古楽

2019年11月13日 (水)

「ミューズの力 恋する女性たち」:通底弾けば鐘が鳴るなり聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モン

191113 フランス・カンタータの世界
演奏:クレール・ルフィリアートルほか
会場:石橋メモリアルホール
2019年10月20日

ル・ポエム・アルモニークで活躍してきたソプラノ歌手クレール・ルフィリアートルを迎えて、フレンチ・カンタータに登場する女性を浮かび上がらせる。
日本側の奏者は寺神戸亮、上村かおり、前田りり子、曽根麻矢子という布陣である。

リュリの「町人貴族」で開始で、前半一番盛り上がったのはモンテクレールのカンタータ「恋の繰り言」であった。レチとアリアの繰り返しの中に恋する女の激しい感情の波が浮かび上がる。

後半では終盤の二曲続けて、クレランボーの「メデ」とカンプラの「アルテ」から、で最高潮になった。扱っている神話は異なるものの、「最愛の者を手にかけざるを得なかった悲劇の女性」が主人公である。

ルフィリアートルの歌唱は怒濤のように全てをさらけ出すというのではなく、抑制された中に感情を表現しているようだった。このジャンル特有の甘美なる哀しみが存分に味わえた。
バロックの修辞や装飾法などは素人なのでよく分からないが、フランス語歌曲の美しさはさすが本場の人は違う✨と感じた。アンコールはランベールだった。

当時の器楽曲も交互に演奏された。一番の聴き応えはやはりマレの「聖ジュヌヴィエーヴ・デュ・モンの鐘」だろう。寺神戸亮のヴァイオリンは「メデ」でも活躍、「飛び回れ、悪魔よ♪」という一節では見事に悪魔を飛び回らせていた。


全くの余談だが、会場の入口に「ぶらあぼ」が山になって積んであったので「おっ、最新号🎵」と思っていそいそと貰った(毎月18日に発行)。そうしたらなんと先月に出たヤツだった。もう最新号出てるのに~。
私以外にも数人だまされて持って行った人がいたようである。

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2019年11月 8日 (金)

「テレマン ベスト・オブ・トリオソナタ」:タテ笛奏者百人に聞きました、あなたの好きな作曲家は?

191108 演奏:レ・タンブル&ハルモニア・レニス
会場:近江楽堂
2019年10月8日

二つのグループ合体(計5人)コンサート、前回はシェイクスピアがらみで、今回はテレマン尽くしである。本当は小金井のホールでイタリア・バロック特集をやったのだが、残念ながらオランダ・バッハ協会と重なってしまい、こちらの方になったのだ。(小金井宮地楽器ホールってまだ行ったことないから生きたかったのよ(+_+)トホホ)

この合体グループの特徴は鍵盤弾きが二人いて、チェンバロ二台にさらに片方はオルガン重ねだから三倍の迫力である。あと、前回もやっていたのをさらに進化していたのが木製の特設演奏台だ。
詳しくはU岡氏のブログに写真が載っているが、客席からだと「高い台上で三人演奏してるな」としか見えなくて、詳しい構造はよく分からない。写真で見るとこんな所でよく演奏をしたものよ--と思うのは確かだ。
この秘密兵器によってガンバ、ヴァイオリン、リコーダーの音響がより豊かになるのであった。

様々な楽器のために多彩な曲を書いたテレマン、曲ごとに編成を頻繁に変え、それぞれ楽しむことができた。中には、二人が一つのオルガンを弾く「4手のためのフーガ」なんてのもあった。そんなのも作ってたのかと驚き❗のテレマンである。

水内謙一のリコーダーも大活躍、縦笛吹きはやはりテレマンが大好きなのだなあと感じた。その持ち味をよ~く味わえたコンサートだった。
次回は来年の5月か6月にあるとのこと、また行きますよ( ^^)/

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2019年10月31日 (木)

聞かずば死ねない!古楽コンサート 11月版

なんとなくドタバタしている秋の日々であります。

*2日(土)模倣か独創か パーセルとイタリアのマエストロたちのトリオ・ソナタ(コリーヌ・オルモンドほか):近江楽堂
*3日(日)ジャン・ロンドー:東京文化会館小ホール ♪フランス・バロック篇
バッハ&スカルラッティも行けばよかったかなあ(ーー;)
*6日(水)ランチタイム・コンサート エマー・カークビーを迎えて:石橋メモリアルホール 🎵入場無料❗
*7日(木)エマ・カークビー:北とぴあさくらホール
*11日(月)ガブリエーリとシュッツ 神聖なる響きの大伽藍(エクス・ノーヴォ室内合唱団):東京文化会館小ホール
*12日(火)カッチーニ 新音楽(鈴木美登里&今村泰典):近江楽堂
*14日(木)バルトルド・クイケン バロック・フルートリサイタル:浜離宮朝日ホール
*15日(金)・17日(日)ベルカントオペラフェスティバル・イン・ジャパン A・スカルラッティ「貞節の勝利」:テアトロ・ジーリオ・ショウワ
これはいまだに行くかどうか迷っています。
*19日(火)フランス宮廷恋のうた 17世紀フランス音楽の楽しみ(村上惇ほか):旧古河庭園・洋館
*27日(水)ラモー プラテ…ジュノンの嫉妬(ジョイ・バレエ ストゥーディオ):ブリリアホール
*28日(木)リュートの古風な楽しみ(つのだたかし&瀧井レオナルド):近江楽堂
*29日(金)・12月1日(日)北とぴあ国際音楽祭 ヘンデル リナルド:北とぴあさくらホール

これ以外はサイドバーの「古楽系コンサート情報」(東京近辺、随時更新)をご覧ください。

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2019年10月30日 (水)

「ソフィオ・アルモニコが綴る 爛熟のイタリア」:装飾なしでは始まらぬ

191030 器楽を彩るディミニューション
演奏:ソフィオ・アルモニコ
会場:近江楽堂
2019年10月6日

ルネサンス・フルート集団のソフィオ・アルモニコ、この日はリュートの坂本龍右を迎えてディミニューション特集である。
そもそも「ディミニューション」って何(^^?などとシロートは思ってしまうのだが、ルネサンスから初期バロックへと音楽が変化する中でより劇的に複雑化していった装飾--ということでいいんですかね。
ジョスカンの時代に対位法完成→後は装飾音を使いまくり→遂に崩壊→メロディと和声のバロック世界へ、となるとのこと。

前田りり子を始めとするメンバーの解説によると、フルートという楽器はルネサンス期が最盛期。しかしその特性として劇的ではない、柔らかい音、そして音量も小さい……ということから、バロックの過渡期の音楽の変化について行けない。
ルネサンス・フルートでは複雑な曲の演奏は難しく、装飾が付いている曲は装飾音を抜くと間延びしてしまう。ツィンクやヴァイオリンなら全く問題ない。で一度は衰退して、フルートが復活するのは17世紀後半になってからだそうだ。

このコンサートでは、そんなフルート激動の時代を実際に曲を演奏し、装飾音を通してたどった。古くはオルティスの変奏曲(リュート独奏曲はもっと古いダ・ミラノ)からフレスコバルディの四声の曲まで。フルートはどう生き残ってきた(あるいは生き残れなかった)かが目の前(耳の前)で明らかになる。
低音の特注楽器も登場、野崎真弥によるハーディガーディの特別出演も交えつつ、ルネサンス・フルートの限界に立ち向かうのであった。

しかし古楽に興味のない人からすれば、なぜ不自由な楽器を使って困難な曲をわざわざ演奏しようとするのか全く理解できないに違いない。全く意味の無いことに思えるだろう。
だけど、それが古楽人の生きる道よ(T^T)クーッ
もちろん実際に聞こえてきた音楽は全く「不自由」ではなかったのであるが。


本日の失敗は休憩時に会場へ再入場する際に、バッグの中のチケットつかんで出して通ったら、後で見ると昨日のオランダ・バッハ協会の半券だったこと。わざとじゃないんですう(>O<)
教訓:終わったコンサートの半券は素早く処分すること

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2019年10月23日 (水)

佐藤俊介とオランダ・バッハ協会管弦楽団」:楽器それぞれ演奏者もそれぞれ

191023 会場:彩の国さいたま芸術劇場音楽ホール
2019年10月5日

老舗オーケストラに若い日本人が抜擢!で話題のコンサートに行ってきた。一週間前に浜離宮でも同じ内容であったのだが、県民愛に燃えて💕彩芸の方を選択。ただ後日、行きたかった別のコンサートとバッティングしたことが判明……(T-T)

結論は「若くて才能のある人が本当にいるもんだのう」と感心したのであった。
冒頭、バッハ先生管弦楽組曲第1番を弦・管・通底それぞれ3人という少人数で演奏。会場の特性のためか輝くように響くオーボエ2本に対してバスーンの突っ込みがグイグイと強引で、思わず笑っちゃうほど。元々そういう曲とはいえ、ここまでやるかー(!o!)と言いたくなるほどの暴れ方だった。このバスーン氏、前半だけで引っ込んじゃったのは残念である。
その後も弦と管が対話をするように続き、こういう曲だったのかと認識を新たにし、新鮮に感じる展開と響きを聞かせてもらった。

続くピゼンデルの「ダンスの性格の模倣」では全員(11人)出場。様々な舞曲が勢いよく続き、ハッと気付いた時には曲が終わっていた。
再びバッハ先生はヴァイオリンとオーボエの協奏曲は、二人いたオーボエのうち女性の方が独奏したが、なんだかクセのある吹き方が気になった。全体としてはブラボーが飛ぶ出来だったけど。

後半のヴァイオリン協奏曲2番は、いよっ待ってました( ^o^)ノとかけ声をかけたくなるほどの、佐藤俊介の見せ場(聞かせ場)だった。まさにヴァイオリン弾きのための曲。バッハが作った当時もこんな風に優秀なソリストが弾きまくったのであろうかと思いをはせたりして。
他の日には第1番をやったそうなので、そちらも聞きたかった。

ドレスデンで活躍したビュファルダンの曲ではフルートが、次のブランデン5番では加えてさらにチェンバロも--とそれぞれに活躍。曲ごとに楽器の配置を変えて、楽器同士の対話と個人技が生き生きと調和していた。

グループ内の息の合い方もピッタリ、佐藤氏がさりげな~くリーターシップを取っているのがうかがえた。しかし彼はこの後モダンオケと共演の公演もやったりするのね。大したもんである。そのためサイン会は長蛇の列が出来ていた。

ところでチェロ担当の女性がすごく大柄な人だったのだが、隣のコントラバスの男性が非常に小柄(多分メンバー中で一番身長低い)というすごい差があった。
近くの客が「一番小さい人が一番大きな楽器をやってる」とポツリ一言もらしたのがおかしかった。どういう経緯でその楽器を選んだのか。人それぞれなんでしょうなあ。

本日のコンサートは前方に背が高い人が座ることもなく、両脇に雑音を発する人もいなくて、真にストレスなしで聞けてヨカッタ。
開演前と休憩終了時にスタッフの人が通路に立って注意事項を言ってたけど、反響のせいでほとんど聞き取れなかった(帽子と前のめりについて言っていたらしい)。放送でアナウンスした方がいいのでは。

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2019年10月14日 (月)

「ベルリン古楽アカデミー×ソフィー・カルトホイザー」:歌心あればオーボエ心あり

191014 会場:トッパンホール
2019年9月29日

ベルリン古楽アカデミーのコンサートは多分5回目。(前回の感想はこちら
今回のコンマスはベルンハルト・フォルクという人である。武蔵野でも公演あり、完売という人気だった。

前半は器楽のみのプログラム。J・SならぬJ・B・バッハって誰(?_?)と思っちゃうが、「ヨハン・ベルハルト」でバッハ先生の又いとこだそうだ。その「管弦楽組曲」の第1番は6楽章からなる。1730年頃にコレギウム・ムジクムで演奏されたものらしい。
バッハ先生の同名タイトルの曲に比べると流麗で滑らかな聴き心地である。ただ、それ故に面白味に少し欠けるような印象だった。

続いて息子カール・フィリップ・エマヌエルの作品よりオーボエ協奏曲。独奏として前回公演でも神業で吹きまくっていたクセニア・レフラーが登場した。第1楽章での空間を埋めるような重層的な弦の躍動感に続いて、第2楽章ではレフラーのオーボエが叙情たっぷりに歌ったのだった。

後半はソプラノのソフィー・カルトホイザーも加わり、ヘンデルのソロ・カンタータ「愛の妄想」を演奏。イタリア時代の作品とのこと。
歌の内容は恋人を亡くした女の悲痛な嘆きである。それを怒濤のようにたたみ掛けて歌い上げる。まだ若い頃の曲なのに、器楽には煽り立てるようなヘンデル節が既に潜んでいるようだ。オーボエ、ヴァイオリンとの絡みも見事。

しかし、歌詞は冒頭と最後のレチだけ第三者からその女を描写している。狂的な一人称の愛情表現から終盤の三人称による描写の冷静さへと、内容に則した微妙な切り替えをカルトホイザーは巧みに表現していた。
ヘンデル先生の時代もこのように強力なソプラノが聞き手を圧倒していたのだろうな、などと考えつつ拍手したのだった。アンコールは「ジュリオ・チェーザレ」より。

彼女は古楽畑での公演や録音が多く古楽歌手と言えそうだが、もっと後の時代のオペラでも十分通用しそうなタイプの歌唱だと思えた。


コンサート自体は良かったのだが、参ったのは隣の女性が最初から最後まで口に指突っ込んで歯に挟まった食べカスを取ろうとして(多分)、ずっとクチャヌチャ音を立ててたこと。
全ての音符と音符の合間、カルトホイザーの声と重なって、それが聞こえてくる。照明も割と明るめなので何してるか丸見えだったのだ。
気になってしまってかなり消耗した(-_-;)

休憩時間中は隣の印刷博物館でやってる「現代日本のパッケージ2019」というのが入場無料なので覗いてきた。デザイン大賞を取ったのはソニーのアイボのパッケージだった。
全体的には今は「和もの」が流行っているんだなあ、と。
191014b

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2019年10月 3日 (木)

「クァルテット in Paris 2」:風が吹けば……

191003 パリジャンを魅了したエスプリの香気
演奏:AYAMEアンサンブル・バロック
会場:近江楽堂
2019年9月20日

後期--というより終期バロックにおけるパリの音楽状況を、粋すなわちエスプリという観点からそのままに体現してみせた4人の女性奏者によるコンサートである。
取り上げられた作曲家はギユマン、カンタン(二人とも知らなかったです)、ラモー……と聞いてみるとなるほど、ここにおいてはバッハも古くさくて野暮というしかない。

さらに、何よりもテレマンの「パリカル」が見事。当時の人気作曲家としてパリに招かれた彼の「最先端」ぶりがよく分かる演奏だった。
しかし実は、私個人はもうちょい古めかしいのが好きなんである。古風なヤツと呼んでくだせえσ(^_^)

この日の会場内の配置は奏者がドーム型の真ん中に位置して客が周囲に座るという形だった。チェンバロを中心にフルート、ヴァイオリン、ガンバが囲む。
何回かここで同じような配置でやったのを経験したことがあるけど、この方式の問題は奏者を見てるとついでに反対側の客を凝視してしまうことである。しかも時折目👀が合ったりして……恥ずかし(>ω<)キャッ

さらに、中心にエアコンの風が来るようになっているのだが、会場の気温が上がってきたのでエアコンを強くしたら、なんと楽譜がその風で飛ぶという事案が発生したのであるよ(!o!)
長らく近江楽堂で聴いてきたが楽譜が飛んだのは初めてだ~。人生何が起こるか分かりませぬ。

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2019年9月26日 (木)

「イギリスのリュートソング」:埼玉に英国の香りが~

190926 演奏:冨山みずえ、ゲイブリエル・ゴットリーブ、つのだたかし
会場:松明堂音楽ホール
2019年9月15日

文化果つる地埼玉には貴重な小ホールでのコンサート。主にダウランドを中心としたソロとデュエット曲のプログラムである。他の作曲家はトマス・キャンピオンとジョン・ダニエルで、後者は全く知らなかった。

冨山みずえのソプラノは優しく清澄で、ちょうどこの小さな(というより狭い?)空間によく合っていた。バリトンのG・ゴットリーブの大柄な身体から繰り出される声量は豊か、会場からあふれんばかりだった。
つのだたかしの独奏タイムもあり。恒例の彼の語りはもはや老人力が入ったぼやきに近かったですよ(^-^;

J・ダニエルについては、ダウランドと違ってかなりひねくれた曲調で歌いにくそうではあるが面白そう。もっと聞きたくなった。

そもそもこのコンサートの始まりは、ゴットリーブ氏の父親がリュート製作者でつのだ氏が3台作ってもらったそうな。で、その時なぜかゴットリーブ家に転がりこんで数か月滞在していたという。
さらにゴットリーブ氏学生時代に日本に留学経験あり、この度英国ロイヤル・オペラの一員として来日するに当たって、いきなり「何か一緒にやろう」とメールをつのだ氏に送ってきたとのこと。
会場には留学時代のホストマザーの方と実際の母上も来ていた。
ちなみに彼はかなりの長身。日本の電車だと乗り込む時に入口で引っかかっちゃうんじゃないの?というぐらいだった。

ということで和気藹々として親密なコンサートだった。休憩なしの90分なのに、プログラム記載も事前アナウンスもなかったのはちょっと不親切かなと思った。
会場は以前、暑い時期に行ったらエアコンが効きすぎてかなりの寒さで心配だったのだが、今回はそれほどでなくてヨカッタ(^。^;) ホッ

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2019年9月19日 (木)

「フィンランド・リコーダー四重奏団《ブラヴァーデ》」:笛の嵐到来

190919 会場:武蔵野市民文化会館小ホール
2019年9月8日

フィンランドのリコーダー・カルテットが来日。初来日かと思ったら過去にも来ているようである。(NHK-BSで放送されたらしい。これも会場は武蔵野ですよね?)
外見はもろに北欧系おねーさま4人組という感じ。主に低音担当のメンバーは産休で、別の若手が急遽入ったとのことだった。

全体に感じたのはリコーダーのアンサンブルだけの演奏で飽きたりしないように、色々と工夫を凝らしているということ。
大抵は椅子に座って4人で演奏しているが、曲によって舞台前方で立って吹いたりソロでやったり。また曲目もフィンランドの民謡、ルネサンス、バロック、現代曲を区別付けることなくプログラムしている。

ダウランドから始まってルネサンス曲が続いたかと思ったら、いきなりソロで笛2本くわえて吹く現代曲になるという意外な展開。かすかにステレオ効果も感じられたりして。最後の気合いのような息を吐くのも指定されているのか?なんて思ってしまった。こんな曲芸のような曲があるのねー。石井眞木の作品だそうな。

かと思えば、バッハのライプツィヒ・コラールからの曲は対位法バリバリで、その響きの中にたゆたう気分になった。それからパーセルを経て、また風をイメージした現代曲となるという次第である。

後半でも、現代曲から途切れることなしにいつの間にか静かにヴィヴァルディの「夜」へと続いていたという場面があった。
「四季」もやったのだが、これが「5分で分かる四季」みたいな調子でえらい勢いで「春」から吹き始めたと思ったら、あっという間に「冬」まで行ってしまった。速い!
編曲の面白さもこの手のアンサンブルの醍醐味ですね(^_^)b

あと印象深かったのは廣瀬量平の「イディール」という曲。本当に吹いているのかというぐらいのささやくような極小音を出していた。後ろの席まで聞こえるのかと思っちゃうぐらいだ。
メンバーは色々な笛をとっかえひっかえして、様々なアンサンブルを楽しむことができた。なおアンコールは「フィンランディア」だった。

この日は夜に大型台風🌀が来ると予報が出た日。そのためかポコポコ空席があった。休憩時間に私鉄が10時で止まるという掲示が出たせいもあってか、サイン会もあまり人が並ばなかったのは残念。
私は長傘、雨靴という装備で来たけど帰宅するまでほとんど降られなくてヨカッタ。

ところで、グループの正式な名称は「ブラヴァーデ」なのかそれとも「ブラヴァデ」?
他の地域での公演では後者だったらしい。まあ、招聘元によってアーティストの名前の読み方変わってしまうのは珍しくないことだけど、なんとかしてくだせえ。

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2019年9月14日 (土)

「バルバラ・ストロッツィ 生誕400年記念コンサート」:400年目の復権

190914 演奏:ディスコルシ・ムジカーリ
会場:豊洲シビックセンターホール
2019年9月2日

生誕400年だったとは知らなかったストロッツィ。結成されたばかりのグループによって記念公演が行われた。
主催者は佐々木なおみという研究者で、そのため曲間に詳しい解説が入ってレクチャーコンサートと言っていい濃い内容になっていた。
コンサート全編ストロッツィというのはさすがに聞いたことがない。しかも日本初演というのが数曲入っている。

以前は、彼女はパッとしないまま認められず忘れられた作曲家という見方をされていた。しかし最近では全く異なるストロッツィ像が浮上している。
使用人の私生児として生まれるも実の父親の養子に入り、音楽教育を受け自作曲を歌う。当時の文化人が集うサロンを開き、貴族の愛人としてシングルマザーとなり、投資の才能を生かして大いに富を築いた。その間に七つの曲集を作ったという。
まさに公私ともに充実していたわけだ。

プログラムは主に彼女のマドリガーレ集、カンタータ集から。ほとんど世俗歌曲だが、一つだけ宗教曲も歌われた。
歌手は一声部一人(ソプラノ阿部早希子、CT村松稔之、テノール福島康晴、バス目黒知史)で曲によって組み合わせが変わる。当然ながらソプラノ独唱曲が多く、カンタータ集7からの「ラメント」、大作と言える「2台のヴァイオリン付きセレナータ」は阿部早希子の力唱熱演がとりわけ映えていて✨感銘を受けた。
曲自体はイタリア語の歌詞と密接に結びついて作られているとのこと。イタリア語は全く分からない私には、初期バロックと後期のどちらにも振り切らない「重さ」のようなものが感じられた。

ラストの「恋する場をあきらめた老年の恋人」は男声3人によるユーモラスな曲。オヤジはいつの時代もあきらめ悪くて困ったもんよ💨な内容で会場を笑わせたのだった。

合間に同時代のマリーニの作品や、レグレンツィとカッツァーティがそれぞれ作ったストロッツィの名を冠した器楽曲も演奏された。
器楽はヴァイオリン2人、通底3人の編成。最初の予定ではヴァイオリンの片方を先日亡くなった渡邉さとみが担当するはずだった(チラシには写真付きでクレジットされている)。惜しい方を亡くしました。合掌(-人-)

リキの入った内容に比例して長さも2時間以上(休憩含む)、聴き応え大いにあり。年1回ずつコンサートをやっていく予定らしい。
「関係者席」がかなり数が多くて驚いたが、それだけ業界内注目の公演だったということだろう。歌手や演奏家を何人もお見かけした。

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