「マエストロ:その音楽と愛と」:悩み相談・妻が段々コワくなっていきます。どうしたらよいでしょうか?
監督:ブラッドリー・クーパー
出演:ブラッドリー・クーパー
米国2023年
ネトフリ配信前の劇場公開で鑑賞。
レナード・バーンスタインの半生を描いた作品ということで、クラオタな方々の間で話題沸騰💥……というようなことはなくて一部の映画ファンがザワザワしていたようだ。なにせプロデューサーにスコセッシやスピルバーグが入っている。
さらに直前には監督・主役を兼ねるB・クーパーの付け鼻が「いくらユダヤ人が鼻が大きいといったって大きすぎでは」と批判されたというどうでもいいニュースまで流れた。
実際見てみるとバーンスタイン像のうち「音楽」は2ぐらいで「愛」が8くらいの割合を占めている。よって彼の音楽家としての活動をよく知っている人が見るのが前提だろう。何も知識のない人が見たら、多分「音楽の偉い人」としか思えないはず。
妻とのなれそめとその後の結婚生活の紆余曲折を描いたといっても、妻の方は女優としてのキャリアを放棄したことについて不満を持っているのかどうかまず不明。子どもができてスターの妻として彼を支えてどう思っているのか。「浮気」については出てくるけど不和の原因はそれだけだったのか。
その根本のところがはっきりしないので「なぜか妻が段々コワくなっていく」という不条理な話になっちゃう。バーンスタインの方の事情も曖昧な描写なので判然とせず。
結局のところ夫婦の出会いといさかいに終始した印象だった。ドラマとして見ていて面白いかというと、観客それぞれというしかない。
まあ子どもたちが本作を全面支援しているようだから仕方ないのかね……。
美しい映像や凝った構図、面白いカメラワークには目が奪われる。巨大「スヌーピー」の出現するタイミングに驚いたり。でも前半モノクロで後半カラーにした意図は不明だ。いや、意図はあるんだろうけど効果的なのかは疑問である。
ブラッドリー・クーパーのソックリなり切りぶりは迫力である。監督・主演だけでなくさらに脚本・製作にも入っているという大活躍だ💨 妻役のキャリー・マリガンはキュートかつ怖いが果たしてオスカーにノミネートされるほどだったかはどうかな。
メイクアップはソックリぶりを助けるだけでなく、高齢になってからのシワやシミの作り込みも力業である。オスカーのメイクアップ&ヘアスタイリング部門候補も納得の出来(獲得はできなかったが)。
上映が終わった後に数人の女性客が、最後に登場する(エンドロール中に)指揮場面は本人かどうかでさかんに議論していた。
あれは本物の映像でしょう。まあそんなに分からなくなるほどにクーパーがそっくりだったというわけだ。
もう一つ印象に残ったのは喫煙場面がやたらと多いこと。みんなタバコ吸いまくっていて、それこそキスする時も吸いながらなのである。食卓で食事しながらも当たり前だ。確かに昔はみんなどこでも吸っていたが、いくらなんでもここまでやるか💀だ。
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