テレビ

2024年7月 5日 (金)

「ミスター・ベイツvsポストオフィス」

ミステリーチャンネルにてドラマシリーズを見た。今年の1月に英国で放映され社会に衝撃を与え、日本でも報道された問題作だ。
富士通が作った郵便局システムの欠陥により、多くの郵便局長が不正経理を行なったという疑いをかけられる。その数なんと3500人。

身に覚えがなくとも消え失せた収益の差額を支払った者もいるが、700人が有罪となり収監されたのは約230人。そして自殺者4人まで出る。
ベイツは元郵便局長で引退生活を送っていたが、真相を追及し被害者555人をまとめて英国郵便(ポストオフィス)を訴えた代表だ。事件が起こってから20年経った今も係争は続いている。

題材は社会問題だが、それぞれの局の家族との愛情や地元との繋がりに重点を置いたヒューマンドラマとなっていた。
ベイツ氏が引退後に引っ越して住んでいるウェールズの自然が、あまりに美しくて魅力的。行ってみたくなった✨

英国の郵便局は日本の民営化のモデルにしていたのだろうか? 店舗の半分は郵便局で残りのスペースで局長側がカフェや手芸用品店などを個人営業するという形式を取っている。
従って収支が合わないと店の方の従業員を疑ったり疑心暗鬼になる。さらには不正を行なったとして店もろとも封鎖されたりということも。一方的にかけられた疑いを晴らすまでには局長とその家族は塗炭の苦しみが続いた。

原因は英国郵便が採用したオンラインシステムで、富士通が納品管理運営するというもの。「フジツー」は欧州全体に食い込んでいるグローバル企業として紹介されている。
最初のうちは収支が合わないのを「そんな問題はあなたの所だけだ」とウソついたり、メンテナンスも行わず放置していた。

英国郵便が行なった警察まがいの強引な対応もひどいが、フジツーは最終的にはエラー隠ぺいだけでなく、個々の局に夜な夜なリモートアクセスして収益の数値を改ざんしていたという疑いも出てくる(-_-メ) これって犯罪じゃないの。

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2020年6月30日 (火)

「スキャンダル」「ザ・ラウデスト・ボイス」:家族は大事だ!

200630a 「スキャンダル」
監督:ジェイ・ローチ
出演:シャーリーズ・セロン
米国2019年

「ザ・ラウデスト・ボイス アメリカを分断した男」
出演:ラッセル・クロウ
米国2019年
*WOWOWで放映

米国のFOXニュース社でのセクハラ事件を扱った問題作--といっても、米国では有名でも日本では知られてない事件である。私なんかそもそもFOXニュースとは?という基礎知識から欠けている。
また、中心となる三人の女性のうち二人は人気キャスターで「お茶の間の顔」だったらしいが、それ故のスキャンダル騒動は想像するしかない。本人を知らないからどれほどのそっくり度なのかも分からない。折角のアカデミー賞獲得のメイクも有難味が薄い。

そんな問題は色々あるが、十分面白かった。
発端は、ベテラン・キャスターのグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)が辞職して、CEOのエイルズをセクハラで訴えたこと。
看板キャスターのメーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)はそれを傍観。超保守系のFOXニュースだけあって、平気で「イエスは白人男性」などと番組で発言する人物だが、選挙討論会の司会でトランプと激突してひどい侮辱を受ける。
さらに、新人のケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)は野心満々、キャスターの座を獲得する夢を持っているが、エイルズからセクハラされる。

この三人のバラバラの行動が交互に描かれる。チラシや広告には三人がエレベーターで一緒になる場面が使われているが、多分この場面以外に揃う場面はなかったと思う。
つまり、予告を見て想像する「三人の女性が手を取って共にセクハラと闘う」というような内容ではないのだ。
三者がそれぞれに格闘する「連帯なき共闘」なのである。

実のところ三人とも共感できるかどうか微妙だ。(特にその保守的スタンスに同調できない者にとっては)
この三人がまとっている人工めいた美。その向こう側に保守系アイドルの実像が、隠されたメッセージとして言葉を介さずに浮かび上がってくる。怖いね~。

さて、ケイラは唯一実在ではない人物で、複数いた被害者を代表するようなキャラクターだ。
彼女がセクハラにあう場面は迫力である。それまでテンポよく進んでいた映画なのに、突然時間が停滞したようになって恐ろしさが凝縮され、極限まで引き延ばされる。
状況を理解できない(したくない)感情と笑って冗談にして済ませようとする意志が、M・ロビーの表情にモザイク状に入り混じる。
恐らく実際にセクハラの被害者はあの場面を見るとフラッシュバックしてしまうのではないか。要注意場面💥である。
彼女の演技はなるほどアカデミー賞候補になるだけのことはあった。

ここに冷静にあぶり出されるセクハラの真実とは、支配と暴力の構図である。
さらに、エイルズの周辺にいるベテランの秘書や女性スタッフは明らかにその構図に協力している。ケイラの同僚(レズビアンで民主党支持なのになぜかFOXにいる)は保身のために彼女を突き放す。
「女たちの共闘」などとというものが一筋縄でいかないことが描かれている(ここら辺は『ハスラーズ』とは正反対)。従って勝利しても感動は全くない。

ジョン・リスゴーは『ザ・クラウン』のチャーチルの時もそうだったが「鼻持ちならない傲慢な統治者」を演じたらうまい。M・マクダウェルはどこにいるのと思ったらマードック役だったのね。
セロンの主演女優賞ノミネートはメイクアップの力もありか?


『ザ・ラウデスト・ボイス』は同じ年に米国で放映された全7話のTVドラマシリーズである。『スキャンダル』を見てどうも判然としなかった部分がこれを見てよく分かった。
原作はノンフィクション書で、主人公はロジャー・エイルズ。ラッセル・クロウがメイクアップだけじゃない、お得意の体重増量を行なったとおぼしき鬼気迫るソックリぶりで演じている。

1995年、マードックの依頼を受けてFOXニュースを立ち上げる。最初から、リベラルな既存メディアがこれまで相手にしてこなかった「残りの半分」である保守層をターゲットにしている。
これはもはやジャーナリズムではなく、あおりと言っていい。それまでのニュース局の常識では考えられなかった手段を次々と取る。
経験のない若手をツッコミの良さだけでスカウトしキャスターに仕立てる。何も具体的な論拠や意見を述べず、ただ映像をつないでイメージをでっちあげる。

911が起こればありもしない大量破壊兵器を喧伝し戦争を起こさせる。宿敵オバマ大統領にはイスラム教徒疑惑とか「福祉詐欺」と大量報道し、遂には他メディアまで同調させ窮地に追い込む(ここら辺の執念深さはすごい)。
これでは、火のない所に煙を立てるどころか「煙もない所に強引に火事を起こす」状態である。
さらにはトランプに注目、大統領にしようと画策し、ヒラリーをあらゆる手段で攻撃しまくる。ここまで来ると、本当か❗と思っちゃうほどだ。

その一方、社内では暴君として君臨。腹心の部下でも気に入らないことがあればすぐに追放し、マードックからは経営権をもぎ取る。
セクハラは日常茶飯事、オフィスでは女性キャスターのスカートをまくり上げ、部下を愛人同様に囲う(その行為は『スキャンダル』でケイラが一部を電話で語っている通り)。

『スキャンダル』では脇に置かれていたグレッチェンの事件の一部始終が描かれる。長年キャスターとして活躍してきたのに、エイルズから性的な誘いと「トウが立ってきた」などと攻撃を同時に受けるのだ。まさにパワハラとセクハラは表裏一体である。
ここら辺の葛藤はナオミ・ワッツが熱演、クロウに劣らぬ迫力だ。
訴訟を起こして最後は和解に至り、事件については守秘義務を負っている……はずなんだけど、どうして詳細が知られているのかは不明である(^^?

さて『スキャンダル』を見てよく分からなかった点が二つあったが、こちらを見て納得できた。
疑問その1「どうしてエイルズはメーガンにトランプ攻撃を容認したのか」
その2「ひどいセクハラ野郎だが、病気になった従業員の面倒を見るような善い人物でもあるのは?」

エイルズは自分の出身地で新聞を出すため若い編集者を連れてきて身近に住まわせる。自身の父親に虐待された話をしながら、彼に「家族は大事だ」と語るのだ。
この「家族は大事」、なんか前にも聞いたことあるような--と思ったら、なんと同じくセクハラで訴えられたH・ワインスタインの発言だった。
ポン・ジュノが『スノーピアサー』を監督した時にプロデューサーのワインスタインから漁師の出てくる場面(そんな場面あったっけ(;^_^A)20分間カットしろと要求されたそうな。
そこでポン・ジュノはとっさに「父親が漁師なのでできない」と真っ赤な嘘をついたら、彼は「なんだそうだったのか、早く言え。家族は大事だ」と要求を引っ込めたという。

つまり、このようなセクハラ&パワハラ気質の人間にとっては身内かそうでないかは重要であり、身内の囲いの中にいる者は家族として認定し世話をしてやるが、同時に身体を撫でまわしたり性行為を強要するのもやって当然なのである。だって自分のモノなんだから。そこに基本的に差はない。

疑問1について、実際はメーガンは事前に言わずにトランプを攻撃したのだが、エイルズにとってはトランプは身内ではなく、単なる将棋の駒で他に交換が効くどーでもよい者である。だから身内のメーガンには何をしても許してかばうという態度を取る。
疑問2については上に書いた通り、別に善人なのではなく単に「身内しぐさ」に過ぎない。

というわけで、見ごたえありのTVシリーズだった。『スキャンダル』と合わせて見ると面白さ二乗であろう。
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2018年5月15日 (火)

TVドラマシリーズ「ウエストワールド」シーズン1:アンドロイドは永遠の愛を夢見るか

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遅まきながら米国のドラマ「ウエストワールド」シーズン1全10話を見た(レンタルDVD)。日本ではスターチャンネルで放映して、その後ネットでも見られるようである。
感想は一言で言えば、「いや~、面白い」であった。

原作はマイケル・クライトンだが、同じなのは設定ぐらいで恐らくかなり変えているに違いない。
大昔ユル・ブリンナー主演で映画化されたのを見た。それはほとんど後年の「ジュラシック・パーク」に似たようなものだった。つまり精巧なロボットによる西部劇そのままの遊園地があって、ある日トラブルからロボットが人間を……というような話。(中学生ぐらいに見たので記憶あやふやだが)

このシリーズではアンドロイドはもっとグレードアップされた存在で、管理者が設定した西部劇風の複数のシナリオに沿って毎日繰り返し生活し、それに客の人間が入ってきて新たに展開するという仕組みである。その世界の自然は広大で美しいが、エログロ暴力なんでもし放題の良い子には見せられねえ設定もあれば、ご家族向けの健全な設定もあり、人間の現実の世界とは異なりなんでも可能なのである。
そしてアンドロイド側はそのループを毎日ただ繰り返す。

というわけで、画面には正視に耐えぬ(といっても見ちゃうわけだが)エロや残虐行為が溢れるし、毎夜回収されて補修されるアンドロイドたちは一糸まとわぬ姿で、ボカシが至る所に(日本では)頻出するのであった。ここら辺は、制作がさすがHBOというところだろう。

そんな「世界」の中を徘徊し、さらに輪をかけて残虐な行為をしまくる謎の黒服の男が出没する。エド・ハリス演じる男は最初から人間であることが明示されるが、その意図は不明。さらに、その黒ずくめの姿は過去の映画版のユル・ブリンナーを想起させるのであった。

一方でウエストワールドの創始者フォード(アンソニー・ホプキンスTVドラマ初出演だそうな)がいて、数十年に渡り管理してきた。その姿は研究者のようであり創造主のようでもあり、経営側の「役員会」とは対立している。彼も本心を見せない謎な部分が多い。

やがて、見ている側にはよく分からない瑕疵のような出来事が続いていく。それがあらかじめ管理され仕組まれたことなのか、それとも本当にアクシデントなのか、見ている側には分からない。
「あの事案は管理センターが把握しているのに、こっちは気付かないの?(このドラマ)いい加減じゃない?」とか思って見ていると大変なことに……(>y<;)

そして最終回はええーっ(!o!)ウソだ~~という驚異の事実が判明。こいつはやられました。
思えば、過去のエピソードに少しずつ伏線を出しているんだけど、そんなの分かりませんわな。壮大なうっちゃりを食わされた気分。
謎を羅列しっ放しで「次シーズンに続く」で終了してしまうドラマが多い中、こいつは見事であった。

ただ、複数の指摘があることだけど、感情移入できる登場人物がいないということと、意識や記憶といったことに関して哲学問答のようなものが行なわれる、というのは見る人を選ぶかもしれない。(あと、エログロ苦手な人も)
理屈っぽいところや、似たような場面の意図的な反復は、往年の『プリズナーNo.6』を思い起こさせる。

それと、もう一つ驚くのは役者の皆さんの演技すごいなあということ(ただし若干1名を除く)。身体の動作、メンタルの表現いずれも実力発揮しまくっている。
個人的にはセンターの管理職の一人テレサ役のシセ・バベット・クヌッセンに特に感心。ある場面で、恐怖と困惑がモザイク状のようになって表情に浮かんでは消えるのを見て、神技と思ったほど。
もちろん、主演と言えるエヴァン・レイチェル・ウッドも迫力である。

それにしても皮肉なのは人間というのは、ある意味いい加減でどんどん変化していくのに、アンドロイドたちは変わらないことである。永遠の愛を何の疑いもなく語れるのは、彼らだけなのだ。

さて、日本でも5月の末からスターチャンネルでシーズン2が放映されるとのこと。一体、このテンションで話が続けられるのか。そうなったらすごいことだが。(私はレンタルDVDが出るまで見られん)

なお、この後にはネタバレ追加感想があります。

★ネタバレ注意★


以下は完全ネタバレです


自己責任でお読みくだせえ(^^)


*最終回で黒服男に少し同情してしまった……
あの変貌ぶりは驚くばかりだが、惚れた女に35年間、毎回知らない顔をされたら仕方ないのか。

*二つの時間軸が混ざっていることは、ウィリアムへローガンがドロレスの腹を割いて機械部分(最新時点のアンドロイドならそんなのはない)を見せた時点で分かるはずなのだが、1回目ぐらいに彼女を「外見では分からないが、初期のタイプだ」という説明をしているシーンがあって騙されてしまう。

*フォードは旧約聖書の神に似ている。アンドロイドたちに苦痛を与え続けることが意識を与える、とか発言していなかったか。まるで、わざと人間に苦難を与えて信仰を試す神のようだ。
しかも、彼らを通して人間も操っているように思える。テレサがそうだが、あとウィリアムがさらに追加して所有権を買ったのもドロレスのせいだ(そんな発言あり)。わざと買うように仕向けた?

*で、さらにイヤなのは、探し求める真実(ワイアット)が目の前にあるのに気付かないウィリアムを、フォードは全て知っていながら冷笑的にずっと観察していたわけである。イヤ過ぎである。

*ラストシーンの展開を、既に第6話目でジオラマを使ってフォードが考えている場面を見つけた人がいるらしくて感心した。私はその場面を「技術が進んでいる未来なのに、コンピューターじゃなくてジオラマでやってるのか、懐古趣味のオヤジなのかね」としか思わなかった(^^;

*視聴者から見ていちばんおかしいのは、フォードがジェフリー・ライト扮するバーナードと会話している場面である。第三者がいない二人きりの場面でも、自分が製作したアンドロイドなのにまるで何も知らない人間に対するように話している。
しかし、これもフォードが壊れかけている初期のアンドロイド(酒場にいる呑兵衛?)とあえて普通に会話しているのを見せて、彼はそういう対話を楽しむような人間なのだという布石をあらかじめ打っているのだ。

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2017年6月25日 (日)

アンダーウッド大統領を見たくてトニー賞授賞式を覗いてみた

今年のトニー賞の授賞式の司会はケヴィン・スペイシーだった(過去に演劇部門で受賞経験あり)。その中で、彼が主演しているTVシリーズ『ハウス・オブ・カード』のアンダーウッド大統領に扮して登場している画像をネットで見かけて、にわかに興味を持った。
そこでWOWOWで放映された字幕版を録画してみたのだった。

トニー賞、過去にTVでチョロチョロと眺めたことはあるが、ちゃんと見たことはない。というのも、映画ならば知らない作品でも間もなく公開されるか、未公開になってもソフトが出る可能性がある。しかし、芝居やミュージカルとなるとオリジナルキャストで見たいなら海の向こうへ飛ばなければならない。どうしても関心が薄くなってしまうのであった。

だが、授賞式をこうして見てみるとショーとしては完全にアカデミー賞より遥かに面白い。なにせ話題のミュージカルの最高に盛り上がる場面を、セットも込みでそのまま再現してくれるのだから当然といやあ当然である。
印象に残ったのは、ライバルである化粧会社の二人の女社長を描いた『ウォー・ペイント』、ベテラン女優二人の熱唱がド迫力であった。

さて、ケヴィン・スペイシーはダンスを披露したり、中盤に名司会者のジョニー・カースンに扮して物真似をしたが、終わり近くなってビル・クリントンとして登場。
結果的に最多受賞作となった『ディア・エヴァン・ハンセン』で、主役を張って飛ぶ鳥落とす勢いの人気者ベン・プラット(もちろん主演男優賞獲得)に「タイム誌の表紙を4度(3度かな?)も飾っておめでとう」と祝したはいいが、その後で「おかげでヒラリーが表紙になり損ねた(-"-)」とベンを恫喝しビビらせ、ズブズブと座席の下に沈ませたのであった。

で、ようやく最後の最後に作品賞の受賞結果を渡す役としてアンダーウッド大統領が登場。しかも夫人役のロビン・ライトに補佐官ダグ役のマイケル・ケリーも引き連れて、という豪華な面子だ。
しかし、その時のジョークはその前の主演女優賞で『ハロー・ドーリー!』のベット・ミドラーが長々と持ち時間をはるかに超えて、スピーチを喋りまくったことをネタにクサしただけであった。

私の想像だが、本当は大統領ネタで(トランプを引っかけて)ちゃんと笑いを取るつもりだったのではないか。だって、そうじゃなかったらロビン・ライトとM・ケリーの二人が何も喋らずただ出てきただけ、というのはあまりにもったいなさ過ぎである。
それなのに、ミドラーのスピーチが長過ぎてご破算--ということになったのかも。あくまでも推測だが(?_?)

全体的には面白かったが、やはり3時間以上というのは(どの授賞式も同じだが)長くて、通して見るのは難しいのであった。(アカデミー賞も見終われない私である)

それにしてもB・ミドラー71歳 スゴイね(@_@;)


『ハウス・オブ・カード』は現在第4シリーズがイマジカで放送中。私はてっきり第4で終了したのかと思っていたら第5シリーズを米国でやると聞いてビックリである。終わり方が少し唐突で、登場人物の「人員整理」もあり、これで終わってもいい状態だったのだ。(ダグの問題が放りっぱなしだったが)
あと、『ボードウォーク・エンパイア』の最終シーズンが明らかに途中打ち切りだった(1回の放送分で主要人物が二人も死んでしまう)せいもあるだろう。

さらに、トランプ大統領がまるでアンダーウッドの行為をまねたようにしか思えないことを実際に幾つも行っていて、「こんなヤツが現実に出てきてしまっては、ドラマじゃもうこれ以上のことは出来まい」と感じたのだが……。

というわけで、アンダーウッド大統領にはトランプ以上の「暴挙」を期待したい。

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2013年10月13日 (日)

「ハウス・オブ・カード 野望の階段」

デヴィッド・フィンチャーが監督して、エミー賞を三部門獲得したTVドラマシリーズである。元々は英国のミニシリーズがあって、それをリメイクしたものらしい。
驚いたのは全13話を一気にネットで配信した(ネットドラマというそうな)ということだ。いやはやスゴイですなあ。

ケーブルTV(イマジカBS)で放送されたので見てみた。
国務長官の椅子を約束されて大統領選に貢献したのに、アッサリ反故にされた上院議員が復讐に燃えて陰謀をめぐらすという発端である。これがまた暗黒版『ザ・ホワイトハウス』といった感じで陰険かつ面白い。新聞社の駆け出し記者も絡んでいて、そちらは同じくアーロン・ソーキンの『ニュースルーム』風でもある。

主役はケヴィン・スペイシーで、こういう「策士」は完全に十八番といっていいだろう。彼が時折カメラ目線になって視聴者に語りかけるのも笑える。その妻を演じているのはロビン・ライト。元旦那の姓を抜いてから女優として上り調子かも。
続きが楽しみであるよ。

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2011年11月13日 (日)

どうなる?朝日ニュースター

J-CASTニュースの「来年3月でスタッフ全員解雇 「朝日ニュースター」事実上消滅」という記事には驚いた。テレ朝に譲渡という話は聞いていたが、「消滅」状態にまでなりそうとは……

朝日ニュースターはケーブルテレビでよく見ている。特に「ニュースの深層の」火・水・木曜や「愛川欽也パックイン・ジャーナル」、「デモクラシーNOW!」、地方局が制作したドキュメンタリー「テレメンタリー2011」。
それに最近は「ネット発市民チャンネルContAct」も見るようになった。先日「関西クィア映画祭」の代表者のインタビューをやってたが非常に面白かった。
また「デモクラシーNOW!」では、日本で著書が訳出されるよりはるか以前に、ナオミ・クラインご本人が登場して「ショック・ドクトリン」(←まさに今の日本の状況が当てはまる)を解説してくれたりした。

こういう番組が生き残れる……とは残念ながら思えにくい。ガックリ_| ̄|○である。

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2011年10月20日 (木)

「U2 360° LIVE from Los Angeles」

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U2のライヴをWOWOWでやっていたので見てしまった。2009年にカリフォルニアのスタジアムでやったものだ。この時、米国での単独公演動員記録を打ち立てたらしい。

彼らについてはREMの記事でも書いたが、ほぼデビュー当時から聞いてきた。そのせいか、個人的には長い間に嫌いになったり、また好きになったりと差が激しい。「もう次のアルバムは買わねえ!」と思ったことは三、四回はあったろう。だが、その度に何かのきっかけで見直すことがあり、また聞き始めたりするのだった。
そして、最新作の「No Line On The Horizon」。こいつは何度聞いても、どーにもいい所を見つけることができず、今度こそもうダメだーと感じるぐらいにガッカリしていたところだった。しかし……(+_+)

ライヴ映像を見たのは十ウン年ぶりぐらいか。ボノはかなりオヤヂっぽくなってしまった(他の三人はそんなに変わってない)。が、彼の歌声は昔同様パワフルであるのに驚いた。メンバー同士のコンビネーションもよく、円型の舞台上に据えた大掛かりな装置(六本木にあるルイーズ・ブルジョワの蜘蛛のインスタレーションを連想させる)の効果と相まって、圧倒的なパフォーマンスとなっている。
さすが、最高記録を打ち立てるだけのことはあると正直思った。これだけのライヴを未だ持続しているとは想像していなかった。
やはり、ミュージシャンというのはどんな人間であるかより、どんな音楽をやるかで価値が決まるのであるなあ。例えボノがどんなクソ野郎だとしても、私は平伏するよ。そして十万人近い聴衆の視線を平然と受けとめるのは、並みの神経では到底もたないとも感じた。

この上は、先達ローリング・ストーンズの後を追ってじーさんバンドと呼ばれるまで不動の四人で演奏し続けて欲しい。
という訳で、もう一度「No Line On The Horizon」を聴きなおしてみるかね……。


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2011年6月11日 (土)

ちづこ再放送

「上野千鶴子が爆笑問題のTV番組に出た」という話をネットで知った時には、とっくに放送は終わっていた……

_| ̄|○ガクッ

しかし、さすがに受信料を取っているNHKだけあって、再放送をやってくれるではないですかっ(*^^)v

ということで、見逃した人は13日(月)の深夜1時30分からNHK総合をチェック
なんでもコスプレして登場したとか……マジですか(+o+)
文章しか読んだことがない人は、ご本人とのイメージのギャップに驚くことでしょう。

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2011年4月29日 (金)

始まったと知った時には終わっていた

朝日ニュースターの「ニュースの深層」でまたまた地上波(及び大手メディア)には出ない内容が放送されました。火曜日(4/26)の「福島原発事故対応で足りない事は?」で、「福島原発事故についての緊急建言」(←これ自体もほとんど報道されなかったもよう)を出した16人の専門家(元々は推進する側の立場だった)の一人である田中俊一(前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長)がゲストだった。

テーマのタイトルとは若干違って、半分以上は事故のこれまでの過程を検証したもの。後半が東電が発表した工程表を検討し、実際は最終的に収束させるのにどれぐらいの年月がかかるか予測というもの。
これからまだ再放送があるのと、多分動画サイトに上げられているはずなので興味のある人はご覧下せえ。

以下に内容を少し紹介します。ネットや雑誌などで細切れには知っていたが、やはり驚いたのは事故の過程です。(シロートの要約なので間違いあるかも)

*地震当日11日夜の段階で炉心(燃料棒)の溶融が始まりつつあった。

*11日に対策統合本部が作られていなければならなかったが、実際にできたのは16日だった(首相が東電に怒鳴り込んだという頃)。また原子力災害対策特別措置法というので対策本部が情報を一元化して統合しなければならないと決まっているのに、記者会見が一本化されたのはその1か月後、つい先日である。

*11日から13日にかけて事態は悪化、対策本部ができた時点では打つ手はもはやなかった。その間、政府は「問題ない」「安全だ」と繰り返していた。

*海水を注入すると廃炉になってしまうということで、ようやく12日の夜に注水されたが、燃料棒が溶けている段階で既に廃炉は決定的。海水云々は関係ない。

というわけで、こちらが「心配だー」などと言っていた頃には全てが終わっていたという訳であります。
で、雑誌「アエラ」が「放射能がくる」と表紙に大々的に乗せて顰蹙をかった時には、実際にきていた、と。
過去に嘘をついていたのだから、現在も本当のことを言っているか怪しまれても仕方ないということですかね。

不可解な言い換えについて
*「水素爆発」を「水蒸気爆発」と最初言っていたが、こんな用語はない。
*「炉心溶融」=「メルトダウン」である。官房長官は燃料がすべて溶けて落ちたらメルトダウンだと言い未だに認めていないが、こんなことは聞いたことがない。スリーマイル島の事故でメルトダウンが起こったが、後年に中を開けて調べると溶けていたのは半分だった。「全部溶けたら云々」というのは近くにいる「専門家」が誤ったことを教えているのではないか。


【関連リンク】
「地に落ちた安全神話」

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2011年4月 5日 (火)

地上波TVに飽きた方は【追記あり】

朝日ニュースターで2日の土曜日に放送された金子勝&中村うさぎの「ニュースにだまされるな」特集「原発事故は何故起きたのか」--まだ再放送があります。
ゲストは飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)、伴 英幸(原子力資料情報室共同代表)、崎山比早子(元放射線医学総合研究所主任研究官)、石田英敬(東京大学情報学環教授)。

地上波見て、これを見て、また地上波を見れば、ちょうどバランスが取れていいのではないかと思われます(^_^;)
……というか、どこら辺が正しいのかというのはもう自己判断するしかないですね。それにしても不思議なのは、小さな子どもがいるわけでもないのにペットボトルの水を買いまくったオバサンたちが、恐らく選挙では原発推進を明言する候補に少なからず投票するだろうということです。

【追記】内容紹介

*被害:水素爆発は燃料棒が損傷していることを示す。汚水は原子炉の破損による。

*修理は何段階もの行程をクリアしなくてはならないが、損傷していて放射能が漏れていると「決死隊」の作業になってしまう。どこが壊れているか分からないので注水して漏れている場所が分からない→汚染が続く。

*「最善」のシナリオ:今の段階が持続し、水が漏れているのを修復する。

*「最悪」のシナリオ:注水が何らかの理由で失敗し、炉心が5時間ほど露出→燃料の全てが溶けて手の施しようがない→爆発して大量の放射能が出る。

*最善と最悪のどちらになるかは今の段階では予測がつかない。

*一年後も放水で注水しているわけにはいかない。「石棺」化するしかない。

*廃炉どころか、五十年後百年後に誰も近づけないような場所がどこまで広がるかという問題である。

*耐震基準が変わった時に津波についても入っていたが、対策はされてなかった。

*初動について:官邸、東電、安全保安院のどこが意思決定するか混乱した。安全保安院は昨日までTPPを担当してたような人がやっていて、当事者意識も能力もない。

*スピーディ(放射能予測システム)は十日後にようやく出てきたが、隠ぺい以前に存在を知らなかったのではないか。省庁再編でうやむやに。

*人体への影響:放射線は大量に浴びれば死亡、少量ならガンのリスクが高まる。少なければ安全ということではない。数値がこれ以下ならリスクがゼロという値はない。

*被爆するとそのリスクは積み重なっていく。消えるわけではない。このまま長引くとリスクが高まる。→避けるには逃げるしかない。

*長期化すると:水なら、水の基準値を上げるしかない。(他に摂取するものがないならば) 水質については一時的だが、土壌への影響は長く残る。住んでいるだけで影響を受け続ける。

*素人にはよく分からないので、専門家は危険を判断する基準を提供するのが役割。これまでの認められている学問的成果による基準を、この事故によって捨て去るのは科学者にとって自殺行為ではないか。

*将来は:10年かけて代替エネルギーを使用して、原子力発電を使わずに電力の供給を可能にできる。

*とりあえずは他の危険な地域(浜岡原発など)の発電所を耐震補強すべし。


その他、参考までに

無人飛行機からの福島原発の空中写真
http://photos.oregonlive.com/photo-essay/2011/03/fukushima_dai-ichi_aerials.html
http://cryptome.org/eyeball/daiichi-npp/daiichi-photos.htm

シロート眼にはこれで壊れてないのと思えるんですけど(+o+)

他でもリンクしている所が多いと思いますが
こちらからドイツ気象局の放射能予測が見られます。三つの画像のうち左端のが動画になります。
ご覧のように日本全域どころかお隣の国まで放射性物質が飛んでいます。もちろん、これは予測なのでこの通りになるかどうかは全く分かりません。しかし、放射能予報なんてSFの中だけのことかと思ってたら、よもや現実になるとは(~_~;)

日時によっては関東と九州も同じ濃度になっていますが、これは別に不思議なことではないようです。
かなり古い本ですが、『チェルノブイリの放射能』(岩波書店1986年)によると、チェルノブイリ原発の事故があった時は1200キロ離れたスウェーデンでも高い数値が観測されたとのこと。(というより、正しくはヨーロッパ各地で汚染があったので事故が発覚した)
当地をずっと取材してきた広河隆一が、原発から50キロの町で汚染されなかった所もあったのに250キロ離れた都市が被害にあったという話をしていました。
これは流出の状態(爆発なのか少しずつ漏れているのか)、風向き、地形、天候などによって全く不確定になってしまうためらしいです。従って、遠近に関係なく被害が生じるとのこと。
特に問題なのは雨が降って放射性物質が降下し、それが乾いた後に異常に汚染度が高い場所(これがいわゆるホットスポット)ができてしまうことで、ここで子どもが裸足で遊んだりすると危険だそうです。

私は完全トーシロなので、不安な方は図書館などで情報収集をなさるがよいかと思います。
まあ結論は各自それぞれ自衛するしかないということでしょうかね。自衛できればの話ですが……。

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