古楽

2018年6月12日 (火)

「バロックリュートリサイタル 「せせらぎ」シャコンヌ集」:弦の切れ目が演奏の切れ目

180612
演奏:佐藤豊彦
会場:近江楽堂
2018年5月17日

しばらく前にCD「せせらぎ~フランスバロックのシャコンヌ集」を出した佐藤豊彦が、同じタイトルのコンサートを行なった。CDの方は全15曲中シャコンヌは10曲で、合間にアルマンドとトンボーが収録されている。
ところが、このコンサートでは全曲シャコンヌ尽くしでしかも休憩なしのイッキ弾きonなのであった。

一曲目は老ゴーティエから、ドイツやフランスの様々な作曲家のシャコンヌを弾いていく。(調弦しやすくできるような順番らしい)
しかし、冒頭から「弦が切れそう」ということで、騙しだまし弾いていたのが、遂に3曲弾いたところでギブアップdanger なんと、ステージ上で弦交換という珍しい事態となった。
佐藤豊彦によると、これまで舞台の脇で交換したことはあるが、客の目の前でやるのはさすがに初めてだそうだ。
そもそも休憩なしにした理由は、その弦が今にも切れそうだったからとのこと。
また、ド・ヴィゼーの曲では調弦と共にフレットの位置も動かしてこれまたビックリimpact トーシロなんでそんなこともするとは知らなんだ。

調弦が手間取っていたのは、一つに会場の気温が高いためだった。外の廊下の方が断然涼しい。佐藤氏がエアコン強くしてくれといっても、なかなか効かないのであった。

シャコンヌは南米経由のダンス……と聞いていたが、CDの解説を読むと、アラブまたはアフリカからイベリア半島へ→「卑猥」ということでキリスト教によって一掃→大航海時代に南米へ伝わる→ヨーロッパへ優雅な舞曲として逆輸入recycleという複雑な経緯を経ているそうだ。
リュート曲だと踊れるような曲ではなく、低音部で繰り返される「せせらぎ」のような循環になる--とのことで、このようなタイトルになったわけだ。

微かに爪弾く繊細な弦の一音一音が耳に届き、その響きや流れを感じ取ることができた。もはや「優雅」を超えた純粋ならぬ「純水」mistの域であろうか。このような小さな会場にふさわしい演奏だった。

本当はアンコールにするはずがうっかりプログラムに曲名入れてしまったという、ヴァイスのシャコンヌで終了。
最後に、もう歳なんで夜の公演は無理、昼にしたいという佐藤氏の爆弾bomb発言あり。そうすると昼間働く勤め人は聞けなくなっちゃうですよ(@_@)


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2018年6月10日 (日)

「野々下由香里 ソプラノリサイタル」:涙のダブルブッキング

180610
フランス古典を辿る
会場:近江楽堂
2018年5月11日

目に付くと面白そうなコンサートのチケットは即購入することにしている。BCJの定期が出たーと買い、野々下さんの十八番おフランスもののソロ公演があると聞けばまた買い--と、気が付いてみれば二つとも同じ日時じゃあ~りませんかっ(!o!)
トホホsweat02全くドジである。しかも、会場が都内の西と東に遠く分かれていればまだしも、同じビルの同じフロアで隣り合っているのだ。悔しさもひとしお。
よーし、こうなったら二つの会場を行ったり来たりするぞー\(◎o◎)/!

……などとできるわけもなく、BCJはまたいくらでも聞く機会はあるということで、今回は野々下公演を選択したのだった。BCJ公演のランたんやギヨンにも未練は残るがのうdown

サブタイトル通り、16世紀から18世紀のフランス歌曲を歌うプログラム。チェンバロ担当は桒形亜樹子である。
前半は時代順に、まずルネサンス期セルミジのシャンソンから。続いてエール・ド・クールはボエセの作品。さらにイタリアオペラの影響を受けてより劇的なエール・セリユー(←この名称、初めて聞いた)は、ランベールとド・ラ・パールの恋愛歌が歌われた。
そしてF・クープランに至る。

後半はバッハと同時代のカンプラのカンタータ「エベ」。フランスのカンタータは、独唱でレチとアリアに当たるものを3回ずつ繰り返す。かなり長めの曲を力唱した。
最後はド・ラランドの「聖金曜日の第3ルソン」で、他の作曲家も同様の形式を書いていて、「エレミアの哀歌」を歌詞にしている。
曲は優雅で美しいが、詞の内容は民族の苦難を綴る。それを野々下由香里はグイッと力技で歌い切ったのであった。

どの時代のどの形式にも即して、フランス歌曲の優雅さと美しさ、そして力強さを充分に味わえたコンサートだった。頭からシッポまでおフランス趣味(^^♪

チェンバロのソロはクープラン家のルイとフランソワ、それぞれ一曲ずつ演奏された。桒形亜樹子の鍵盤さばきは剃刀の切れ味の如くhairsalonでしたよ。
使用したチェンバロの装飾が美しくて目がくらみそうだった。プログラムには何も書いてないけど、こちらの写真のやつ。金色と暗緑色の対比が美しい。(葉っぱはアカンサス?)

次回はぜひBCJと重ならない日にお願いしまーす(^^)/


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2018年6月 3日 (日)

「ヴィットリオ・ギエルミ ヴィオラ・ダ・ガンバ・リサイタル」

180603
会場:近江楽堂
2018年5月12日

ギエルミ・アンサンブル公演の後にロレンツォとヴィットリオ兄弟はそれぞれソロ公演を行なった。兄のソロは過去に聞いたので、弟の方のガンバを聞いてきましたよ。
会場は定員100名の近江楽堂。いくらなんでももっと大きな所でもよかったろうに--と思うが、日程の都合とか色々あったのかな?
もちろん満員御礼full

様々な作曲家のガンバ独奏曲を取り上げたこの公演、時代順というわけでもなく、冒頭はマレの作品7曲で始まった。
続いて時代を遡り英国に飛んでトバイアス・ヒューム、かと思えばフォルクレ。合間にギエルミ自作を挟んだのはご愛嬌か。「バグパイプ」というタイトル通りにかなり騒がしい曲だった。

数年前に発見されたばかりのテレマンのファンタジアは、かなり難しそう。ちょっとバッハっぽいかなー(^^?) で、続いてそのバッハ作品、無伴奏チェロ曲から。
そして、ガンバの最期を飾ったアーベルでやはり終了となった。アーベルってこうして聞くとかなりぶっ飛んでる印象ですなあ。ここまで爛熟したかという感じ。

ヴィットリオの演奏は穏当なところなしdanger 極端でアクセントが強い。キョーレツなものであった。しかも休憩なし公演で1時間20分ぐらい(多分)弾きっ放しではないですか(!o!) エネルギッシュで圧倒された。

なお、あのサスペンダー氏を目撃。メジャーな公演ではよくお見かけするが、近江楽堂みたいな小さな所では初めてである。しかも、やはり最前列に座っていたsign03(自由席先着順) 演奏者の真ん前で(距離約1メートル半)ひっきりなしにアメを剥いて食べていたのであったよ……。

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2018年5月31日 (木)

聞かねばならない時もある マイナー・コンサート 6月版

また鬱陶しい季節がやってまいりましたよ\(◎o◎)/!

*2日(土)フルートデュオの世界 有田正広&前田りり子:近江楽堂
*9日(土)Ut/Fa(渡邉さとみほか):近江楽堂
*14日(木)野入志津子アーチリュートリサイタル:近江楽堂
*29日(金)~7月1日(日)チェンバロ・フェスティバルin東京:浜離宮朝日ホール

調布国際音楽祭もありますね。
これ以外はサイドバーの「古楽系コンサート情報」をご覧ください。

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2018年5月28日 (月)

「ギエルミ・アンサンブル」

180527
会場:東京文化会館小ホール
2018年5月10日

一家3人+日本人1名で来日、3回の公演にプラスしてソロ公演もありというツアー。鍵盤の兄ロレンツォとヴァイオリンの平崎真弓は過去に別のグループで来日していた。

とはいえ、この日の中心はロレンツォと弟のガンバ弾きヴィットリオなのは間違いない。二人で、バッハ、マレ、フォルクレと半分の時間を演奏したのである。バッハのガンバ・ソナタはかなりゆっくり目でちょっと意外だった。

ただし、聴衆の耳目を引いたのは平崎真弓だろう。オルガン原曲のバッハのトリオ・ソナタで休憩前におおーっsign03と感心させ、後半のコレッリ、そしてヴィヴァルディの「ラ・フォリア」ではその激越さに拍手喝采となった。
彼女の演奏単独で取り上げれば「イタリア過激派」的スタイルだが、アンサンブル全体だとそういう風に聞こえないのは、ギエルミ兄弟の通底がガシッと堅固&頑固だからと見た(聞いたear)。

なお三人目のギエルミはもう一人のヴァイオリン、ロレンツォの娘さんだった。まだ若い(&美人shine)んで、これからの活躍を期待しております。

会場の大きさも響きもこのアンサンブルに適していて、いい心地に聞けたコンサートだった。


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2018年5月19日 (土)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2018

180519
モンド・ヌーヴォー 新しい世界へ
会場:東京国際フォーラム&東京芸術劇場
2018年5月3~5日

今年から「ジャパン」が取れて「TOKYO」が付いたLFJ。しかも池袋と丸の内という分散開催になった。ピーター・バラカンがラジオで「オリンピックの関係で国際フォーラムの一部が使えなくなったため」と言っていたけど、そうなんですか?

まあ、基本会議室であるフォーラムよりは、芝居用ホールもあるとはいえ、音楽鑑賞には池袋の方が向いているに決まっている。
ただ、両会場の移動は30分かかるからハシゴする人には大変だろう。

今年は古楽関係は少なく、とりあえず2グループだけにした。
パリサンダーというリコーダー四重奏のアンサンブルがあったが、時間が朝の早目と夜ラストしかなくて迷っているうちに、満員御礼になってしまったのだよ(T_T)


「中世の伝統歌 1」「 〃 2」(アンサンブル・オブシディエンヌ)

複数回公演があったが、私が見たのは「1」は3日昼の池袋で、「2」は5日夕方の有楽町だった。
平均年齢は高めな、女2人&男3人。歌専門は男声1人のみでいざとなると全員で楽器をやりながら歌ったりもする。
どちらの回もプロローグ→「トリスタン」→「投獄・幽閉」→「修道院」→「死」→「巡礼」→「十字軍」とテーマが付いて二、三曲まとめて演奏するが、両日で重複した曲はなかった。

「モンセラートの朱い本」のような中世歌曲からルネサンス物、またケルト系の伝統曲もまじえたりして、とにかく聞いて見て楽しかった。片手で三つ穴のタテ笛吹きながらもう片手でタイコ叩き(これは中世ものでよくあるパターン)、2枚のホタテ貝の外側をすり合わせてカスタネットみたいにして使うというのもあった。
歌と朗読をやっていた男性歌手は白髪頭でかなり年齢高そうだったが、元気でハツラツとしていた。

中世ものは端正、完璧に演奏するより、このように大道芸ぽく雑味があった方が面白い。その点では日本のジョングルール・ボン・ミュジシャンと同じ指向で、完全に張り合っている。是非ともいつか対決共演impactしてほしい。

また使用楽器が珍しいものが多数。チェンバロの原型プサルタリー、ピアノの原型ティンパヌム(ダルシマー)、中世フィドルはまだしも見たことあるが、クルース(クラウス)というウェールズの楽器は弦を弓で弾いたり竪琴みたいにはじいたりもする。
それと一番驚いたのは木のタテ笛で、本体と吹口の間に紙風船みたいがあって、強烈な音がする。なんじゃこりゃー(!o!)と思わず見入ってしまった。バグパイプの一種で、フーセンみたいのはブタの膀胱だそうである……pig

私が見た(聞いた)限りでは「1」の方が盛り上がっていたようだ。最後にブラボーも飛んでた。「2」は会場が横長のもろレセプション用のB5ホールで、演奏者はやりにくそうだった。私の座席はステージの真横だったので、最悪であった。
ただ、楽器の説明の時に池袋ではいなかった通訳が、さすが国際フォーラムでは付いたのはよかった。おかげで「もちろん、ブタの膀胱は洗ってから使います」とか「ホタテ貝の中身の方は食べます」などというジョークを聞くことができた(#^o^#)


「Ararat~アラーラ(アララト山)~」(カンティクム・ノーヴム)

総勢11人のグループで、リーダーのE・バルドンは元々はチェロ奏者でサヴァールやニケの元にいたらしい。中東と西欧が混合するような地域・時代の音楽をやっているとのことだが、この日の公演はテーマが決まっていて、第一次世界大戦時にトルコがアルメニア人を追放・虐殺した事件にちなんで構成されたプログラムである。
この事件はタハール・ラヒムが主演した『消えた声が、その名を呼ぶ』で初めて知った。(トルコ政府はこれを否定している)

意外だったのは、PAシステムを使用していたことだ。人数はアンサンブル・オブシディエンヌの倍もいるのだが。会場は池袋のシアターウエストで、そんな聞こえにくい場所とは思えない。恐らく、フェスティバルなどに出演することが多くて常に使用しているのだろうか。

アルメニアの宗教歌や民謡、舞曲などが器楽や歌で綴られていく。中東系の色彩が濃いサウンドである。ただし、武骨なところはなくて心地よく聞きやすい印象だ。
三人の歌手のうち真ん中で歌う男性が、まるでマフィア映画に出てくるボスのような風貌だった(どうでもいいことですが(^^ゞ)。

この公演でもウードやダルシマーが使われていたが、左から3人目の若い男性が弾いていた弦楽器が見たこともない珍しいものだった。膝の上に横倒しにしてヴァイオリンみたいに弓で弾くのだけど、たくさんついているピストン状のものを押して弦を押さえるらしい。しかもたまに指で爪弾くことがあった。謎である(?_?)


さて、来年の開催についての発表はなくて、中止の噂も出ているようだ。そうでなくとも、2020年は五輪の影響で開催は無理らしい。五輪は街だけでなく文化も容赦なく壊していくんだのうpunch


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2018年5月 3日 (木)

「ジュリアン・マルタン氏を迎えて」:一心同笛

180503
*「テレマン リコーダー二重奏ソナタ」
2018年4月20日
*「フランスの室内楽作品」
2018年4月21日
会場:近江楽堂

木の器主催公演、今回はフランスのリコーダー演奏家ジュリアン・マルタンをゲストに2日間連続で行われた。

1日目は宇治川朝政と二人で全曲テレマン二重奏。アルトリコーダー、ボイスフルートを使い、一曲だけマルタン氏の独奏があり、頭からシッポまでテレマン尽くしヽ(^o^)丿の感があった。

迫真の演奏でいつになく宇治川氏の顔も緊張で引き締まっていたような……あ、普段はだらけているとかという意味じゃないですよ(^^ゞ

2日目はチェンバロの福間彩が加わって、フランスのアンサンブル曲。こちらはオトテールがメインで一曲だけマレのトリオ作品が入っていた。

元々二人は同年代のタテ笛吹きとはいえ、面識はなくて、ただ共通の友人が多いとのこと。で、いつか一緒にやるといいよ、と言われてたそうな。
コンサートは金・土曜だったが、マルタン氏が月曜に羽田に着いて、それが初対面だったそうである。で、その後リハーサル……ということは正味4日間ぐらいしかなかったということか。
そのせいか、マルタン氏の呼吸を宇治川氏が探りながら合わせているような印象だった。(だから余計に真剣な面持ちに見えた?)

それと、二重奏と独奏では演奏のニュアンスが微妙に異なるのだなあ、とも感じた。自分で楽器をやっている人なら当然のことかもしれないが、部外者にはそうなんだと思った次第である。

それにしても大いに聞きがいがある演奏だったのに、あまり客の入りが良くなかったのは残念無念sweat02 特に土曜日の方は少なかった。
この手のマイナーなコンサートはやはり声楽が入ってないと難しいのかしらん(?_?)などと考えてしまったですよ。


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2018年5月 1日 (火)

聞かねばならない時もある マイナー・コンサート 5月版

*3日(木)~5日(土)ラ・フォル・ジュルネ東京:丸の内&池袋
池袋と丸の内に分かれたせいで、はしごも楽ならず。
*10日(木)ギエルミ・アンサンブル:東京文化会館小ホール
*11日(金)バッハ・コレギウム・ジャパン定期:東京オペラシティコンサートホール
*  〃   野々下由香里ソプラノリサイタル:近江楽堂
ダブルブッキンクの失態ng さてどちらを聞くべきか。
*12日(土)人間の声、天使の声(ヴィットリオ・ギエルミ):近江楽堂 ♪ガンバ独奏公演
*13日(日)バッハ&テレマン!未知の世界(水内謙一&ミリアム・ミニョル):近江楽堂
*17日(木)バロックリュートリサイタル「せせらぎ」シャコンヌ集(佐藤豊彦):近江楽堂
*18日(金)ロレンツォ・ギエルミ オルガン・リサイタル:東京カテドラル聖マリア大聖堂
*19日(土)・20日(日)チェンバロの日!2018:松本記念音楽迎賓館
*     〃       二期会ニューウェーブ・オペラ劇場ヘンデル アルチーナ:めぐろパーシモンホール
*20日(日)春の都電荒川線ライブ(ジョングルール・ボン・ミュジシャン):三ノ輪橋⇔大塚駅前
*30日(水)エクス・ノーヴォ室内合唱団:豊洲シビックセンターホール
*31日(木)ヴェルサイユの華 マラン・マレ生誕を祝して3(品川聖ほか):ラリール

これ以外はサイドバーの「古楽系コンサート情報」(東京近辺、随時更新)をご覧ください。

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2018年4月20日 (金)

「音楽と美術の幸せな結婚 1」:哲学者か英雄か

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大塚直哉レクチャー・コンサート・シリーズ
音楽と絵画が映し出す栄光の17世紀スペイン:「プラド美術館展」の名画と音楽
会場:よみうり大手町ホール
2018年4月13日

大塚直哉が美術展に合わせて3回のレクチャー・コンサートを行う第1回め。会場からして当然、読売新聞社が主催に入っている展覧会が対象だが、この日は「プラド美術館展 ベラスケスの絵画と栄光」でベラスケスが7作品展示ということで話題になっているものである。

しかも演奏のゲストは波多野睦美、美術サイドは「怖い絵」の中野京子という豪華布陣だ。こりゃ満員御礼かっfullと思ったら、空席がチラホラあったのはやや意外だった。

ベラスケスの同時代の作曲家の作品を3曲、大塚氏がオルガンとヴァージナルで演奏した後、ステージ背後のスライドを使用して中野女史が15分間のレクチャーを行なった(演奏中もスライドは上映されていた)。
ベラスケスと、同じ時代に英国にわたって活躍したアンソニー・ヴァン・ダイクを比較。二人とも仕えた王は統治に関しては無能だったが、芸術の審美眼はあった……など共通点や、作風の相違など面白い話が聞けた。

曲の方では、明るいと思われがちなスペインの暗い美しさを聞かせるスカルラッティのソナタ、メディオ・レジストロというオルガンの左右で異なるという音色で演奏されたアラウホ(初めて聞いた!)が面白かった。

その後は波多野睦美が登場して、絵画に合わせた曲を歌った。彼女の歌を聞くのは久し振りだったが、3曲目のフレスコバルディの宗教曲が圧巻の迫力だった。

後半の最初は3人でトークセッション。ヴェチェッリオという画家の「音楽にくつろぐヴィーナス」という絵で、オルガン弾きが横たわる女神のどこを見ているかという話題で爆笑になった。大塚氏は絵と同じオルガンの鍵盤を押さえてみせたり(●^o^●)
中野女史によるとヴィーナスは人間の眼には見えないはずなので、このオルガン奏者は超能力者ではと考察してsweat01いた。しかし私は、彼には女神が見えてなくて、寝台の上にたまたま金dollarか宝石が落ちてるのを凝視していたという仮説を立てたい。

その後は再び演奏へ。ヴィーナスにちなんだパーセルの「美しい島」は伴奏がオルガンだったが、なんだか印象がかなり違う。チェンバロの方が違和感なしだったかも。
ラストはストロッツィの「恋するヘラクレイトス」だった。これも長めの曲でやはり波多野女史の歌唱はイケイケと押し寄せるような迫力で聞かせた。
トークの時に出た話題だが、「ヘラクレイトス」とは神話の英雄ではなくて哲学者なんだそうだ。
えええーっ\(-o-)/あたしゃ今までヘラクレスと勘違いしたまま聞いてましたよ。お恥ずかしい~spa

4000円の元はバッチリ取れたレクチャー・コンサートであった。次回は「ルーヴル美術館展」をネタにナオヤ氏独奏によるフランス・チェンバロ曲をたっぷり聞けるもよう。おまけにゲストはなんとヤマザキマリsign03 これは必聴だろう。


さて、私はこのホールは初めて行ったのだが、新しくて音響もよく、おまけに全座席の背中に小テーブルが引きだせる(ライトまで付いている!)サービス付きだ。
新聞社ビルに付属したホールというと、朝日新聞社の隣の浜離宮朝日ホールが思い浮かぶんだけど、対抗してるのかな(^^?) 収容人数も似たような感じだし。ここでも朝読対決が火花を散らすpunch
それと、地下鉄の出口と直結がウリらしいので私は丸ノ内線のホームから行ったのだが、ウネウネと通路を歩き、その出口までなかなか行き着かない(@_@;) 帰りは地上から行ってみたら、なんと1ブロック直線歩いただけで丸ノ内線まで行けてしまった。なんなのよannoy
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←問題の絵画

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2018年4月 6日 (金)

「ルソン・ド・テネブル 暗闇の朝課の読誦」:猫とクープラン(特に関係なし)

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F・クープラン生誕350年記念
演奏:野々下由香里&鈴木美登里
会場:近江楽堂
2018年2月22日

2月22日はニャンcatニャンcatニャンで猫の日~(=^・^=)
じゃなくて--またもクープラン記念公演なのであった。

ルソン・ド・テネブル、宗教曲とはいえ華麗なるソプラノ2人の競演である。私が最初に聞いたのは、かつてのNHK-FM「朝のバロック」でエマ・カークビーの歌でかかった時だ。うろ覚えだが、今調べてみるともう1人はジュディス・ネルソン、鍵盤はホグウッドだった。
その後、マレとサント・コロンブを扱った映画『めぐり逢う朝』の劇中でも流れたのがまた印象深かった。

録音は何種類か買ったのだが、どういうわけか実演では聞いた記憶がない(多分)sweat01 なので、ユカリ&ミドリのベストコンビで聞けるのは誠に嬉しいっ(#^o^#) おかげで近江楽堂は満員御礼であったfull
この曲以外に同じ作者のモテットや、ガンバ福沢宏&オルガン今井奈緒子による器楽曲も加えて構成されていた。

こうして、奏者の呼吸も間近に聞こえるような小さな会場で聞いてみると、常に淀みなく濁りもなく(って、当然と言えばそうなんですが)均一に隅から隅まで声を届けるってのは身体的なコントロールがスゴイ(!o!)--と、トーシロなのでつくづく感心してしまうのであった。大きなホールでは逆に得られない感覚だろう。
二人の声はドーム状の天井に天使の如く響いたのである。

最後にやった復活祭のためのモテットは、カークビー盤に追加で一曲収録されてたのと同じ。やはり、お二人とも初めて聞いたのは彼女の歌だったんでしょうか。


ただ、側に座っていた若い男がだらしなく荷物やジャケット広げていた(狭い会場なのによannoy)だけでなく、曲の合間ごとにペットボトルをゴクゴク飲んでたのには驚いた。さすがに演奏途中は飲んでなかったが……(~_~メ) でも、アンコールの時に野々下さんが話してる時もやってたな。
あと、スマホの着信音を最小だったけど、鳴らしてたぞ。

で、帰宅したらネットに「I教授」の訃報が流れていてビックリしたのであった。


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