テレビ

2017年6月25日 (日)

アンダーウッド大統領を見たくてトニー賞授賞式を覗いてみた

今年のトニー賞の授賞式の司会はケヴィン・スペイシーだった(過去に演劇部門で受賞経験あり)。その中で、彼が主演しているTVシリーズ『ハウス・オブ・カード』のアンダーウッド大統領に扮して登場している画像をネットで見かけて、にわかに興味を持った。
そこでWOWOWで放映された字幕版を録画してみたのだった。

トニー賞、過去にTVでチョロチョロと眺めたことはあるが、ちゃんと見たことはない。というのも、映画ならば知らない作品でも間もなく公開されるか、未公開になってもソフトが出る可能性がある。しかし、芝居やミュージカルとなるとオリジナルキャストで見たいなら海の向こうへ飛ばなければならない。どうしても関心が薄くなってしまうのであった。

だが、授賞式をこうして見てみるとショーとしては完全にアカデミー賞より遥かに面白い。なにせ話題のミュージカルの最高に盛り上がる場面を、セットも込みでそのまま再現してくれるのだから当然といやあ当然である。
印象に残ったのは、ライバルである化粧会社の二人の女社長を描いた『ウォー・ペイント』、ベテラン女優二人の熱唱impactがド迫力であった。

さて、ケヴィン・スペイシーはダンスを披露したり、中盤に名司会者のジョニー・カースンに扮して物真似をしたが、終わり近くなってビル・クリントンとして登場。
結果的に最多受賞作となった『ディア・エヴァン・ハンセン』で、主役を張って飛ぶ鳥落とす勢いの人気者ベン・プラット(もちろん主演男優賞獲得)に「タイム誌の表紙を4度(3度かな?)も飾っておめでとう」と祝したはいいが、その後で「おかげでヒラリーが表紙になり損ねた(-"-)」とベンを恫喝しビビらせ、ズブズブと座席の下に沈ませたのであった。

で、ようやく最後の最後に作品賞の受賞結果を渡す役としてアンダーウッド大統領が登場。しかも夫人役のロビン・ライトに補佐官ダグ役のマイケル・ケリーも引き連れて、という豪華な面子だ。
しかし、その時のジョークはその前の主演女優賞で『ハロー・ドーリー!』のベット・ミドラーが長々と持ち時間をはるかに超えてon、スピーチを喋りまくったことをネタにクサしただけであった。

私の想像だが、本当は大統領ネタで(トランプを引っかけて)ちゃんと笑いを取るつもりだったのではないか。だって、そうじゃなかったらロビン・ライトとM・ケリーの二人が何も喋らずただ出てきただけ、というのはあまりにもったいなさ過ぎである。
それなのに、ミドラーのスピーチが長過ぎてご破算punch--ということになったのかも。あくまでも推測だが(?_?)

全体的には面白かったが、やはり3時間以上というのは(どの授賞式も同じだが)長くて、通して見るのは難しいのであった。(アカデミー賞も見終われない私である)

それにしてもB・ミドラー71歳fuji スゴイね(@_@;)


『ハウス・オブ・カード』は現在第4シリーズがイマジカで放送中。私はてっきり第4で終了したのかと思っていたら第5シリーズを米国でやると聞いてビックリである。終わり方が少し唐突で、登場人物の「人員整理」もあり、これで終わってもいい状態だったのだ。(ダグの問題が放りっぱなしだったが)
あと、『ボードウォーク・エンパイア』の最終シーズンが明らかに途中打ち切りだった(1回の放送分で主要人物が二人も死んでしまう)せいもあるだろう。

さらに、トランプ大統領がまるでアンダーウッドの行為をまねたようにしか思えないことを実際に幾つも行っていて、「こんなヤツが現実に出てきてしまっては、ドラマじゃもうこれ以上のことは出来まい」と感じたのだが……。

というわけで、アンダーウッド大統領にはトランプ以上の「暴挙」を期待したい。

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2013年10月13日 (日)

「ハウス・オブ・カード 野望の階段」

デヴィッド・フィンチャーが監督して、エミー賞を三部門獲得したTVドラマシリーズである。元々は英国のミニシリーズがあって、それをリメイクしたものらしい。
驚いたのは全13話を一気にネットで配信した(ネットドラマというそうな)ということだ。いやはやスゴイですなあ。

ケーブルTV(イマジカBS)で放送されたので見てみた。
国務長官の椅子を約束されて大統領選に貢献したのに、アッサリ反故にされた上院議員が復讐に燃えて陰謀をめぐらすという発端である。これがまた暗黒版『ザ・ホワイトハウス』といった感じで陰険かつ面白い。新聞社の駆け出し記者も絡んでいて、そちらは同じくアーロン・ソーキンの『ニュースルーム』風でもある。

主役はケヴィン・スペイシーで、こういう「策士」は完全に十八番といっていいだろう。彼が時折カメラ目線になって視聴者に語りかけるのも笑える。その妻を演じているのはロビン・ライト。元旦那の姓を抜いてから女優として上り調子かも。
続きが楽しみであるよ。

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2011年11月13日 (日)

どうなる?朝日ニュースター

J-CASTニュースの「来年3月でスタッフ全員解雇 「朝日ニュースター」事実上消滅」という記事には驚いた。テレ朝に譲渡という話は聞いていたが、「消滅」状態にまでなりそうとは……sweat01

朝日ニュースターはケーブルテレビでよく見ている。特に「ニュースの深層の」火・水・木曜や「愛川欽也パックイン・ジャーナル」、「デモクラシーNOW!」、地方局が制作したドキュメンタリー「テレメンタリー2011」。
それに最近は「ネット発市民チャンネルContAct」も見るようになった。先日「関西クィア映画祭」の代表者のインタビューをやってたが非常に面白かった。
また「デモクラシーNOW!」では、日本で著書が訳出されるよりはるか以前に、ナオミ・クラインご本人が登場して「ショック・ドクトリン」(←まさに今の日本の状況が当てはまる)を解説してくれたりした。

こういう番組が生き残れる……とは残念ながら思えにくい。ガックリ_| ̄|○である。

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2011年10月20日 (木)

「U2 360° LIVE from Los Angeles」

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U2のライヴをWOWOWでやっていたので見てしまった。2009年にカリフォルニアのスタジアムでやったものだ。この時、米国での単独公演動員記録を打ち立てたらしい。

彼らについてはREMの記事でも書いたが、ほぼデビュー当時から聞いてきた。そのせいか、個人的には長い間に嫌いになったり、また好きになったりと差が激しい。「もう次のアルバムは買わねえ!annoy」と思ったことは三、四回はあったろう。だが、その度に何かのきっかけで見直すことがあり、また聞き始めたりするのだった。
そして、最新作の「No Line On The Horizon」。こいつは何度聞いても、どーにもいい所を見つけることができず、今度こそもうダメだーngと感じるぐらいにガッカリしていたところだった。しかし……(+_+)

ライヴ映像を見たのは十ウン年ぶりぐらいか。ボノはかなりオヤヂっぽくなってしまった(他の三人はそんなに変わってない)。が、彼の歌声は昔同様パワフルであるのに驚いた。メンバー同士のコンビネーションもよく、円型の舞台上に据えた大掛かりな装置(六本木にあるルイーズ・ブルジョワの蜘蛛のインスタレーションを連想させる)の効果と相まって、圧倒的なパフォーマンスとなっている。
さすが、最高記録を打ち立てるだけのことはあると正直思った。これだけのライヴを未だ持続しているとは想像していなかった。
やはり、ミュージシャンというのはどんな人間であるかより、どんな音楽をやるかで価値が決まるのであるなあ。例えボノがどんなクソ野郎だとしても、私は平伏するよ。そして十万人近い聴衆の視線を平然と受けとめるのは、並みの神経では到底もたないとも感じた。

この上は、先達ローリング・ストーンズの後を追ってじーさんバンドと呼ばれるまで不動の四人で演奏し続けて欲しい。
という訳で、もう一度「No Line On The Horizon」を聴きなおしてみるかね……。


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2011年6月11日 (土)

ちづこ再放送

「上野千鶴子が爆笑問題のTV番組に出た」という話をネットで知った時には、とっくに放送は終わっていた……dash

_| ̄|○ガクッ

しかし、さすがに受信料を取っているNHKだけあって、再放送をやってくれるではないですかっ(*^^)v

ということで、見逃した人は13日(月)の深夜1時30分からNHK総合をチェックtv
なんでもコスプレして登場したとか……マジですか(+o+)
文章しか読んだことがない人は、ご本人とのイメージのギャップに驚くことでしょう。

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2011年4月29日 (金)

始まったと知った時には終わっていた

朝日ニュースターの「ニュースの深層」でまたまた地上波(及び大手メディア)には出ない内容が放送されました。火曜日(4/26)の「福島原発事故対応で足りない事は?」で、「福島原発事故についての緊急建言」(←これ自体もほとんど報道されなかったもよう)を出した16人の専門家(元々は推進する側の立場だった)の一人である田中俊一(前原子力委員会委員長代理、元日本原子力学会会長)がゲストだった。

テーマのタイトルとは若干違って、半分以上は事故のこれまでの過程を検証したもの。後半が東電が発表した工程表を検討し、実際は最終的に収束させるのにどれぐらいの年月がかかるか予測というもの。
これからまだ再放送があるのと、多分動画サイトに上げられているはずなので興味のある人はご覧下せえ。

以下に内容を少し紹介します。ネットや雑誌などで細切れには知っていたが、やはり驚いたのは事故の過程です。(シロートの要約なので間違いあるかも)

*地震当日11日夜の段階で炉心(燃料棒)の溶融が始まりつつあった。

*11日に対策統合本部が作られていなければならなかったが、実際にできたのは16日だった(首相が東電に怒鳴り込んだという頃)。また原子力災害対策特別措置法というので対策本部が情報を一元化して統合しなければならないと決まっているのに、記者会見が一本化されたのはその1か月後、つい先日である。

*11日から13日にかけて事態は悪化、対策本部ができた時点では打つ手はもはやなかった。その間、政府は「問題ない」「安全だ」と繰り返していた。

*海水を注入すると廃炉になってしまうということで、ようやく12日の夜に注水されたが、燃料棒が溶けている段階で既に廃炉は決定的。海水云々は関係ない。

というわけで、こちらが「心配だー」などと言っていた頃には全てが終わっていたという訳であります。
で、雑誌「アエラ」が「放射能がくる」と表紙に大々的に乗せて顰蹙をかった時には、実際にきていた、と。
過去に嘘をついていたのだから、現在も本当のことを言っているか怪しまれても仕方ないということですかね。

不可解な言い換えについて
*「水素爆発」を「水蒸気爆発」と最初言っていたが、こんな用語はない。
*「炉心溶融」=「メルトダウン」である。官房長官は燃料がすべて溶けて落ちたらメルトダウンだと言い未だに認めていないが、こんなことは聞いたことがない。スリーマイル島の事故でメルトダウンが起こったが、後年に中を開けて調べると溶けていたのは半分だった。「全部溶けたら云々」というのは近くにいる「専門家」が誤ったことを教えているのではないか。


【関連リンク】
「地に落ちた安全神話」

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2011年4月 5日 (火)

地上波TVに飽きた方は【追記あり】

朝日ニュースターで2日の土曜日に放送された金子勝&中村うさぎの「ニュースにだまされるな」特集「原発事故は何故起きたのか」--まだ再放送があります。
ゲストは飯田哲也(環境エネルギー政策研究所)、伴 英幸(原子力資料情報室共同代表)、崎山比早子(元放射線医学総合研究所主任研究官)、石田英敬(東京大学情報学環教授)。

地上波見て、これを見て、また地上波を見れば、ちょうどバランスが取れていいのではないかと思われます(^_^;)
……というか、どこら辺が正しいのかというのはもう自己判断するしかないですね。それにしても不思議なのは、小さな子どもがいるわけでもないのにペットボトルの水を買いまくったオバサンたちが、恐らく選挙では原発推進を明言する候補に少なからず投票するだろうということです。

【追記】内容紹介

*被害:水素爆発は燃料棒が損傷していることを示す。汚水は原子炉の破損による。

*修理は何段階もの行程をクリアしなくてはならないが、損傷していて放射能が漏れていると「決死隊」の作業になってしまう。どこが壊れているか分からないので注水して漏れている場所が分からない→汚染が続く。

*「最善」のシナリオ:今の段階が持続し、水が漏れているのを修復する。

*「最悪」のシナリオ:注水が何らかの理由で失敗し、炉心が5時間ほど露出→燃料の全てが溶けて手の施しようがない→爆発して大量の放射能が出る。

*最善と最悪のどちらになるかは今の段階では予測がつかない。

*一年後も放水で注水しているわけにはいかない。「石棺」化するしかない。

*廃炉どころか、五十年後百年後に誰も近づけないような場所がどこまで広がるかという問題である。

*耐震基準が変わった時に津波についても入っていたが、対策はされてなかった。

*初動について:官邸、東電、安全保安院のどこが意思決定するか混乱した。安全保安院は昨日までTPPを担当してたような人がやっていて、当事者意識も能力もない。

*スピーディ(放射能予測システム)は十日後にようやく出てきたが、隠ぺい以前に存在を知らなかったのではないか。省庁再編でうやむやに。

*人体への影響:放射線は大量に浴びれば死亡、少量ならガンのリスクが高まる。少なければ安全ということではない。数値がこれ以下ならリスクがゼロという値はない。

*被爆するとそのリスクは積み重なっていく。消えるわけではない。このまま長引くとリスクが高まる。→避けるには逃げるしかない。

*長期化すると:水なら、水の基準値を上げるしかない。(他に摂取するものがないならば) 水質については一時的だが、土壌への影響は長く残る。住んでいるだけで影響を受け続ける。

*素人にはよく分からないので、専門家は危険を判断する基準を提供するのが役割。これまでの認められている学問的成果による基準を、この事故によって捨て去るのは科学者にとって自殺行為ではないか。

*将来は:10年かけて代替エネルギーを使用して、原子力発電を使わずに電力の供給を可能にできる。

*とりあえずは他の危険な地域(浜岡原発など)の発電所を耐震補強すべし。


その他、参考までに

無人飛行機からの福島原発の空中写真
http://photos.oregonlive.com/photo-essay/2011/03/fukushima_dai-ichi_aerials.html
http://cryptome.org/eyeball/daiichi-npp/daiichi-photos.htm

シロート眼にはこれで壊れてないのthunderと思えるんですけど(+o+)

他でもリンクしている所が多いと思いますが
こちらからドイツ気象局の放射能予測が見られます。三つの画像のうち左端のが動画になります。
ご覧のように日本全域どころかお隣の国まで放射性物質が飛んでいます。もちろん、これは予測なのでこの通りになるかどうかは全く分かりません。しかし、放射能予報なんてSFの中だけのことかと思ってたら、よもや現実になるとは(~_~;)

日時によっては関東と九州も同じ濃度になっていますが、これは別に不思議なことではないようです。
かなり古い本ですが、『チェルノブイリの放射能』(岩波書店1986年)によると、チェルノブイリ原発の事故があった時は1200キロ離れたスウェーデンでも高い数値が観測されたとのこと。(というより、正しくはヨーロッパ各地で汚染があったので事故が発覚した)
当地をずっと取材してきた広河隆一が、原発から50キロの町で汚染されなかった所もあったのに250キロ離れた都市が被害にあったという話をしていました。
これは流出の状態(爆発なのか少しずつ漏れているのか)、風向き、地形、天候などによって全く不確定になってしまうためらしいです。従って、遠近に関係なく被害が生じるとのこと。
特に問題なのは雨が降って放射性物質が降下し、それが乾いた後に異常に汚染度が高い場所(これがいわゆるホットスポット)ができてしまうことで、ここで子どもが裸足で遊んだりすると危険だそうです。

私は完全トーシロなので、不安な方は図書館などで情報収集をなさるがよいかと思います。
まあ結論は各自それぞれ自衛するしかないということでしょうかね。自衛できればの話ですが……。

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2010年8月22日 (日)

副業でいい加減だと本業も……

CS放送の朝日ニュースターでやっている「宮崎哲弥のトーキング・ヘッズ」のゲストに国際政治学者の藤原帰一が出演していた。毎週、様々なゲストが出て宮崎哲弥が話を聞くという番組である。
この日は、藤原帰一の本業の国際政治の話ではなく映画がテーマだった。「アエラ」に連載している映画評はたまに読んでいたので見てみた。

内容は今年に公開された洋画を中心にテーマ別に解説していくものだったが、結論めいたこととして、マイノリティや多文化を扱った作品は米国以外の国でもウケるが(『第9地区』『アバター』など)、911以降の米国の内情を反映したようなもの(『ダークナイト』『ハートロッカー』)は他国では受け入れられないというのだ。で、その証拠として『ダークナイト』は米国内では記録的な興行成績を上げたが、米国以外では全くダメだったとしていた。

ここで、私は大きな疑問sign02を感じた。「あれっ(?_?;『ダークナイト』は米国以外ではウケなかった--のではなくて、日本でだけウケなかったのではなかったっけ?」
西欧圏だけではなく、アジアでも確か韓国ではヒットしたという記憶がある。

こういう時はさすがネット社会。昔だったら図書館に行って年鑑やら統計をひっくり返さなければ確認できないが、今ならあっという間に確認できてしまうのだよね~。
すると出てましたよ、ここに
ご覧のとおり、この年の米国以外の興行成績は一位が『インディ・ジョーンズ』で二位が僅差で『ダークナイト』となっている。つまり、「米国以外の国ではウケなかった」という藤原帰一の話はウソだったことになる。

恐らく、「米国の内向きの実情を描いた作品は他国では人気がない」という結論が先にありきだったのだろう。いや、それとも彼の言う「世界」とは「日本」だけのことなのだろうか。国際政治が専門なのにさ。

副業でこんないい加減なことを言っていると、本業の方の発言だって怪しく思えてしまう。本業の話も眉にツバ付けて聞くしかないかもね。

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2010年1月21日 (木)

ヘンデル 歌劇「アドメート」:ヘンデルには暗黒××が良く似合う!?

演出:ドリス・デリエ
出演:ティム・ミードほか
指揮:ニコラス・マギーガン
演奏:ゲッチンゲン音楽祭管弦楽団
ダンス:斎藤公義&マム・ダンス・シアター
2009年5月ゲッチンゲン国際ヘンデル音楽祭(初演:1727年)
*TV放映

正月休みにホットカーペット上でゴロゴロしながらリュリのバロック・オペラ「カドミュスとエルミオーヌ」のDVDを見た。で、さて次は何を見ようかという段になって、11月頃にNHK-BSで放送されたヘンデルのオペラを録画しといたことを思い出し、よ~しこの勢いで見ちゃうぞーrunと続けて突入したのであった。

これは演出がかなり話題になった舞台らしい。時代背景はギリシア神話に基づく物語なのだが、人物の衣装や化粧・小道具など全て日本趣味で統一されているのだ。タイトルロールの王アドメートをはじめ男性はちょんまげ風のかつらをつけてるし、王妃アルチェステは日本髪もどきに長いカンザシを付けている。鎧兜の類いはクロサワ時代劇風だ。エルコーレ(英雄ヘラクレス)に至っては力士の出で立ちでシコを踏んだりしちゃう。
もっともかなりデフォルメされたデザインで、しかも全体的にモダンなタッチなので、パロディっぽさはなく重厚な印象さえ与える。

幕開けは主人公は不治の病で伏せたきりで、陰々滅々とした雰囲気に覆われている。と、うなされる彼を悪夢の中で襲うはなんと暗黒舞踏集団……白塗り半裸のダンサー達なのであったsweat01 いやはや、「ブトー」まで出て来るとは驚きだ。
殿様、ぢゃなくて王様のアドメートを演じているのは、先日BCJ「リナルド」でも主役を張っていたカウンターテナーのティム・ミードではあ~りませぬか(!o!) ここでトーシロとしては、横向きに寝たりままだったり這いつくばったりしてちゃんと歌えるのかしらん?腸捻転とか起こさないのsign02などと余計な心配をしてしまうのであった。

さて神託によって、王を助けるために妃のアルチェステは自害する。元気になった王はエルコーレに冥府から妻を連れ戻してくれと頼み、冥府に下ったエルコーレは悪鬼(?)たちをドスコイとうっちゃりながら彼女を救い出すのであった。
ここでトーシロとしては、相撲を取りながらでちゃんと歌えるのかしらん?息切れとかしないのsign02と余計な心配を(以下略)

しっかし、その間アドメートは元の婚約者アンティゴナが現われて気もそぞろになる。現代的な規範からすれば「あんたはヨメに命を救ってもらったんだから、あと百年間は禁欲してろ!」と言ってケツでも蹴飛ばしたくなるところだろう。
それを予感してか王妃は身を隠す--なぜなら、彼女は冥府から「嫉妬」を連れてきてしまったのだー{{(>_<)}}
この「嫉妬」が江戸時代の幽霊画みたいな格好。同時に長い黒髪をダラーッと垂らしている様はまるであの、さ、貞子……出た出たデターッ!へ(・・へ)~ コワイよ~んdash
この貞子、ぢゃなかった「嫉妬」を演じているのは、振りつけも担当の斎藤公義。恐ろしいです。

しかしこの物語の不思議なのは、ずーっと夫への疑惑と嫉妬を歌っていたアルチェステが、遂に夫のフタマタ愛が確実だと告げられた途端に「やっぱりあの人を信じていこう」みたいに百八十度転換してしまうこと。な、なんでそうなるの(?_?; ヘンデル先生、こればかりは理解できません。

このあたりから舞台上には何やら異様な緊張感がみなぎって来る。なにせ「嫉妬」は妃に退けられたにもかかわらず、しつこく影の如くつきまとってくるし、アンティゴナの婚約復活作戦は着々と進行しているからである。

「妃はどうも戻って来ないようだし、せっかくだから元婚約者と復活愛しちゃおうかな~kissmark」とやにさがったアドメートがアンティゴナと結婚の儀に至る--と、それまでほとんどセットがなかった舞台上にロココ調の背景と柱が出現。柱の影からアンティゴナに横恋慕する(というより、彼女に適当に利用されてた?)弟王が刀に手をかけて暗殺の機を狙うのであった。……その光景はまるで「松の廊下」ではないですか!
もはや気が気ではない。嬉しそうな愛の二重唱も緊張感でハラハラドキドキして聞く羽目になってしまう。

間一髪、身を挺してアルチェステが「殿中でござる」と暗殺を防ぐと、王は「あら、ヨメは生きてたのね、どうしよう」状態に。素早くアンティゴナは身を引く宣言をして、弟王とくっついちゃってメデタシメデタシとなるのであった。本当にいいのか?あんた、それでspa
一体、この展開をどう解釈していいのやら。やはり当時の国際状況あたりをなぞっているのだろうか? 極めて不可解である。

だがヘンデル先生の真意はともかく、登場人物全員による大円団の明るい合唱が始まると、一同を尻目に舞台前面を「嫉妬」が跋扈して、ケイレン的な舞踏でステージ上を独り占めするのであった。
いや~、暗黒舞踏と勇壮明快なヘンデルのフィナーレがこれほど似合うとは誰が考えたであろうか! もうビックリである。ビックリ過ぎて笑っちゃうほど(^O^)

かくも不可解な物語を、明確な形に転換させた演出家の手腕はお見事としか言いようがない。
カーテンコールは拍手喝采、足踏み、ブラボーの嵐また嵐typhoonとなった。
ティム・ミードをはじめ、ソプラノ二人、エルコーレ役など歌手陣もよかった。ただ、弟王役のカウンターテナーは……(以下無言)。
羊役のダンサーは大変そうだった。ご苦労さん賞だろう。

「カドミュスとエルミオーヌ」とは完全に正反対の方向のプロダクションだったが、これまた楽しめた \(^o^)/
この収録にはNHKも関わっている? だったら、地上波でも放送するか、ソフトで出すかしてして下さいよ~。頼んます(^人^)

【関連リンク】
《アルチーナのブログ》

《テニスとランとモーツァルト》

《In fernem Land unnahbar euren Schritten....》

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2009年11月14日 (土)

マイケル・ジャクソンについての予言

朝日ニュースターで放送されている米国TV番組「デモクラシーNOW!」の11月第1週分をようやく見た。
後半が「マイケル・ジャクソン:キング・オブ・ポップの一生と彼が遺したもの」と題された回で、米国では6月30日、彼の死の直後に放送されたものである。
内容は彼について著書を出していた二人の研究者に話を聞くというものだった(その本は日本では出ていないもよう)。
番組の中で、M・ジャクソンは人種と性別を越える存在(それはある意味で「奇形」である)となったと述べられ、それに関連して、作家のジェイムズ・ボールドウィンがM・ジャクソンについて1985年に書いたエッセーが紹介された。極めて印象深い文章なので引用してみよう。

マイケルをめぐる耳障りな騒ぎは本人には関係がない。彼がそれに気付き、成功の報いで身を滅ぼす前に逃げることを祈る。そう簡単には許されまい。これほど権威をくつがえし、途方もない夢をかなえ、大金持になったのだから。
奇形(フリークス)とは奇形と呼ばれ、忌まわしきものとして扱われる。彼らの姿が人間の心の奥底に潜む恐怖と欲望を映し出すからだ。

1985年というのは彼の絶頂期ともいうべき時期だろう。その時にこのように将来を見通したかのような文章が書かれていたのは驚きである。

また、日本だとどうしても1980年代以降の活躍を中心に語られがちだが、街頭インタビューの市民たちは子どもの時から同世代の彼の歌を聞いてきたと答えていた。(となると、私の母の世代の美空ひばりみたいな存在なのか(?_?;)

5歳でスターとなった少年マイケルについて、番組内での指摘によると、彼は魅力にあふれ、大人の性的欲望の対象となったという。ファンの崇拝には、そのスター自身を餌食にしてしまうような面がある。特に対象が子供スターの場合は--。
果たしてこのようなショービジネスの世界が彼の人生に影響を与えたのだろうか。

正直、M・ジャクソンは私にとってヒットチャートの上位を長期間占めていたスターの一人という以上でも以下でもなかったが--もちろん「スリラー」や「バンド・エイド」のヴィデオはすり減るほど何回も見ましたよ(^^;)--色々と考えさせられた内容だった。。


なお、番組の前半は『ベルゲン・ベルゼンの日記 1944-45』という本を紹介したもの。ユーゴからドイツの強制収容所に収容されたユダヤ人女性が所内で密かに綴っていた日記である。
ジャーナリストである娘によると、母は収容所にいた時は希望を抱いていたが、生き延びて解放された後は外の世界に絶望して(パレスチナ弾圧やユーゴ解体など)何も文章で語ることはなくなってしまったという。なんたる皮肉だろうか……(v_v)
こちらの前半も興味深かった。


なお、再放送が15日の深夜1時(16日早朝)にもあるので、視聴可能で興味のある方はどうぞ。

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