。
「ライトハウス」:監督は子どもの頃「ブルー・ベルベット」と「時計じかけのオレンジ」を見たそうである。三つ子の魂百までも。恐ろしいね~( ̄д ̄)
「サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)」:洋楽ファン必見。
「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」:DVDスルーはあんまりだいっ。
「コレクティブ 国家の嘘」:あっと驚く展開。実際に起こった事件とはとても思えねえ。
「ほんとうのピノッキオ」:「ピノキオ」って子どもの頃絵本で読んだけど、こんな話じゃなかったはず。
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」:ここ数か月の賞レースに絡むのは必至。
「フリー・ガイ」:このご時勢の中でもポジティブなのが身にしみたです。
「ダ・ヴィンチは誰に微笑む」:こういうウサン臭い人間がいっぱい登場するドキュメンタリー大好きだーヽ(^o^)丿
「レイジング・ファイア」:年の最後にキタ~ッ💥

★部門賞
*監督賞:今年は該当者なし(> <;)……と思ったけどやっぱりジェーン・カンピオン(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)にしよう。
*男優賞:ベネディクト・カンバーバッチ(「パワー・オブ・ザ・ドッグ」)
 今年は大活躍。「モーリタニアン 黒塗りの記録」の助演も入れたい。(「クーリエ 
最高機密の運び屋」も見たい)
*女優賞:ジョディ・フォスター(「モーリタニアン 黒塗りの記録」)
 もはや貫禄。

*ベスト・カップル:ウィレム・デフォー&ロバート・パティンソン(「ライトハウス」)
*ベスト・アンサンブル:キングズリー・ベン=アディル、イーライ・ゴリー、オルディス・ホッジ、レスリー・オドム・Jr(「あの夜、マイアミで」)
 屋上の場面が男子中学生たちがジャレているようで笑った。

*最優秀悪役賞:ニコラス・ツェー(「レイジング・ファイア」)
*最優秀妹賞:フローレンス・ピュー(「ブラック・ウィドウ」
*最驚キャラクター賞:「ほんとうのピノッキオ」のカタツムリ侍女
*最長脚部賞:ガル・ガドット(「ワンダーウーマン1984」)
 私に3センチぐらい長さを分けてほしい。
 
*最凶邦題賞:「ホロコーストの罪人」
 「最凶」というほどでもないが、原題と似ているようで意味が異なるのでかえって誤解を招く--ということで。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞:「プロミシング・ヤング・ウーマン」
 この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解)
これも「ちゃぶ台ひっくり返す」というほどでもないが、全編なんだかなあという内容のため。

★トホホな出来事
入場する時に検温(手首で測るヤツ)したらなんと37.7度❗ ビックリした。とりあえずニ、三分後に測りなおすということで、コート脱いで(暖かい日だった)待ってて再度検温したら、今度は36.5度だった。
……なんなんだよ(--〆)


【コンサート部門】
コロナ禍で外国人演奏家の来日公演は中止になったものが多かった。それでも行った回数は一昨年よりは増えた。
「Vanitas vanitatum 空即是色」
「イタリア~狂熱のバロック歴遊」
「大塚直哉レクチャー・コンサート 6 聴くバッハ、そして観るバッハ」
「フルートとハープ 600年の変遷」
「ソフィオ・アルモニコで綴るアン・ブーリンの音楽帖」

コンサートではないけど
*「一行の詩のために~つのだたかしと望月通陽の世界」
 NHK-BSP「クラシック倶楽部」で放映された番組。音楽、アート、文学の世界が完璧に融合した完成度高い内容だった。また再放送されたら見てくだせえ(^^)

★古楽関係の出来事
*近江楽堂休止
 改修工事とのことで、なるべく早い復活を願っております。
近江楽堂で聴くチェンバロの音は格別のものがあった。最初に楽器から直に発するシンッとした音が届き、それから円形の壁を伝わってボヤボヤと広がるうちに、聞く者の内側で甘美な響きへと変わる。こんな場所は他に知らない。

*訃報・江崎浩司
 年の瀬に流れてきて驚いた。タブラトゥーラでも一番の「若手」だったので全く予想だにせず……💦 このような過去の記事を発見した。この時、ご当人も含めて「2031年」が普通に来ることを誰一人として疑わなかっただろう(T^T)


【録音部門】
発売年に関係なくこの一年間に気に入ったものということで。
*「ラメント」(ダミアン・ギヨン&カフェ・ツィマーマン)
*「ルクレール トリオ・ソナタ集」(ヨハネス・プラムゾーラー&アンサンブル・ディドロ)
*「ジョスカン・デプレ 世俗歌曲集」(クレマン・ジャヌカン・アンサンブル)
*「パレストリーナ 教皇マルチェルスのミサ」(ビューティー・ファーム)
*「ヴェネツィアの鏡」(ル・コンソート)

220109b *「フォー・フリー」(デヴィッド・クロスビー)
*「ワールド・オン・ザ・グラウンド」(サラ・ジャローズ)
*「ゴーン、ジャスト・ライク・ア・トレイン」(ビル・フリーゼル)
 二十数年前のアルバムだけど、あまりに変なジャケット絵に正気が保てず中古盤で買ってしまった(先に音は聞いていた)。ところで「フリーゼル」と「フリゼール」の二種類の読みがあるが、どちらが正しいのかな(?_?)


【その他部門】
「一度きりの大泉の話」(萩尾望都)
 昨年最大の衝撃の書であった。その後も過去の話が流れてきて衝撃冷めやらぬ、である。

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2021年1月20日 (水)

今さらながら2020年を振り返る

210120 ますます更新が遅れまくっている当ブログだが、なんとか振り返ってみる。もう「遅くって当たり前」な心持ちである。

【映画】
順不同。大体見た順かも。
コロナ禍のために映画もメジャーどころはほとんど公開延期となるか、直接配信になってしまうという状況でありますが、結局『テネット』は見てません(;^^)

『パラサイト 半地下の家族』:地上波TVで放映されちゃったのも怪挙。
『プリズン・サークル』:ドキュメンタリー枠。雑誌「世界」での連載を読むと撮影(と準備)は本当に大変だったもよう。だがその甲斐はあった✨
『エクストリーム・ジョブ』:何も考えずに楽しめるのが吉。
『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒』:これも何も考えずに楽しめた。悪趣味なのが好き💓
『スキャンダル』:米国TV界の話なので分かりにくかったけど『ザ・ラウデスト・ボイス』を合わせて見ると、なるほどそういうことかと納得。
『ルーベ、嘆きの光』(『ダブル・サスペクツ』):年取ってくるとこういうのがしみてくるわい。
『透明人間』:女の透明人間だったらまず最初に何をするかね。
『幸せへのまわり道』:いろいろ語りたくなる映画。コワイけど。
『マーティン・エデン』:前年選んだ『未来を乗り換えた男』と同じ系統の作品。なので選んじゃいました~。

あと一本を絞れなかったので次点ということで。
『ハスラーズ』
『シチリアーノ 裏切りの美学』


★部門賞
*監督賞:ポン・ジュノ(『パラサイト』)
 今さらではありますが、アカデミー賞での「気くばり受賞スピーチ」も含めて評価。あと伝記(?)マンガまで出ちゃったし。
*男優賞:ルカ・マリネッリ(『マーティン・エデン』)
 このキャスティングなくしてこの映画なし⚡というぐらいのはまり具合。見た後に俳優の身体における表象ということをつらつらと考えてしまった。ということで……5枚組ブロマイド売ってちょうだいっ。
*女優賞:エリザベス・モス(『透明人間』)
*ベストカップル賞:マ・ドンソク&キム・ムヨル(『悪人伝』
*最優秀悪役賞:セバスチャン・コッホ(『ある画家の数奇な運命』
 なにげに舅の圧を感じさせるのがイヤ~。
*新人賞:ラジ・リ監督(『レ・ミゼラブル』
*スッピン賞:レア・セドゥ(『ルーベ、嘆きの光』)
*姐御賞:ジェニファー・ロペス(『ハスラーズ』)

*長いで賞:『ある画家の数奇な運命』
 189分。いやもちろん面白ければ短く感じるはずなんですけどね。
*トンデモ賞:『バクラウ』のUFO
 よくもこんなもん平然と出したものよ。あきれました(^◇^)
*最凶邦題賞:『幸せへのまわり道』
 事前の予想では『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』が確実というのを覆して選出。今後しばらく経つとうっかり「幸せの回り道」で検索して、ヒットしなくなっちゃいそう。それと『しあわせへのまわり道』という映画も既にあるのだよ。

*ちゃぶ台ひっくり返し賞:『ルース・エドガー』
 この賞は、見終ってあまりの内容に思わず「なんじゃ、こりゃ~。観客をなめとんのか!」(ノ-o-)ノ ~┻━┻ガシャーン と、ちゃぶ台をひっくり返したくなる気分になった映画に与えられる栄光ある賞である。(あくまでも個人的見解


★映画関係のトホホな出来事
その1-『コリーニ事件』を見る前も後もずーっと原作未読だと思い込んでいたのだが、本棚を整理したら原作本が出て来たのでビックリ(!o!) しかもちゃんと読んだ形跡があるのだ。だが未だに思い出せない。
その2-メジャーな娯楽映画が公開されないので、普段だったら絶対見ないであろうセルゲイ・ロズニツァ「群衆」三部作を完走してしまった。ちょっと寝ちゃったけど💤


【コンサート部門】
古楽系コンサート鑑賞は激減した。2019年は41件(ブログ記事にしたもの)だったが、2020年は10件のみ。しかもそのうち5件は1~2月に行ったものである。
とはいえ、演奏家の皆さんこそ大変でしょうが。その少ない中で選んでみると--
「時はたちどまり」
「ヘンデル リナルド」
「ルカ・マレンツィオ 四声のマドリガーレ」

あと厳密にはコンサートではないが
*METライブビューイング「ヘンデル アグリッピーナ」:いやー、これは本当に面白かった。話自体はどうしようもないのだが、見た後になぜか生きる活力が湧いてきた。スキップして帰った(^O^)/


【録音部門】
発売年に関係なくこの一年間に気に入ったものということで。
*「よく整えられたヴィオール合奏曲 第1巻」(ファンタズム)
*「ローマへの旅路」(リナルド・アレッサンドリーニ&コンチェルト・イタリアーノ)
*「夕べの音楽」(アンサンブル・ストラヴァガンツァ)
*「サント・コロンブと息子たち」(リチェルカール・コンソート)

*「アメリカン・スタンダード」(ジェイムス・テイラー)
*「フロム・ディス・プレイス」(パット・メセニー)
*「ハーモニー」(ビル・フリゼールほか)
*「Rated PG」(ピーター・ガブリエル)

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2020年12月24日 (木)

「その名を暴け #MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」

201224 著者:ジョディ・カンター&ミーガン・トゥーイー
新潮社2020年

数々のヒット作(と良作)を放った映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラと性暴力を報じたNYタイムズ記者によるノンフィクションである。事件そのものだけでなく、いかに取材したかがかなり詳細に描かれている。

匿名でしか話せないという被害者に連絡し、他の被害者を知っていたら紹介してもらい、実名で取材に応じられる者を探し、情報提供者に会うために飛行機に乗り--と大変な努力と周到な準備で記事が準備されたことが分かる。
しかも記事が完成したら、最後にはワインスタイン側に事前に記事の内容を明らかにし、反論を併記する準備もしなくてはならない。もちろん両社とも弁護士が控えている。

確認に確認を重ね、上司のGOサインを得て、あらゆる事態を想定しての弁護士との打ち合わせは必須。その間も取材に応じた被害者が気を変えないかハラハラして時を待つ。
当然ながら社のバックアップがなくてはできない。調査報道とはこれだけ大変なのかということがよーく分かった。

ところで、この事件の被害者だったアシュレイ・ジャッドは若い頃日本で働いていて性暴力にあったというエピソードが出てくる。
キャメロン・ディアスも同じく十代の時に日本でバイトしててイヤな目にあったとか。
日本の評判は既に地に落ちているようである(ーー;)

難点を一つ上げると、ページを開くと行間が狭くて非常に読みにくい印象を受けることだ。実際に読むと文章自体はそんなことはないのだが、本を開いてパッと見たところでそう感じてしまう。
読みやすいレイアウトにする(ページ当たりの行数を減らす)とその分ページ数が増えてしまうから苦肉の策だと思うけど……難しいですな💨

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2020年12月 1日 (火)

「アメリカン・セレブリティーズ」

201201 著者:辰巳JUNK
スモール出版2020年

おおっ、私のようなゴシップ大好き人間のための一冊ではないか(*^^)v
そう思って読み始めたのだが、最近の米国音楽事情にうとい人間にはちょっと無理があった。登場する名前がレディー・ガガとかマイケル・ジャクソン以外は、多くがよく知らない名前ばかりなんである。
最近のR&Bアーティストやラッパーはもとより、キム・カーダシアンみたいにTV番組から有名になったような人については完全お手上げだった。誰?それ(^^?みたいな感じだ。

とはいえ個人についてよくは知らなくても面白いのは確か。ゴシップやスキャンダルの類いでさえも勲章代わりにして自らそれを宣伝して競い、さらには武器にする。そこまでやるかと思ってしまう。日本とはあまりに異なり過ぎて驚くのみだ。

終わりの数章は映画関係なのでさすがに知っている名前ばかりだった。
中でも、苛烈なアカデミー賞レースを取り上げた部分を読むと、どうして性格悪かったり愛想の悪い俳優は賞が取れないのかよく理解できた。事前キャンペーンで業界人たちに愛想を振りまくのも獲得に大事なことなのだ。(だからワインスタインみたいにその戦略に熱心だと「優秀」とされる)

終章は米国での「コンマリ」ブームの分析。ここでも日米の差異が明らかにされている。大統領選だけでなくこういう部分も興味深い国である。

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2020年10月30日 (金)

「日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー」

201030 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理
著者:ヒロ・マスダ
光文社新書2020年

「クールジャパン」の美名(?)の下に、映画・アニメに税金をつぎ込んで企画された事業を複数取り上げ検証している。その総額1000億円超……(!o!)
ただし民間が関わっているためにちゃんとした情報公開はなされていないという。

税金から出された予算がことごとく怪しい人物や団体(それらは互いにお仲間同士)へと流されていき、結局制作現場には益なく一銭も渡らずに終わるのが明らかにされるのであった。
なにせ作品の企画段階だけで数億円の金が支出され、しかも結局作られないままに終わろうと関係ないというのだ。
読んだ後は呆れるだろう。

ここ数か月のコロナ禍における給付金やアベノマスク発注を巡る騒動を体験するより以前に、この本を読んだら「ええっ、こんなことが(!o!)」と驚いたに違いない。しかし、今となっては「やっぱりこの業界でも同じだったか」としか思えないのが実に嘆かわしいことである。

また、どうして日本が舞台である『沈黙』や『水俣』が日本で撮影されなかったのかという事情も知ることができた。
それから映画の見本市であるカンヌに「くまモン」が出現した経緯も(^▽^;)

ただ、シロートには長くて詳細過ぎるのが難点である。
それと個人的には「この映画の企画時のウラ話」的なのがあまりないのが残念だった。

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