古楽(2021~2024年の記事)

2025年3月 8日 (土)

「1690年代のローマ」:根に持つタイプ

マンッリ、ミガーリ、コレッリの作品を巡って
演奏:アンサンブル・リクレアツィオン・ダルカディア
会場:今井館聖書講堂
2025年2月22日

4人のうち3人が海外在住のグループゆえ、コンサートは年に一回になってしまうのか。昨年2月に続き、今年もやってきました。
夕方の回はやや寂しい客の入りだった。2回公演なので昼間の方に皆行ったのか。それとも神奈川の『オルフェオ』と重なってしまったのが悪かったか。

前回はナポリの作曲家マルキテッリを日本初演し、そして今回はローマへ向かう。1690年代にローマでトリオ・ソナタ集を発表した3人の作曲家兼演奏家--すなわちコレッリ、マンッリ、ミガーリを取り上げた。
とはいえコレッリ以外の二人は名前も聞いたことがない(;^_^A その二人を3曲ずつ、コレッリを2曲というプログラムだった。

全体的に緩急のアクセントを強くつけた演奏で、目が覚めるような鋭角的な響きが特徴的だった。当時のローマの生き生きとした音楽シーンが蘇るようだ。
曲はマンッリ、ミガーリ共にコレッリと遜色ないものだが、断固とした硬質さを持っているのに対し、それに比べるとコレッリはなんとなく愛嬌があるなあという印象。そういうところが長年生き残ってきた理由だろうか。

渡邊孝はマンッリ押しということでラストは彼の作品だった。しかしここで驚きの事実が明らかにされたのである❗
配布されたプログラムでは3人の作曲家の解説が載っているが、ちょうど見開き2ページの相対する位置にマンッリとコレッリの肖像画が印字されている。な、なんとその2ページ分の「」の字が全て強調文字になって黒く浮き上がっているのだ(!o!)
作成した渡邊氏の語るところによるとなぜそうなったのか全く分からないとのこと。

しかし二人には因縁があった。当時のローマにおいて開催された演奏会において、当初は第一ヴァイオリンはマンッリで、若い後進のコレッリは第二を務めたという。それが途中から逆転--つまりマンッリは首席奏者の地位を奪われたのである💥
「おのれ、若造め~(~_~メ)」彼の恨みは数世紀後の演奏会にまで及んだのであろうか。二ページいっぱいに広がる「」の強調文字がその証左である。まさに根に持つタイプ。演奏家の恨み恐ろしや。

ん? よくよく見ればなんとこのブログ記事まで全ての「」が黒くなっているではないか⚡ で、出たーっ👻祟りじゃ~~(>O<)ギャー

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2024年12月24日 (火)

「イタリア・バロックを歌う」:萌ゆる二重唱

241224a 演奏:ロベルタ・マメリ&波多野睦美
会場:ルーテル市ヶ谷ホール
2024年12月10日

ロベルタ・マメリ久々の来日💖 北とぴあ音楽祭のモーツァルトのオペラに主演したが自分の守備範囲外だったので行かなかった。代わりに小さなホールで波多野睦美とのデュオ・コンサートがあり、待ってました!である。

二人は鮮やかな緋色(でいいのかな?)を揃えた衣装で登場。モンテヴェルディから始まってディンディア、メールロなどと進み、段々ともう少し後の初期バロックへと移っていく構成であった。で、シメの曲はまたモンテヴェルディ(『ポッペア』より)となる。
独唱曲はマメリ4曲、波多野2曲、残りは二重唱という配分。

全体的にはマメリの激情、波多野の老練という印象だった。二人の声が互いに陰に陽にと重なり合っては入れ替わっていく。チェンバロ&ハープ西山まりえ、チェロ懸田貴嗣が背後から余すところなく支える。時折、ハープの鋭い音は楔のように響いた。
アンコールでパーセルをマメリが独唱したけど、濃厚さのあまりイタリア歌曲のように聞こえたりして👂
客席はシーンとして集中力マックス状態であった。聞けてヨカッタ。
なおチェロのソロでコスタンツィのソナタが演奏されたが、それぞれの時代の違いをまざまざと感じさせましたな(;^_^A

なお、当日はチケット完売でパイプ椅子の追加席も出る満員状態だった。会場にはつのだ氏はじめ関係者の顔も多数見かけた。某合奏団の来日コンサートと共に里帰りしていたヴァイオリン弾きの方もいたようで。
来年の北とぴあ音楽祭のオペラはヘンデルでマメリも出演するらしい。ヤッタネ👍 だそうで、今から楽しみよ(^^)

ブログの過去記事からマメリ関係を幾つか紹介する。
2009年2月「アリアンナの嘆き」
2010年3月「ディドーネの嘆き」
2014年11月「ロベルタ・マメリ&ラ・ヴェネクシアーナ~ある夜に」この頃はカヴィーナも健在だったんですよねえ( -o-) sigh...


会場のホールについて。暖房が効きすぎで参った。頭がポーッとしてしまった。
女子トイレ状況は狭くてよろしくない。すぐ行列になってしまう。3階にもあるということでそちらに行ってみるとやたら遠い💨 往きは他の人について行ったからよかったけど、帰りは迷ってウロウロしてしまった。ひゃーっ(~o~;)
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2024年12月12日 (木)

「ジェズアルド・シックス」:6番目の男

241211a ウィッシング・トゥリー
会場:東京文化会館小ホール
2024年11月26日

アカペラ合唱コンサートに行ったのは久しぶりである。このグループは録音も聞いたことないけどとりあえず行ってみた。会場で耳にしたところによると、ユーチューブで合唱シーンが広く知られているらしい。

名の通り英国男声6人組である。2種類のプログラムで来日し、古楽が大半かと思ったら現代曲と半々ぐらい取り混ぜての構成だった。ちなみに肝心のジェズアルドの曲はどちらのプロも1曲のみである。満員御礼完売とのことだった。
どちらのジャンルも境界なく歌いこなし聞かせてくれた。端正かつ硬質な響きに圧倒される。しかも文化会館小ホールは鑑賞環境としては申し分なく、声が身近に届いてきた。

リーダー兼バスのパーク氏はまだ32歳ぐらいらしい。若い🌟 作曲もこなす才人である。カウンターテナー二人の歌声は華麗。彼のバスの技巧も評判だったが、私の座席からだと彼の斜め後ろになってしまい、よく聞こえなかったのが残念だ。
コンサートは全体を通して洗練極まりなく構築された世界だった。ただ、「洗練され過ぎ」となると諸刃の剣。休憩時間中に「どの曲も同じに聞こえる」との声が客の中から聞こえた。ムムム(~_~)確かに前半はそんな感じがあったかな。

伝承曲を編曲したものや、アメリカ先住民の詩による作品などもあり、選曲自体はバラエティに富んでいた。伝統歌の「オークとアッシュ」って「おじーさんの古時計」の歌の原曲だろうか(・・?

サイン会は長蛇の列で、CD販売コーナーは大忙しだった。売切れの盤も出てスタッフは嬉しそうでしたな。
若い方のカウンターテナーはティモシー・シャラメにちょっと似ていた。TV収録(多分NHK)が入っていたので放映時によーくご確認ください。
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2024年11月30日 (土)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年12月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ
事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。
小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。

*7日(土)ヴェネツィアのクリスマス(コンチェルト・レオノルソ):国際基督教大学宗教音楽センター
*  〃  宇田川貞夫ヴィオラ・ダ・ガンバリサイタル 演奏活動60周年記念:豊洲文化センターホール
*8日(日)オルガンクリスマスコンサート J.S.バッハのクリスマス(鈴木雅明ほか):神奈川県民ホール小ホール
*  〃  ソプラノとチェンバロによる若き日のヘンデル(阿部まどか&髙野凛):松明堂音楽ホール
*10日(火)イタリアバロックを歌う(ロベルタ・マメリ&波多野睦美):ルーテル市ヶ谷ホール
*  〃   ラ・フォンテヴェルデのクリスマス2024 スペイン黄金期の巨匠たち:ハクジュホール
*12日(木)紀尾井明日への扉 井上玲:紀尾井ホール
*16日(月)鶴見de古楽 中村&後藤 清新デュオの胸弾むリコーダー(中村栄宏&後藤早恵):鶴見区民文化センターサルビアホール音楽ホール
*21日(土)クリスマス・コンサート 歌と中世楽器による古い時代の待降節とクリスマスの音楽(夏山美加恵&小野絢花):澤田写真館
*22日(日)恋する心に安らぎを フルート、テオルボ、ハープで奏でるオトテールとブリュネット(イ・フィラトーリ・ディ・ムジカ):今井館聖書講堂
*24日(火)聖夜のメサイア(バッハ・コレギウム・ジャパン):サントリーホール
*26日(水)風花に小鳥たちは春を夢見る リコーダー × バロックファゴット × チェンバロによる饗宴(大塚照道ほか):同仁キリスト教会
*28日(土)西山まりえチェンバロ・リサイタル:今井館聖書講堂
*29日(日)菅きよみ×西山まりえデュオ・リサイタル:今井館聖書講堂 ♪28日ともに新作チェンバロお披露目会

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2024年11月22日 (金)

「マドリガル・コメディ」:笑撃の動物コーラス隊

241121 愉快!!痛快!! ルネサンスのコメディ!!
北とぴあ国際音楽祭2024
演奏:ラ・フォンテヴェルデ
会場:北とぴあつつじホール
2024年11月5日

マドリガル・コメディ何か? イタリア古典仮面喜劇コメディア・デラルテの定番キャラクターが登場する音楽劇--ということでいいのかな。以前に藝大プロジェクトでやった時はそういう風に理解した。

このコンサートではバンキエリの作品を2作上演。おなじみの歌手7人がバロックハープ(伊藤美恵)と共に歌った。
「老年の乱心」は定番キャラクターによる簡単なストーリーがあるもので、老人が娘を知人の医者のヨメにやろうとするが、彼女には恋仲の青年がいて……というこれまた定番な設定である。
後半の「謝肉祭最後の木曜日、楽しい夕べの宴」はめでたい宴に集まってくる村人やら貴族やら様々な人間のバカ騒ぎを描く小曲集。さらには賑やかに動物たちまでもやってくるという次第だ。

演劇の形式を取らず、完全に多声の合唱によって歌手たちがその場面を描いていく。しかもそれはくだらなくてバカバカしい諧謔の極みである。ルネサンス期のヴェネツィアの古典芸能という、設定にしてもキャラクターにしてもある意味ローカルの極致みたいな世界であるが完璧に構築しているのはすごいと感心した。
こんなことができるのは国内ではラ・フォンテヴェルデだけに違いない💖

日本語ナレーションを担当した谷口氏は色々と笑わせてくれてご苦労さんでした。小笠原氏の「重鎮」ぶりも見もの(聞きもの)であった。
なお、アンコール最後の最後の「ミャオ」が可愛かったです(ΦωΦ)

フキダシ付き字幕+イラストが演目にピッタリで面白くて効果的だった。でもステージの壁の形状と素材のせいかぼやけた色になってしまったのは残念である。


今年の北とぴあ音楽祭は、オペラが守備範囲外のモーツァルトなので私はパス。これが唯一の鑑賞である。

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2024年11月 2日 (土)

「天使の楽器サックバット」:吹けば聞こえ過ぎそうな楽器でも

241102 華麗な響きのルネサンス教会音楽
演奏:イル・メルロ
会場:五反田文化センター音楽ホール
2024年10月14日

イル・メルロはリコーダー桐畑奈央+鍵盤上羽剛史+ソプラノ小野綾子の三人組。この日の公演ではサックバットの小野和将がゲスト参加してルネサンス時の歌曲を取り上げた。
この4つの組み合わせ、普通はあまりないものだと思うが一体どんな音になるのであろうか(^^? 回答を求めて埼玉からは遠い五反田へ向かったのである。

想像だとサックバットが音量が大きくて突出して聞こえて他を圧してしまいそう。縦笛はともかくソプラノはどうなるよ。しかし結果は--意外にもうまく溶け合ったサウンドとなった。サックバットが大き過ぎるわけでもなく、リコーダーはよく響き声はあくまで明晰であった。
そしてオルガンはその間を取り持つ接着剤兼緩衝材の役割を果たしていた。

取り上げられた作曲家はグランディ、カステッロ、マレンツィオなど。一曲だけ時代が後のシャルパンティエの歌曲が入っていた。グランディは3曲も、という大盤振る舞いである。
この時代の声楽曲・器楽曲はアンサンブルの宝庫ですね。サックバットが入って新鮮な演奏を楽しめました。
ただ、空席が目立ち過ぎだったのは残念。宣伝が足りなかったのかな💦 私以外はほとんどが身内の人のようだった。


会場の五反田文化センター、ほぼ一年ぶりで道が分かるかなと思ったけど無事たどり着けた。ただ音楽ホールの入口が分かりにくい。
音はいいのだが、前席の客の頭がかぶる度合いがひどくて参る。前に大男が座ったら何も見えなくなるだろう。「音はすれども姿は見えず」状態である👀

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2024年11月 1日 (金)

聴かずに死ねるか! 古楽コンサート2024年11月編

個人の好みで東京周辺開催のものから適当に選んでリストアップしたものです(^^ゞ
事前に必ず実施を確認してください。ライブ配信は入っていません。
小さな会場は完売の可能性あり。ご注意ください。

*1日(金)倫理的・宗教的な森 全曲演奏シリーズ2 諸聖人の晩課(古楽アンサンブル エクス・ノーヴォ):ハクジュホール
*4日(月)古楽器と歌で奏でるバロック音楽とブルガリア民謡(氏家紗知ほか):りとるぷれいミュージック
*5日(火)北とぴあ国際音楽祭 マドリガル・コメディ(ラ・フォンテヴェルデ):北とぴあつつじホール
*  〃  木々は雨を求めて泣く カタルーニャとアンダルシアの民謡 セファルディの歌(柴山晴美&つのだたかし):杉並公会堂小ホール
*7日(木)舞曲は踊る4 舞曲・舞踏の諸相 バロック音楽とダンス(浜中康子ほか):浜離宮朝日ホール
*8日(金)コルテ・デル・トラヴェルソ特別公演 withバルトルド・クイケン:五反田文化センター音楽ホール ♪完売!配信あり
*9日(土)トン・コープマン チェンバロ&オルガン・リサイタル:すみだトリフォニーホール
*  〃  ヴィオラ・ダ・ガンバ デュオ・コンサート 森川 麻子・櫻井 茂:今井館聖書講堂
*11日(月)バッハ ミサ曲ロ短調(アントネッロ):東京オペラシティコンサートホール
*15日(金)オードの世界(パーセル・プロジェクト):五反田文化センター音楽ホール
*21日(木)晩秋に漂うトリオの余情(小野萬里ほか):鶴見区民文化センターサルビアホール
*21日(木)・22日(金)J・S・バッハの教会カンタータ全曲シリーズ1(サクリス・カンマーコーア):武蔵野市民文化会館小ホール
*26日(火)ザ・ウィッシング・トリー(ジェズアルド・シックス):東京文化会館小ホール ♪28日に武蔵野で別プログラム公演あり
*28日(木)コラールカンタータ300年4(バッハ・コレギウム・ジャパン):調布市文化会館たづくりくすのきホール
*29日(金)リコーダーとトラヴェルソの愉しみ(木村睦幸ほか):スペース415
*30日(土)ピエタ 18世紀ヴェネツィアに花開いた、ピエタ慈善院の女子合奏団(チパンゴ・コンソートほか):日本基督教団原宿教会 ♪三部制なので注意
*  〃   ドン・キホーテとその時代の音楽 音楽は歌い、語り部は紡ぐ(メディオ・レジストロ):港北公会堂

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2024年10月21日 (月)

BCJ秋祭り「ミサ曲ロ短調」「祝祭のオール・バッハ・プログラム」

「バッハ ミサ曲ロ短調」
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
会場:東京オペラシティコンサートホール
2024年9月27日

BCJを聞くのはかなり久しぶり。コンサートホールもすっかりご無沙汰である。ロ短調ミサもまた久しく生で聞いていないので「たまには行ってみるかなあ」と、発売から遅れてチケットを取った。行ってみると、なんと3階席までほぼ満員であった。

座席は後方しか取れなかったが、かえって合唱の緩やかな広がりと響きを堪能できてよかった。その代わりステージが遠くて、肝心のコンマスを含めて何人かの奏者や合唱隊の顔がどうしても分からず「あれ誰だろう🙄」とずっと悩んでいた。

これまた久しぶりのテノール櫻田氏はなにげに貫禄が出てきた印象だった。昨年のヘンデル・オペラでしか見た(聞いた)ことがなかったA・チャンス、あの時はキモい王様役だったが今回の「アニュス・デイ」はあまりに甘美過ぎて💫脳ミソがしびれそうな神の子羊であった。
それから管楽器の充実ぶりが耳福だった。

入場した時にくれた紙片には歌手の独唱者名しか載っていなかった。プログラム買わないと器楽隊や合唱隊の個々の氏名は分からないままだった。キビシイのであーる。
しかしプログラムの価格が2000円とは……最初の頃は500円だっけ? 昔が懐かしいぜ。

貰ったチラシの束の中に同じ会場でアントネッロもロ短調ミサをやるのを知った。なぜに今、ロ短調が来ているのであろうか。
どうせなら「オペラシティ震撼⚡本邦二大古楽グループが激突💥ロ短調来た~っ🌟」ぐらいに煽ってほしかった。

241021
「祝祭のオール・バッハ・プログラム」
演奏:バッハ・コレギウム・ジャパン
会場:彩の国さいたま芸術劇場
2024年9月28日

埼玉県の数少ない文化施設の一つ、さい芸開館30周年記念ということでめでたいプログラムである。
こちらは「おっ、BCJ久しぶりに埼玉だ」と発売時にすぐチケットを獲得した。かなり前のことで公演日も忘れてしまい、上に書いた通り「ロ短調聞いてみるかな」という適当な理由で何も考えずにこちらをチケ取りしたら、気付くと連チャンだったという……💦
しかもこの日は午後4時開演だから正確には24時間経っていない( ̄▽ ̄;) 皆さんタフですなあ。

直前まで行くかどうか迷っていて疲れてたがなんとか気力体力振り絞り行ってみた。結果は「聞けてヨカッタヽ(^o^)丿」であった。
メンバーは前日と同じで、曲目は管弦楽組曲、ヴァイオリン協奏曲と声楽2曲(モテットとカンタータ191)。さらにチラシには書いてなかった、ロ短調ミサからキーラントとチャンスの独唱曲を投入という大サービスがあった。

非常に暑い日の上に、うっかり電車で乗り越しをやってしまい開演ギリギリに文字通り駆け込む羽目になってしまった。始まってからも大汗が止まらず(;^_^Aトホホ状態である。
この日も満員御礼だったもよう。

座席が後方だったオペラシティとは違って前の方だったので、演奏者たちの顔がよーく分かった。コンマスは山口幸恵だったのね。この日のさい芸発行のプログラムは無料💮配布で奏者リストもありちゃんと確認できました。

オペラシティでは座席が後方だったためか合唱が穏やかに融合して聞こえたが、さい芸は席数は半分以下。それで前方の位置なので音の迫力に格段の差があった。特に合唱は各声部が激突して火花を散らしグルグル回っている。まるで雷雲の中に突っ込んでいるようなイメージにとらわれた。この違いはなんだ(・・?
アンコールのロ短調ミサ「平和を与えたまえ」もかなりグイと迫ってくる印象だった。
もう一度聞けて嬉しさ百倍チャンスの「神の子羊」は、弦が声の周囲を撫で回していくような不思議な感覚であった。

それにしても二日続けての指揮でもマサアキ氏はお元気であった。この後は居酒屋で打ち上げやるのかなどと思ってしまった。
彼の曲間の解説によると、管弦楽組曲3番のアリアはその前の「序曲」でトランペットとオーボエの奏者を使い倒したので、彼らを休憩させるために弦だけの曲にしたのではないかという。ホントか😶
おかげでヴァイオリン席の後方の床で管楽器隊が疲れて寝ている姿が目に浮かんでしまったですよ。

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2024年10月 5日 (土)

「アルプスを越える天才たち」:音楽に国境も時代もなし

241005 演奏:アンサンブル・パルテノペ
会場:今井館聖書講堂
2024年9月22日

イタリアとドイツの間には高くて深い山(アルプス)がある~♪と歌ったかどうかは知らないが、かつてそれを越えてイタリアとドイツ・ウィーン、さらにはパリまで、互いに影響を与えたり実際に音楽活動を行った音楽家たちがいた🌟

アンサンブル・パルテノペはヴァイオリン朝吹園子、チェロ懸田貴嗣、テオルボ・ギター上田朝子、チェンバロ西山まりえという4人組である。

取り上げられたのはヴァルター、ヴィヴァルディ、ピゼンデルなど。耳慣れたヴィヴァルディ節もギターが入ると何やら粗削りな勢いが生じて面白い。
テオルボ独奏曲の作者バルトロッティはイタリア人だがパリに行ったら作風豹変したとか。その証拠のような組曲を披露。
今回、最大の聞きどころは3分間の鍵盤曲の中に全部の調を入れたハイニヒェンだろう。かつてはバッハの作品とされていたそうだが、一体何を考えて作ったのか? ウケ狙いですかね🙄
ピゼンデルとウェストホフの極めて技巧的なソナタでは、ヴァイオリン朝吹氏が「弦力」(げんぢから)というようなものを発揮、圧倒的でねじ伏せるような演奏だった。

個々の奏者はもちろんアンサンブルとしての横のつながりも良く、聞けて満足した。
休憩なしで1日2回公演、満員御礼だったらしい。お疲れ様でした(^O^)/


ただ、演奏の最中にガサガサ音を立てて動く人がいたのにはマイッタ。勘弁してほしい。

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2024年9月 3日 (火)

「真夏の夜のあやしい宴」:モダンなホールに古の響き

240903 演奏:レ・ルーチ・アンティーケ
会場:小金井宮地楽器ホール小ホール
2024年8月17日

中世ルネサンス音楽4人組集団レ・ルーチ・アンティーケを初めて聞きに行った。「あやしい」というのは「怪談」みたいな意味かと思ったら、どうも「変な」とか「おかしい」「うさん臭い」ということだったらしい。
確かにその伝で行けば中世ものはあやしさ爆発だっ🌟

いつものコンサートでは楽器や曲の解説を長くやるそうだが、この日はその「あやしい」ストーリーに沿って粛々と演奏と、さらにコントも披露した。
「カルミナ・ブラーナ」にマショー、複雑で規格外れの構造の曲(アルス・スブティリオールや変拍子の舞曲など)や、変わった内容の歌詞の歌など次々と炸裂。加えて演奏に使われるのは現代から見ればあやしい楽器多数である。

中でも聖母マリアのカンティガ集で、修道士が酒蔵で泥酔して悪魔に襲撃される歌には笑ってしまった。
修道院の地下で自給自足のワイン隠れ飲み放題(* ̄0 ̄*)ノ口  いいですね~♪ 作っては飲み作っては飲み、いくら作っても足りゃしねえ~~🥂

ということで中ルネ・ワールドを楽しめた。いつかホラーで怖いという意味の方の「あやしい」曲特集もお願いします。

なお土曜日なのになぜ19時開演という時間設定(?_?)と思ったら、歌手の樋口麻理子がオランダ在住なのが、急きょ来日するのであわてて開催を決めたため、ということなのかな(昼間や夕方は既に他のイベントが入っていた)。

この武蔵小金井のホールは初めて行った。小ホールはフラットな床で、しかもパーティションで区切って使っていたので音楽ホールとしてどうかは不明だった。いつか大ホールも行ってみたい。
トイレの「便器にトイレットペーパーのロールを入れないでください」をはじめ、注意書きが至る所にペタペタと貼ってあってなんだか大変だなと思った。
埼玉県民から見ると武蔵小金井は大都会であったよ(~o~)
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