映画・テレビ

2008年5月13日 (火)

「ビルマ、パゴダの影で」:見知らぬ世界の見知らぬ土地で

080513
監督:アイリーヌ・マーティー
スイス2004年

珍しく平日の休みが取れたので、渋谷に行ってあの『靖国』に突撃を試みるも見事「玉砕」。しかし、不屈の大和魂をもってあっさりと方向転換して、同じ渋谷でやっているこちらのドキュメンタリーを見てきた。
しかし、本当のところを言えば数日前までその存在も知らなかったのである。この紹介記事を読んで初めて見ようと思い立ったのだ(^^ゞ

形式としては極めて真っ当でストレートなドキュメンタリーである。
監督は昔旅行したビルマ(ミャンマー)が忘れられず、現状を取材するため観光映画を撮影すると偽って入国。
さらにタイとの国境周辺にある難民キャンプを幾つか訪ねたり、タイ側から潜入して紛争地域を取材したり--と地道かつ危険な取材を繰り返している。

ビルマは数多くの小数民族が存在する多民族国家であり、軍事政権は一貫して彼らを強制徴用や殺害など迫害をしているとのことである。カレン族の迫害については少し前の「デイズ・ジャパン」誌に記事が載っていたと記憶しているが、さらに他にも多くの民族がいて迫害を受けているとは知らなかった。
ある民族は土地を追い払われ、難民キャンプへと流れこみ、またある民族は自らの軍を持って政府軍と戦闘を続けている。

そのような自民族の武装組織に守られたキャンプの子どもたちにインタヴューしているが、そのまなざしは一様に暗い。「紛争の中でも子どもたちは元気だった」なんてことは全くない。みんな親など家族を殺されているのである。

将来のことを尋ねられると、女の子二人は「故郷に戻って教師になりたい」と答えた(子どもたちはキャンプ内の学校に行っている)が、二人の少年は「軍に入って政府軍と戦い復讐する」と語った。見ていて暗澹たる気分になってしまった。
だが、そもそも彼らにはロールモデルとなる大人の姿を目にすることが少ないのかも知れない。少女が「教師」、少年が「兵士」と答えたのは、その他に将来を投影する大人が身近にいないとも考えられる。--いや、きっとそうだと思いたい。

しかし、いずれにしろ彼らに「未来」はあるのだろうか……clock
取材は2004年よりさらに前である。現在ではどうなっているのか。ちょうどサイクロンの被害も(実際にどの程度なのかはまだよく分からないが)あるし。

--世界はこんな話ばかりだよなあ(+_+)

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2008年5月11日 (日)

「アイム・ノット・ゼア」:ディランの濃ゆい同人誌

080511
監督:トッド・ヘインズ
出演:クリスチャン・ベイル、ケイト・ブランシェット、マーカス・カール・フランクリン、リチャード・ギア、ヒース・レジャー、ベン・ウィショー
米国2007年

ボブ・ディランを6人の役者で演じるという変わったスタイルの「伝記」映画。何せその6人の中には女性も黒人少年も含まれているのである。しかも役名もみんなバラバラだし、役柄も全部違う。どころか設定されている世界もそれぞれ異なる。
ディランの多彩な面をそれぞれが象徴していると考えた方がいいだろう。

しかも、その六つの世界が不規則的に混ざって入れ替わり出没する。それが面白いかというと、編集のせいかどうもテンポが悪い。タラタラして退屈しちゃう。
それから、ディランのファンにはきっとここはよく知られているエピソードなんだろうなあとか、何かのインタヴューのパロディらしい--と思える場面が多々あるのだが、門外漢の私にはよく分からなくて歯がゆい思いがした。

というわけで、2時間15分が本当に長~く感じられた。風邪をひいていて熱っぽかったのだが観ている間にどんどん熱が上がってくるようだった。ケイト・ブランシェットが中盤に出てきた時、「あー、まだリチャード・ギアもこれから出てくんだよなー」なんて思っちゃったですよ( -o-) sigh...

監督は自由と抑圧を歌うことについてこだわっているようだが、そのこだわりがなんだか空回りしてるようでもあった。

結局のところ、自分の全く知らないアニメとかマンガ作品についてのものすごーく熱心な分厚い同人誌を読まされているような印象だった。情熱や「濃さ」を感じても共感する術がない。
顧みてみれば同じ監督の『ベルベット・ゴールドマイン』も、実在のロックスターをモデルにしたヤヲイ本みたいな映画だった。この妄想にはとてもついて行けませんng

ケイト・ブランシェットはこれで多くの映画賞に助演女優賞でノミネートされたが(なぜに「助演」?じゃ「主演」は誰)、女の彼女が一般に流布しているディランのイメージに(外見的にも)一番近いのはなんだか皮肉のような気がした。それとも意図的かね?

キム・ゴードン姐御がほんのチョイ役で特出。


初心者点:3点
マニア点:10点

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2008年5月 3日 (土)

「フィクサー」:看板に偽りあり

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監督:トニー・ギルロイ
出演:ジョージ・クルーニー
米国2007年

先日のアカデミー賞で7部門ノミネート。賞レースの第一集団にいた作品である。
他の人の感想を読んでみると、けなすにしろほめるにしろ共通しているのは「こんな話だとは思わなかった」だった。
確かに、私もそう思いました。(^^)/ハイッ

題名と予告から、ジョージ・クルーニー扮する弁護士が「もみ消し屋」としてバリバリ汚い仕事をするのかと思ったら、全然そんな事はなかった。よっぽどあのアヤシイ裏稼業の男集団の方が「もみ消し屋」じゃないの。どころか主人公は逆にもみ消される方だーbomb

離婚して妻子とは別居、ギャンブル癖あり、借金を抱え込み、自らの仕事に疑念を持つ男が、同僚のストレスから自滅的な行動に出た姿を見て悶々と自問自答を始める。
その間に、あーなってこーなって大変なことに。

ただ、どうなんでしょうねえ。話はつまらなくはないんだけど、敵は外部にしかいないから、結局は他人事で本質的な葛藤には至らない。サスペンスものだったら攻撃されて必死!でオッケーになるが、そういう作りじゃないからなー。
ストーリーと表現とテーマがちぐはぐな感じがした。

結局、アカデミー賞を取れたのは助演女優賞のティルダ・スウィントンだけだった。彼女の受賞に疑問を呈している人もいるようだが、もし彼女が演じてなかったらただの「知的な悪女」(定番)になってた可能性あり。
企業の中の歯車の一つとして上司や雇い主の意を汲むことに汲々として膨大なストレスを抱えながら暴走していく人物をうまく演じていたと思う。それに私は、エキセントリックなキャラクターよりも卑小な凡人を演じる方が難しいというのが持論なのだ。

まあ、助演女優賞の他の作品をほとんど見ていないので断言は出来ないが、その資格は十分にあると言えるだろう。とにかく『アメリカン・ギャングスター』のルビー・ディーよりは出演時間が長かったのは確かよ(^O^)
それにしても、T・スウィントンを初めて見たのは今を去ること二十年以上前(?)『カラヴァッジオ』でだが、その時からあまり変わっていないのはスゴイ……お肌の張りの秘訣をぜひ( ^^)// プリーズ

その他どうでもいいこと。
*3匹の馬は、息子の読んでたファンタジー本に写真が載ってたらしい。全く気づかなかった。「なんか、つまらなそうな話。今時のお子様はこういうのが好きなのかしらん」なんて思ってたからか。
*燃えてる車に時計や財布投げ込んでもあまり意味がないと思うが(?_?) 代わりの死体でも放り込めば別だけど。
*予告でやってたけど宮崎アニメの『崖の上のポニョ』って、なんかヤバくないか? またぞろ2ちゃんあたりでアンチスレが燃え上がりそうthunder


主観点:6点
客観点:6点

【関連リンク】
《我想一個人映画美的女人blog》
写真多数あり。本国版のポスター?はバーバラ・クルーガー風でいいですな。

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2008年4月27日 (日)

「ブラックサイト」:気になるのは人間よりも猫だ

080426
監督:グレゴリー・ホブリット
出演:ダイアン・レイン
米国2008年

ダイアン・レインがサイバー犯罪班のFBIの捜査官に扮したサスペンスものである。
ヒロインの設定は夫に先立たれ、母親と小学生の娘と同居、娘のために夜勤を志願している。
で、途中で渋い中年の刑事(しかも独身ぽい)が登場するあたりで、これはP・コーンウェルの『検屍官』シリーズあたりのファンを想定して作っているんかなあ、と想像してしまった。

ネットの動画サイトを立ち上げ、誘拐した人を残酷な方法で公開拷問。しかもサイトへのアクセス数によってゆっくりと殺して行くという連続犯罪が勃発bomb
ここら辺の残酷描写は『ソウ』を意識しているもよう。
早速、ヒロインが解明に取り組むが、なんと犯人は早々に顔を出してしまうという展開だ。そうすると、犯人探しの謎解きはなくなって、動機と被害者たちの関連性しか物語を引っ張る要素がなくなっちゃうのであるよ。
また、犯人が家を盗撮する場面はハネケの『隠された記憶』っぽい。

彼女に対立する上司とか同僚とかは全くなし、強大な対立者が犯人しかいないというのも今イチ物足りん。
それにFBI内部の捜査の描写もかなりいい加減。だーって、会議室の巨大モニター見てワイワイやってるだけなんだもん。

あと、テンポがのろくてマタ~リしているのも欠点。『バンテージ・ポイント』並にチャカチャカ進んじゃう必要はないが、見ながら「このぐらいの話だと『クリミナル・マインド』(TVドラマ)なら一話45分で納めちゃうだろうなあ」なんて思ったのは事実である。
まあ、見ている間はそれなりに楽しめるというのと、ヒロインのD・レインが中年女の頑張りぶりを示す、というぐらいが取り柄だろうか。

動画サイトにつけられる一般ピープルのコメントが読めなかったのが残念であった。簡単な英語だけど早いからとても読めないのだ。まさに「便所の落書き」並みのことが羅列されていそう。
そうなると、劇場で見るよりDVDが出るまで待って、そこを一時停止にして解読しながら見た方がよかったかも知れない。(^^;)

あと気になったのはヒロインが飼ってた猫catがどーなったか。あのまま車に置き去り……ならまだしも、もしかして(>y<;)イヤーン

それから、インターネットでアクセス数によって公開殺人するというのは、実は既に十年も前にTVドラマの『ミレニアム』がやっている。確か第2シーズンの『ミカド』がそれだったはず。
ネット上に下着姿で椅子に縛られた女性の画像が公開されていて、口コミで「なんだなんだ」と伝わってどんどんアクセス数が増えていく。そしてカウンターがある数に達した途端、衆人環視の中で殺人が!(>O<)ギャ~~ッ--という次第。
あのエピソードは傑作でした。思えば、当時は私なんかまだパソ通をやっていた頃。時代の先を行き過ぎてたか。
今度FOXクライムで『ミレニアム』が放送開始のようなので、再見してみることにしよう。


主観点:5点
客観点:5点

なお2chの関連スレに、サイトのコメントが2ch風だったら--というのが出ていたんでコピペしておこう。爆笑です。
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硫酸捜査官
1 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:43:31.21 ID:C0lonNeLo
うはwwwwwwwヒドスwwwwww

2 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:44:37.52 ID:YA/MaTaKe
硫酸←これなんて読むんですか?

3 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:44:53.49 ID:RYoHEyhey
黙れゆとり

ダイアンの家盗撮シーン
1 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:43:31.21 ID:C0lonNeLo
なんぞこれ??

2 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:44:37.52 ID:YA/MaTaKe
幼女キタ━━━━('∀')━━━━!!

3 名無シネマ@上映中: 2018/04/10(木) 12:44:53.49 ID:RYoHEyhey
幼女はマズいだろJK・・・

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「ホビット」遂にキターッ

《allcinema》のニュースより、「『ホビットの冒険』映画化、ギレルモ・デル・トロ監督が正式決定」とのこと。

いや~、メデタイ \(^o^)/。
できれば脚本担当もデル・トロ監督でお願いします。いやもうホントに頼んますよ。pen

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2008年4月 9日 (水)

その後の「ノーカントリー」

自分の感想を書き終えて他のブログを読んでいたら、「どうしてこんな作品がアカデミー賞を取ったのか理解できない」とか「暴力的な作品が取ったのは初めてだ」なんてという意見を結構見かけてビックリ。
えええーっ!アカデミー賞って清く正しい映画にやる賞なんですか(^^? そんなことはねーだろう。

度々引き合いに出して恐縮だが、暴力度・凶悪度において全く引けを取らない『フレンチ・コネクション』が、当時のオスカーの王道部門をほとんど奪取している。だから、別に初めてでも珍しくもない。

アカデミー賞を『ノーカントリー』が取った理由の一つの推測として
*カンヌで賞を取れなかったから(コーエン兄弟はこれまでカンヌ映画祭で色々と貰っている)
--というのがあって、なんとなく説得力がある。「どれ、さすがに今度は取らせてやるべえよ」という感じだ。

あと、これは個人的な推測だがハリウッド雀どもはこういう
*ブラックで悪趣味なやつが結構好き
--なんではないかと思う。
監督兄弟だって、本当は現代社会批判なんたらよりも、まず殺し屋のキャラクターを面白がって作る気になったんじゃないの。

まあ、観た後も色々楽しめる作品なのは確かである。

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2008年4月 7日 (月)

「ノーカントリー」:死神(の影)を見た男の話

080407
監督:ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
出演:トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン
米国2007年

先日のアカデミー賞では最多4部門を獲得、今期話題度第一位の作品が他の受賞作の先陣を切って登場。私が見て回っている映画系のブログでも鑑賞率が抜群に高い。
さて、私はコーエン兄弟の作品については第一作の『ブラッド・シンプル』が今イチだったんで、その後映画館では見ていなかった。『ファーゴ』をレンタル屋で借りたぐらいである。

で、結論から先に言うと、かなり気に入った~(^-^)/

冒頭のテキサスの原野の荒涼たる広がり--美しくはないけど、寂寥感がドーンと迫ってくる。シネコンでは大画面の部屋でやってくれてたんで(客は十数人ぐらいしかいなかったが)その映像を堪能できた。こればっかりはTVモニターなんかでは感じられないだろう。
その後の、金を盗んだ男が現場で見つかって逃走する件りも、深夜から徐々に早朝へと空が変化していく様相をとらえてお見事。

三分の二ぐらいまでは200万ドル持って逃走する男と殺し屋の追跡と死闘が詳細にこれでもかっpunch状態で描かれる。また、この殺し屋が几帳面かつ偏執的で不気味なヤツ。
さらにツーテンポぐらい遅れて二人を老保安官が追いかける。
ところが残り三分の一では、肝心なところの顛末がハッキリとは描写されない。誰が誰を殺したのか?とか、そもそも金は一体どうなったのか?--よく分からない。とんだ肩すかしだ。最後まで見て怒る奴がいても仕方ないくらいだろう。
そして、唐突なエンディングに至る。
もっとも、その「省略」が逆に緊張感とスピード感と、そして荒廃した暴力を感じさせる要素でもある。

しかし、それらのエピソードの冒頭と結末をくくっているのが老保安官の語りである以上、この物語の主人公は彼ということになるだろう(画面占有率は低いにしても)。
彼は捜査官としてプロファイラー的な面も持っていて、殺し屋と同じように牛乳を飲んで同じ椅子に座って、一度も会っていないにも関わらずその本質を見抜く。
恐ろしい暴力の連鎖に、昔はこうではなかったと彼は嘆くが、しかし1909年のやはり陰惨な事件の話が途中で語られるからには、その暴力性は連綿と過去から受け継がれてきたものに他ならない。

最後の彼の夢の話には色々な解釈があるだろうけど(観た観客の数だけ)、私は死への諦念だと解釈した。彼は死の尾の長い一端がかすめ去っていくのを目撃したのであろう。

それと同時に感じるは、金dollarの恐ろしさよ。冒頭、200万ドルの札束を見て男の人生は完全に狂い、終盤では500ドル札一枚によって少年は急にがめつく変貌する。まるで伝染病のようである。


他に特筆すべきなのは、音の使い方がコワイ(>ω<)ということ。あのボンベのスコーンという音やら、殺し屋の靴下だけで歩く音、さらには深夜のホテルにこだまする電話のベル……。

かように映像も音響もセリフも練り上げられていて、しかも中心人物を演じる3人の役者の演技は見事だし(ウディ・ハレルソンだけは高速で通過してったが(^^;)、その上に今日びの映画にしては珍しく不親切な描写が多くて、どれかの要素に気を取られてると別の方がお留守になって大事なことに気づかずに過ぎてしまう可能性が大。一瞬も気を抜けない。
ということで、見逃した部分をチェックするためにDVDが出たらまた見てみることにしよう。

ネット上の感想は賛否両論だが、ほめている人でもその解釈は千差万別。『パンズ・ラビリンス』ほどではないが、いかようにでも解釈が可能な作品なのだろう。
私が観ていた時にはカップルが数組いたが、金曜の夜のデート・ムービーとしては最悪じゃないの。二人とも映画ファンでない限り避けるべしよ。


主観点:8点(私の方の集中力が切れてたんで)
客観点:8点


【関連リンク」
《★YUKAの気ままな有閑日記★》
私も最後の夢の話をボーッと聞いてたんで焦りました。後で必死に思い出そうとしたりして。似たような人が結構いたんだと分かってホッとしちゃったぜい(;^_^A

《古今東西座》
いくつか殺し屋の似顔絵を描いていたブログがありましたが、ここのが一番雰囲気が似ていて笑えました。なんかボ~ヨ~としている所かな。

《ノラネコの呑んで観るシネマ》
当時の社会的背景が分かります。

《ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記》
保安官の夢の意味の解釈あり。完全ネタバレなので観賞後に見ましょう。

【追加】
《キネマ徒然草》
読むと、この映画に関するモヤモヤした感じの一端がハッキリしたような気になりました。私も9点をつけるところまでは行かず……。

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2008年4月 1日 (火)

買っちゃったんですけど

朝起きて、ボーッとニュースを眺めてたら「問題作『靖国 YASUKUNI』次々と上映中止で東京公開断念に…」だと--。

え゛~~~っcoldsweats02聞いてないよ!
早く言ってくれい。

 前 売 り 券 買 っ ち ゃ っ た よ (\_\;

それもおとといの事ですよ。どうせなら、前売券売る前に決めてくれー。(そういう問題か(^^;)
政治的な話よりも「変な人がいっぱい出て来る映画」で面白いとまず聞いて、見たいと思ったんだけどねえ。『太陽』の上映時も、妨害が起こるとか言われてたが結局何も起こらなかったじゃないの。
秘密上映会secretでもやってくれんかしらん。
看板は『犬と私の10の約束』だが、実は……とか。

【関連リンク】
《Apes! Not Monkeys! はてな別館》より「[文献紹介]『靖国』李纓監督インタビュー」

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2008年3月31日 (月)

「アメリカを売った男」:ベテラン二人に挟まれちゃ若いモンもキビシイのう

080331
監督:ビリー・レイ
出演:クリス・クーパー、ライアン・フィリップ
米国2007年

主人公は下っ端の若きFBI捜査官。いきなり上司に呼ばれてナンジャラホイ?と行けば、ベテラン捜査官ハンセンの秘書役になってその男の監視をしろと言われる。
出世のチャンス、ヤッタネscissorsと意気込んだ主人公であったが、どうも実際のハンセンを観察しているとなんだか話が違うような……(?_?;

その男が長年に渡りソ連&ロシアのスパイだったことは実話であり、実際のニュース映像によって冒頭から明らかにされてしまっている。しかも、それは2001年というまだ記憶に新しい時期だ。
よって、ストーリーの中心はいかにその正体が暴かれたのか、ということと、ハンセンという不可解な男の人物像を描くことである。

不在時を見計らって部屋を家捜ししたり、自家用車を分解するところはドキドキしちゃう。事はスパイ問題なんで主人公はヨメさん(美人heart01)にも明かせず、夫婦仲も危機状態。おまけにハンセンはカトリック同士ということで色々と宗教関係から家庭の問題まで口を突っ込んでくるし、上司からは「しっかりせい」と尻を叩かれるし、困ったもんだ。

そもそも、スパイ物というのは辛気くさいものだが、この作品もやはり非常に辛気くさい。
主人公のウツウツたる悩みはもちろんだが、ハンセンという男という存在自体がどうにも辛気くさいのだった。
結局、最後までこの男の二面性は解明されない。そのヌエ的な人物をクリス・クーパーを巧みに演じている。もう、彼の独壇場と言ってもいいくらいだ。もっとも、オスカー俳優としてはこんなのお茶の子サイサイなのかも知れん。

一方、彼に敵愾心を燃やす主人公の上司役にローラ・リニー。こちらもオスカー候補の常連である。額の辺りに長年の恨みと疲労が蓄積されている様子がまたうまい。
このようにベテラン役者二人に挟まれては主人公役のライアン・フィリップ、ちょっと歩が悪い。物語の役どころ同様、今ひとつパッとしない印象なのであった。

かくして辛気くさいまま作品は終了するのであった--end

監督(兼脚本も)は『ニュースの天才』の人だと後から知った。どうもこういう年輩のベテランと若造が対立する話が好きなようだ。

字幕が一部意味不明の所があった。主人公が夜にL・リニーの上司の自宅へ行った時に、洗濯物を片付けながら「猫も飼えずに……」とか喋るのだが、そこのセリフの繋がりがよく分からなかった。それともボーッとしてたからかしらん。

本筋とは関係なく、同じキリスト教でもプロテスタントとカトリックではかなり違う様子が分かったのは興味深かった。

先日、ケーブルTVで『マイアミ・バイス』を見てたら、C・クーパーがあっという間に殺されてしまう役で出演していてビックリ。しかもギャングの情婦役にはジュリア・ロバーツまでも! いやはや、皆さんこういう下積み時代を経験して、今の地位があるんですなあ。(*_*;


主観点:7点
客観点:6点(地味でも辛気くさくてもいいという方にはオススメ)


【関連リンク】
《HODGE’S PARROT》
やはり宗教的背景の理解が必須のようです。

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2008年3月30日 (日)

「ライラの冒険 黄金の羅針盤」:華麗なる総集編

080330
監督:クリス・ワイツ
出演:ダコタ・ブルー・リチャーズ、ニコール・キッドマン
アメリカ2007年

原作の三部作は刊行当時、リアルタイムで読んでいた。それがある意味、祟ったわけだが……。

適材適所、というかキャスティングは全くピッタリ。ニコール・キッドマンのコールター夫人は超はまり役、出番は少ないけどダニエル・クレイグのアスリエル卿も良し、サム・エリオットのリー・スコーズビーは一番カッコエかった。魔女のセラフィナ役のエヴァ・グリーンもピッタシはまっていた。
それから驚異の子役、ヒロインのライラ役ダコタちゃん。末恐ろしい新人--と言いたいところだが、子役は成長してから後が大変だからねえfoot ま、余計なお世話ですが。

さて、こうしたキャスティングでいかにも期待は高まった訳だが、実際見てみるとやはりあの分厚い長編をまとめるのは無理だったのか。どう見ても「総集編」としか思えなかった。
色んなキャラクターが次々登場するストーリーはCG全盛時代に向いているかと思ったんだけど、これだけたくさん出てくるともう各キャラクターが現れたかと思うともう次の場面へ転換 soon みたいな感じで、すぐに消えてしまうのであった。

おまけに、結末はこんなだったかなーと首をひねっていたら、やっぱり原作よりも前の所で終わりにしたらしい。
見せ場の終盤の戦いが、画面暗くてよく分からないのは何故? 年齢制限に引っかかるからハッキリ見せたくなかったからとか(?_?;

という訳で、全体としては様々なキャラクターが現れては消えて忙しくカシャカシャと展開する、まるで総集編のようだった。しかも「次回に続く」みたいに終わったんじゃどうしようもない。(米国などでの興収はあまり良くなかったのとのことで、ホントに続編ができるか不明)


さて、原作についてだが、第1部は面白く読んだ。しかし続きの2部・3部の展開がどうも気に入らなくて結局好きにはなれなかった。おまけに、刊行の間隔が長くって、次の巻が出た頃には前の話を忘れてしまったりとか(^^ゞ
それと、キリスト教の教義の根幹に関わる問題が後で出てくるのだが、信者ではない私にはどうにも難しくて理解しにくいものであった。

映画のライラについて「好きになれない」という感想をいくつか見かけたが、原作のライラなんてもっとイヤな娘っ子だぜいangry

さて、果たして続編は作られるのか。ストーリーよりそっちの方がドキドキするぞ。


主観点:6点
客観点:6点

【関連リンク】
《有閑マダムは何を観ているのか?》
この映画の欠点について的確な指摘あり。教会の抗議運動についてもふれられています。
うーむ、第1部はあまり大したことないんですよねえ。むしろ、後で明らかになるヒロインの「正体」こそが大問題となるわけで。ただ、作者が現実の教会を虚構に仮託して批判しているのは確かでしょう。

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迂闊であった

《allcinema》より、ニュース欄に「諸星大二郎原作不条理コメディ「栞と紙魚子の怪奇事件簿」のDVD発売が決定。」とあるじゃにゃあですか(!o!)

え~~っdash全然知らんかった。こんなのやってたんですか。

段一知の奥さんはどうしたんだろ。声だけで登場かしらん。
それにしても肝心のヒロイン二人がどう見てもフツーの女子高生に見えるが、私の視力が落ちたせいかな(^^?
080329b


←こちらは原作。リンク先のパッケージ写真とお比べ下せえ。

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2008年3月22日 (土)

「裏切りの闇で眠れ」:電動ドリルと前歯がコワイ

080322
監督:フレデリック・シェンデルフェール
出演:ブノワ・マジメル、フィリップ・コーベール
フランス2006年

正直に言おう。
いや~、詰まんない映画だった! \(^o^)/

あ、顔文字間違えちゃったよ。正しいのはこっち→ (*`ε´*)ノ☆

ノワールものだっつんで見に行ったんだけど、なんだかストーリー展開がモタモタしていて、描写もダラダラしているし、何を描きたいんだかさっぱり分からず。
久々に観ている間から退屈を感じてしまった。107分だから、今の長尺流行りの中では長くないはずなのに、途中で「まだ続くんかなー」なんて思ってしまったのであった。

中心人物は二人。一人は裏社会でどこの組織にも属さず親友と共に稼業を続ける男フランク。もう一人はマフィアのボスのクロード。
このボスは、身内の不始末やら提携関係にある(?)グループの仲間と関係やら、上納金を払わない店の対処やら、愛人の愚痴やら様々な雑事が大変--てところはTVの「ソプラノズ」みたい(あんな笑えるわけではないが)。マフィアのボスもつらいよ、である。
で、こいつが「おれは人を見る目がある」なんて有能なフランクを気に入っちゃって、仲間にしようと誘うわけだが、最後にこのボスは人を見る目がなかったことがハッキリする--ってのが、話のメインというわけでもない。なんなんだ(^^?

で、ボスの不在時に手下共が仲間割れして不条理な殺し合いに突入するのだが、その間にフランクは日和見主義で状況を窺う。--というか、彼はいてもいなくてもストーリー上はほとんど関係ないような役柄なのだった。(他のネット上の感想でも同意見をいくつか見かけた)

なんだか全体的にスケールが小さい印象で、仲間うちの抗争もまるで6畳ぐらいの部屋の中でやってる感じだ。殺し合い自体はまさしく「仁義なき戦い」なんだけどさ。
監督はマイケル・マンのファンでもあるらしいが、確かに駐車場での撃ち合いは『ヒート』を思い出させるが、結局のところ先達の監督たちの偉大さを再認識するだけの結果となった。
やはり、今後のノワールものは香港に期待するしかないか。

ボスのクロードは少しジャック・ニコルソンに似ている。ハリウッドでリメイクするならピッタリでしょうな。となると、フランクはマット・デイモンかディカプリオあたりですか(^^;
ベアトリス・ダルはスクリーン上で初めて見たが(多分)、あの前歯でずっと女優業やってきたのか? スゴイなあ……typhoon

残酷な場面多し(R-18はそのためか)なので、『スウィーニー・トッド』の血しぶきぐらいでキャーとか言ってる女子には向かないだろう。ブノワ・マジメルのファン以外にはお薦めしない。そのせいか、観客は男ばっか。あとはカップルが少しぐらい。
電動ドリルが出てきた時に、てっきり私は男の一番大切な所を直撃するのかとドキドキしたが、さすがにそうでなくてホッとした。しかしその直後に○玉えぐり出し場面(←この書き方だと誤解されるか?)が来て、オヨヨwobblyであった。

唯一の成果は、欧州統合によって国境の壁も消え、ヤク、武器と並んで「女」がまさに換金可能な「ブツ」として裏社会を流通しているというのが分かったことだった。旧東欧諸国や紛争地帯からいくらでも流れ込んでくるんだねえ。
世も末であるよ( -o-) sigh...


主観点:4点
客観点:4点

【関連リンク】
《ドラゴン藤井の馬耳映風》
似顔絵が笑える。

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2008年3月21日 (金)

「バンテージ・ポイント」:ここで問題です。シークレット・サービスとテロリスト、凶暴なのはどっちでしょう。

080321
監督:ピート・トラヴィス
出演:デニス・クエイド
米国2008年

スペインでの国際会議に出席中に米国大統領暗殺! こりゃ大変だ~dash
で、予告やチラシの「目撃者は8人。8つの異なる視点から見たものはくい違う」なんて宣伝文句からすると、8人の証言を突き合わせると意外なる真犯人が出現--なんて社会派サスペンスかと思ったんだけどね……。

全然違った(+_+)

登場人物みんな立場や目撃場所が違うんだから、見ているものも違って当然。それをいちいち同時刻から巻き戻してそれぞれの話を繰り返していく。で、それがまたTVの『24』の手法を真似たみたいなのだ。
最初はシークレット・サービスや観光客の立場から見ているからこそワケ分かんないけど、犯人側の立場から描写すれば真相が明らかになるのは当然。以前、日本映画の『運命じゃない人』という作品では、人物の視点が変わったらあっと驚く新事実が出てきてビックリ(!o!)状態になったんだけど、こちらでは全くそんなことなし。
しかも、TVディレクター役のシガニー・ウィーバーなんて出演時間が予告と大して変わらないで消えちゃう。これを詐欺と言わずしてなんと言おう。

で、一通り「巻き戻し」が終わったら後半はヤケクソとしか言えないようなカーチェイスに突入するのであった。

結局、スペインの私服刑事は単に利用されただけだったのか?よくわからん。
「意外な犯人」がどうしてそんなことしたのか全く背景説明なし。これまたよくわからん。

それにしても、W・ハートの大統領は他国との融和協調路線を口にしていながら、米国のシークレット・サービスはスペインの市街で発砲、傷害・殺人、車の強奪&暴走運転……とやりたい放題。これだから嫌われるんだって(~_~;)

というわけで、『エリザベス』に続くスペイン国辱映画となった。立て!スペイン国民よ、応援するぜpunch


主観点:5点
客観点:6点(『24』のファンにはオススメする)

【関連リンク】
《映画と出会う・世界が変わる》
「長い予告編」というのは正にその通り。心の中でモヤモヤと感じていたことをよくぞ言葉にしてくれました。最近のアクション物はみんなそんな感じだよねえ(x_x)

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2008年3月16日 (日)

「ラスト、コーション」:R-18の真の意味は

080316
監督:アン・リー
出演:トニー・レオン、タン・ウェイ
中国・米国2007年

最初は全く見る気がなかった。というのも、『ブロークバック・マウンテン』みたいに完全恋愛モードだとチト苦手(^^;)なんでパスしようと思っていたが、こちらのブログを読むとえらく面白そうではにゃあですか。
確かにアン・リーの監督作品を顧みれば、『楽園をください』なんて南北戦争を背景にして暴力と内ゲバの嵐を描いた作品もあったなあと思い出して、思い直して急きょ見に行くことにした。

平日の午後に仕事が早く終わったんで行くと、なぜか普段は映画館で見かけん定年退職寸前みたいな年齢のサラリーマン風の男性が目立つ。もしかして年齢制限R-18場面を期待してか??
さらに、タイトルの「ラスト」とはLastではなくてLustだと本編が始まってから気がつく。なるほど……eye

舞台は1939年(?)の香港と1942年の上海。
香港で学生だったヒロインは血気にはやった学生運動の延長みたいな感覚で、仲間と日本の傀儡政府下で重要な任務を果たしている男の殺害計画をねり、有閑マダム風に装って接近。しかし、寸前のところで男は急に香港から姿を消してしまったのであった。
で、数年後の上海でヒロインは本物の抗日組織から声をかけられて再び男に接近する任務を追う。

冒頭、男の妻(ジョアン・チェン、久しぶりに見たがフケましたなー)とその友人のマダムたちとの麻雀からして、ただならぬ緊張感。私は麻雀をやらないのでよく分からないが、卓上の牌、マダムたちの会話、さらに視線の絡み合い--いずれも本心を表わさず、全くそれぞれに裏腹な動きをしていて何かを語られざるものを語っている。
その緊張感は最後まで続く。何がどうなるのか最後までハラハラしっぱなしだ。

しかも、衣装、小道具、背後に流れる音楽、そして上海の街並(セット?)も素晴らしい。外国人が行き交い、東西の文化が混ざり、モダンにして活気があるが日本軍占領下にあって退廃の淵に沈んでいる都市の姿が描かれている。

でもって評判となったベッドシーンは、久々にボカシかかりまくりの映画を見た~という感じ。若いモンならともかく、よい子ならぬよい年寄りは絶対真似してはいけません(ぎっくり腰の危険性大)シーンの連続でエロさ爆発だいっ。
が、ここにも男とヒロインの裏腹な心情と思惑が複雑に交錯している。この点においては麻雀卓上もベッド上も全く同義のようである。

それにしても、香港でも上海でも正義を声高に語り、彼女に色仕掛けを押しつけていながら、いざその話題を実際に持ち出すとオロオロしたり怒り出したりする同志の男たちのみっともなさよ(x_x) どうにかしてくれい。

終盤の展開については、一番感じたのは宝石って絶大な効力があるんだなあ~ringということ。女心をとろかすってわけですか。その方面にはあまりキョーミのない私には一種オドロキである。……いや、私は現金でも商品券でも貰えるもんならいつでもなんでも歓迎ですよ、ハイ。 \(^o^)/

また、毒薬についての顛末は色々と解釈できるだろうが、彼女は最後の「一戦」を挑んだのだと解釈した。男が反日分子を尋問する担当だと知っていたのだから、当然取り調べに来ると思ってたはずである。
で、結果は……女の「不戦勝」だったわけだ。

ヒロイン役のタン・ウェイは新人だそうだが、眼力に並々ならぬものあり。圧倒されちゃう。学生時のスッピン顔、マダム時の濃い化粧顔ともにキレイ。今年の新人賞は早くもキマリであろうか。

さてもう一つこの映画において特筆すべきは、日本人の姿である。物語はすべて中国人同士で展開し、個人の日本人は関与しないのだが、占領者として垣間見えるその姿の描写は極めて突き放した客観的なものである。
そこにあるのは憎悪でも怒りでも軽蔑でもましてや恐怖でもない。透徹した近代的知性によって描かれるのは、ただただ決定的に「他者」として存在している日本人である。何ら感情的なものが一切介在しない絶対的な他者--それを見据える冷徹な視線があるだけだ。一体、いかなる日本人がこのような視線に耐えられるだろうか?

で、日本軍将校が日本風料亭で宴会やってる場面には笑ってしまった。だーって、半世紀以上も前に他国の地で、今と変わらぬ宴会のバカ騒ぎをやってんだもん。もしかして、アン・リーは来日した時に駅前によくある居酒屋チェーン店に行って観察したんじゃないかと思っちゃうぐらい。いと恥ずかし(>_<)
もしかしてR-18に指定したのは、エロい場面よりもこの醜悪な日本人の過去場面を今どきの若いモンに見せたくなかったからじゃないのかね。そう邪推したくなっちゃうよ。

しかし、この作品が完成度が高いことはみとめるが、だからと言って好きかというと……ウ~ン、テーマ的には難しいところである。ということで、以下のような点数となった。


主観点:7点
客観点:9点

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2008年3月12日 (水)

「エリザベス:ゴールデン・エイジ」:女王様と北島マヤの共通点は

080312
監督:シェカール・カプール
出演:ケイト・ブランシェット
イギリス・フランス2007年

先日、わたくし美容院に行きましたら美容師さんが「週刊王朝女性」を持ってきてくれましたの。表紙にデカデカと「イングランドのエリザベス対スコットランドのメアリー・スチュアート、対照的な女王の生き方、あなたはどっちを支持?」なんてあるじゃありませんか。で、巻頭カラーページはエリザベス女王様の華麗なお衣装の数々--わたくしウットリながめてしまいましたのよ。
教会、舟遊び、謁見、そしてジャンヌ・ダルクもかくやと思える凛々しい鎧姿……でも、女王様ったら上背があって大変プロポーションよろしいからお似合いになるのよね。うらやましい限りですわ。

かと思えば「英国婦人の友」誌には「スペインの卑劣な挑発に対する私たち婦人の心構えとは」という特集があったり、「各国王族イケメン度判定~女王様にふさわしいお相手を探す」なんて肖像画付き一覧表もあって、これまた面白うございました。

それで、わたくし美容院帰りに駅の売店でつい普段は手にも取らない「日刊倫敦スポーツ」を購入してしまったんです。だーって「ワイルドな海賊男があの堅物女王を篭絡!夜な夜な寝室に出入りを目撃される」なんて見出しがデカデカと出ていたんですもの。でも買ってからよくよく見たら「篭絡!」の後に小さい文字で「か?」と付いておりましたわ。少しガッカリ。

ですから、わたくし一旦入った寝床からゴソゴソ這い出して、深夜までやってる書店に向かいました。そこでゲットしたのが「宮廷ウワサの真相」。で、やっぱり期待通りありましてよscissors「宮廷記者匿名座談会」に。

A「女王と言えば、最近海賊のW・Rにご執心だそうだな」
B「ああ、あのワイルドさがウリの--。女王の前の水たまりに自分のマントを広げたってヤツだな」
C「うひょー、そりゃちょっとカッコつけ過ぎやしないか」
A「それで、もう女王の寝台まで一直線に通行許可が降りたとか(笑)」
D「いやいや、宮廷スズメたちの間では実はW・Rには別のお目当てがあるという事になってるらしい」
B「えっ、そりゃ大変だ。相手は誰なんだい」
D「まだ、秘密だけどね。やっぱり男としては自分より地位が高い行かず後家よりも、若いムスメっ子の方がいいに決まってるさ」

わたくし、ここまで読んで女王様が可哀想で泣いてしまいましたわ。sweat02だって、いくら絶大な権力を得ていても愛する男の心をゲットできなければ、女としては何の意味もありませんものねえ。ズズーッ(鼻をかむ)

それにしても前作『エリザベス』よりはや十年。演じるケイト・ブランシェットも貫禄充分となりました。監督の方は……鳴かず飛ばずみたいだったようですけど(;^_^A
今回の続編も、派手な海戦場面を期待していた殿方には残念でしたが、わたくしは豪華なドレスや重厚な背景(本物のお城も使ってましたわよね)に心奪われましたわ。この点では十分満足いたしました。

でも、やっぱり物足りないのは2点。
まず、エリザベス女王様ったら芸術のパトロンとして、その治世の下で文化の花が開きまくったんじゃありません? それなのにこの方面に関してはついては何一つ描写がなかったこと。身内の権力闘争と対外的な戦争ばかりじゃ詰まりませんこと。

それからそもそも物語として、地位を得て安定期に入ってしまった人間の話というのは今一つスリルが足りないということでしょうかしら。『ガラスの仮面』だって北島マヤがどん底から這い上がる過程の部分が一番面白いですもんねえ。やはり守りの姿勢というのはつまらないものだと、わたくし思っちゃうんです。

ちょっと疑問だったのは、この映画はスペインの扱いがひどくて描写も最低、彼の国では抗議が起こらなかったのかってこと。もしスペイン版2ちゃんねるがあったら、きっと嫌英厨が一日100スレは軽く消費して「エリザベス逝ってよし」とか「英国に神罰下りますた(w」なんて書込みだらけになるはずでしてよ。

それと、なんで女同士のシスターフッドというものは男が一人出現するとあっけなく崩壊してしまうのかしらん。ホモソーシャルな男同士の絆の方は、女というのはより絆を強固にする仲介物なのに、ですわ。
まあ、こればかりはゴシップ週刊誌ではなくてフェミニズム本でも読んで研究した方がよろしいかも知れませんわね。


主観点:6点
客観点:7点

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2008年3月 2日 (日)

「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」:ハサミをカミソリに持ち替えて誓う永遠の愛を~

080302
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター
米国2007

言わずと知れた有名ミュージカルの映画化。しかし、私はこれまでスウィーニー・トッドが元々都市伝説だったとは知らなかった。さしずめ人肉パイは猫○ハンバーガーと似たようなもんだろうか。
それにしても、食品の安全が問題になっている昨今、観ていて恐怖が倍増することは間違いなし!コワイよーん(-o-;) 是非、この時期の鑑賞をオススメしたい。

ジョニー・デップが白塗りメイクで黒服着て、陰鬱な表情でウロウロして、さらにカミソリを両手にかざせば、あら思い出すのは『シザーハンズ』じゃあーりませんかhairsalon
まさしく、今回もテーマは同様。復讐のために戻ってきた男がその怒りを無辜の民に転化して殺しまくる揚げ句、遂には愛する者を手にかけてしまうのである。
元舞台は3時間あるそうだから、やはりそこに焦点を絞って映画化したんだろうと推測しちゃう。若いカップルの描写についてはあまり熱が入ってなかったような……(^^;

モノクロ画面に血がドバーッと噴出場面が頻発、血に弱い方にはオススメしないが、その画面を覆う美意識はさすがバートン監督としか言いようがない。とりわけ銀色に鈍く輝くカミソリはウットリするほどキレイ。
あと、階下の床に死体が頭を下に落下してグキッと衝突するのは悪趣味でよろしい。

J・デップの歌が結構なレベルだったのは驚いたが、総合点ではH・ボナム=カーターの方が頭一つ上だった印象。アラン・リックマンも上手ではないけど頑張っていたようで。でも歌については一番上手かったのはボーイ・ソプラノの少年だろう。
オーケストレーションは元のミュージカル通り?それとも映画用なのだろうか?これも人物の心情や場面を巧みに表現していてよかった。

レディース・デーに行ったんだけど、女一人客よりカップル客がほとんどだったのはチト驚き。ティム・バートン映画がデート・ムービーになるとは--世も末だってことですかねえ。


主観点:8点
客観点:8点

【関連リンク】
《映画のメモ帳+α》
この作品の背景が分かります。

《ようこそ劇場へ! Welcome to the Theatre!》
舞台との違いについて。

《エンターテイメント日誌》
バートン版が完成するまでのエピソードなど。
アラン・リックマンの「悪役・ターピン判事がキリストに懺悔しながら自分の体に鞭打つ場面」を是非見たかったなあ~。さぞリックマン、嬉々としてやってくれただろうと想像しちゃう(ウットリ)。

《おたくにチャイハナ》
長年バートン・ファンであるしのさんの感想。

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2008年2月23日 (土)

「団塊ボーイズ」:ハリウッドの底×を見た!

080223
監督:ウォルト・ベッカー
出演:ジョン・トラヴォルタ、ティム・アレン、マーティン・ローレンス、ウィリアム・H・メイシー
米国2007年

メタボリック症候群が最近とみに気になる四人の中年男--邦題は「団塊」になっているが、実際にはもっと下の40代(まだ小学生の子どもがいる)--が仕事や家庭でうまく行かない憂さ晴らしにバイクでアメリカ横断の珍道中へ出るという話。
予告や紹介番組でもバカバカしくて面白そうだったんで、急きょ見に行ってみた。

が、「中年男たちがバイク旅に出る」……本当にそれだけだった。それ以外のものは何もなかったのである!
そして、面白い場面は全て予告でやってしまっていた(!o!) なんてこったい。
最後に登場する「あの人」だけがウリですかい。オーマイガ~~ッshock

ギャグはヌルい下ネタが多いし、今ひとつテンポは非快調。ドラマ部分も人物の葛藤もほとんど大したもんはなし。懐かしのロック曲が使われているが、単に使われているだけのこと。題材は中年オヤヂ向けだが内容水準的にはお子様からご覧になれます、というようだ。

正月にDVDで『ナイト・ミュージアム』を観た時にも思ったのだが、近年のハリウッド製娯楽映画の水準低下をヒシと感じさせるものだった。ハリウッドの底を見せつけられたぜいっ!

ただ、レイ・リオッタの悪役バイカーの親玉は迫力充分でコワかった。問題はこんなおバカ映画で観客ビビらせてどうするんだってことだが。
唯一、メタボ症候群に関係ない体型のウィリアム・H・メイシーはヲタクの独身エンジニア役で笑わせてくれる。なぜか、彼のみが裸の尻を見せるのだが--他の奴はどーしたと問い詰めたいところだ。彼のファンなら見に行っても損はしないだろう。

エンド・クレジットの背後でやっていた「家をプレゼント」とかいうのは実際のTV番組のパロディなんだろうか?

映画館は最近できたバルト9で単館上映状態で、初めて行ってみた。新宿のマルイの上階にあるシネコンだが、こぎれいでアベック(死語)で満員。まあ、単館作品の時以外は縁がなさそうだ。


主観点:4点
客観点:5点

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2008年2月20日 (水)

「ヒトラーの贋札」:収容所の中の中

080219
監督:ステファン・ルツォヴィツキー
出演:カール・マルコヴィクス
ドイツ・オーストリア2007年

ナチス・ドイツがポンドやドルの贋札作って敵国経済の撹乱を図る……なんてことが、ホントにあったんかい(?_?)と、思っちゃうが実際にあったらしい。
ということで、実話に基づく映画なのである。
しかも、作らせるのはユダヤ人のデザイナーやら技術者やら銀行家やらで、人件費はタダというお得さ。彼らも地獄の収容所